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IBMi海外記事2026.04.08

IBM i におけるAI、私たちの現在地と向かう先

Timothy Prickett Morgan 著

2026年を迎え、私たちは生成AIにもすっかり慣れてきました。ちょうど、コロナウイルス パンデミックも3年後にはおおむね収束し、私たちも慣れたというのと似ています。もちろん、違うのは、生成AIを収束させるワクチンはないことです。世界経済の成長のかなりの部分が、生成AIハードウェアおよびソフトウェアに対する莫大な資本支出によってもたらされている状況では、特にそうなるでしょう。

私は、様々な形態のハイエンドの大規模な分散コンピューティングを追いかけるITジャーナリストおよびアナリストとしてキャリアの大半を費やしてきて、最先端のコンピューティング、ネットワーキング、およびストレージにおける巧妙で独創的な進歩に魅了されてきました。時には、善にも悪にも使われ得る様を見て、人知れず心を痛めたこともありましたが、この仕事は中立の立場を保って観察することが肝心なため、これについてあまり多くは語らないこととします。

私が言えることは、ほとんどのOS/400およびIBM i 関係者が信奉していると思われる懐疑主義的および保守主義的な傾向が私にはあるということです。さて、生成AIブームの勢いは、化学的なエネルギーのレベルから原子力エネルギーのレベルへと変貌を遂げています。私が正直に言えるのは、自分は 人間の側だということを確信しているということです。ただし、それは、私は 生成AIに反対だということではありません。たとえ極めて危険な形態の抑止力だとは思っていても、私が核兵器に反対でないのと同じです。私たちは、世界がこの生成AIテクノロジーをどのように使用し、どのように使用しないか、そして、次に何が起こるかについて、思慮深く、注意深く見守って行く必要があると思います。

ハイパースケーラー、クラウド ビルダー、およびモデル ビルダーは、彼ら自身が予測できないし、予測 しようともしない 将来の経済に向かって猛スピードで駆けているため、これまでのところ、私はそれほど感心していません。それがよいことなのか、私は誰からも意見を求められませんでした。(もしかすると、私と違って、意見を聞かれた方がいるのかもしれません。私は知らせも投票用紙も受け取っていません)。

生成AIが成熟し、進化するにつれて、他のインフラストラクチャー ブームで目にしたように、今後、資金と権力の大規模な集約が予想されます。しかし、このブームが他のブームと異なるのは、10億個のAIエージェント、10億台のAI搭載ロボット、および10億台の自動運転車のせいで、地球上の、労働年齢とされる33億人の人々が現在賃金を得ている多くの仕事が、近いうちに機械によって行われるようになりかねないという点かもしれません(地球上には他にも、約50億人の人がいます。子供や、高齢で働けなくなった人、あるいは運よく引退できた人です。彼らは別物ですが)。

そのブームを止めようと考える政治家は誰もいません。ウォール街も間違いなくそうしませんし、巨大テクノロジー企業も絶対にそうしません。そして、私たちの多くもまた、あらゆる年金基金が、生成AIブームにその資産価値を高めてもらえるのを当てにしている限りは、ブームを止めたくはないわけです。そして、前述の通り、私の別の仕事では、AIシステムおよびその市場を分析してレポートすることで報酬をもらっています。私はこの市場全体が生まれて進化するのをリアルタイムで見守ってきました。そして、私もまた、言語翻訳プログラムとして始まったニューラル ネットワークにおける創発的行動には驚かされましたし、たとえ、時折どれほど不完全であったとしても、ニューラル ネットワークが翻訳以上の何かに変貌して行く様を驚きとともに見守ってきました。

結局、私たちの頭脳の中で私たちがデータを記憶し、取り出し、合成する方法のいくつかは、生成AIトランスフォーマー モデルが巨大なデータセットでデータのトークン間の接続を統計学的に分析するときに行っていることと、それほど違わないということが判明するかもしれません。この記事を書きながら、私は、数十年を費やして私のコンテキスト ウィンドウを構築してきました(そのコンテキスト ウィンドウは、皆さんが読んでいるまさにこの記事に活かすことができます)。そして、率直に言って、私は自分が次に何を言おうとしているかまったく分かりません。時折、私の指先が教えてくれるまで自分が何を考えているか分からなくなることがあります。それは、神に誓って本当のことです。

しかし、皆さんと同じように、私も、自分のニューラル ネットワークに、特定のコンテキストに集中させ、そうしたデータ(IBM i ベースについてのより具体的な情報)のみをじっくり考えさせることができます。ここからは、Fortra社によってまとめられた「 IBM i Marketplace Survey 」の中の、IBM i のショップへのAIの導入について取り上げられている部分に焦点を絞って見て行きます。

最新の調査で、AI(人工知能)は懸念事項のトップ5に入りました。調査の回答は昨年秋に行われ、1月にレポートにまとめられて公開されました。この調査は、過去12年間にわたって、Fortra社が支え続けてきたものであり、私たちは皆、その恩恵に預かってきました(これは「見識ある自己利益(Enlightened Self-Interest)」のお手本と言うべきものであり、感謝の念に堪えません)。

最大の懸念事項についての質問の選択肢(そこでは回答者は懸念事項を5つ選択できる)に、Fortra社が初めてAIを追加したのは、2019年の調査の時でした。調査結果はレポートとしてまとめられ、2020年1月に公開されました。これは、折しも、コロナウイルスが中国の武漢から広がりつつあった時期と重なり、私が感染したのもその頃でした。私は、12月末のクリスマス休暇の直前には、ニューヨークのチャイナタウンで買い物をしていていました(なるほど、私は自分がスーパースプレッダー(超感染拡大者)だと思っていますが、チャイナタウンに出掛けたときも、数週間後、250人のテック業界関係者向けのイベント開催のために妻とともにサンノゼへ飛んだときも、誰一人SARS-CoV-2について知っている人はいませんでした。出発前から体調が優れなかったのですが、軽度の肺炎、気管支炎、胸膜炎と診断され、Zパック(ジスロマック)を処方されて安静にするように指示されました。そうする時間を持てたようです。翌日は22時間、次の日は18時間眠りました。元気になってきたのは6日目のことでした)。

では、2020年~2025年の間に、AIが、最大の懸念事項のランキングをどのようにして駆け登ったかを見てみましょう。以下は、最大の懸念事項としてAIを挙げた回答者のパーセンテージです。

  • 2020年: 12%
  • 2021年: 7% (意外にも下がりました)
  • 2022年: 11%
  • 2023年: 10% (この坂は滑りやすいようです)
  • 2024年: 18% (登り始めます)
  • 2025年: 30%

以下に、2026年版レポートの最大の懸念事項のグラフを示します(他の懸念事項もすべて掲載されています)。AIは、今年の調査に回答したIBM i のショップの42%によって、最大の懸念事項として挙げられています。

最大のITの懸念事項
IT環境を計画する上での懸念事項はどのようなことですか。5つ選んでください。

AIは、グラフの左側へと移動し続けて、いずれ最大の懸念事項のトップになると私は確信しています。特に、AIはIBM i スキルの危機の解決に不可欠となるでしょうし、サイバーセキュリティへの関与の度合いは深まるでしょうし、アプリケーションおよびデータベースのモダナイゼーション向けのツールになるのは間違いないからです。実際は、AIとAIでないものと間に線引きすることは難しくなるでしょう。もしかすると、何が AIにならない かの方が、じっくり考えてみるのに適切な質問なのかもしれません。

昨年、「 IBM i Marketplace Survey 」では、AIの使用状況およびAIの使用に向けての期待について、より正確に動向を探るための質問を尋ねています。そして、これら2つの質問に関する2年分のデータが集まったので、生じつつあるいくつかのトレンドや、AIが最大の懸念事項ランキングを駆け登っている理由について、それらのデータを基にして見て行こうと思います(ただし、記事の冒頭で私が挙げた疑う余地のない理由は別として)。

1つ目は、バック オフィス業務(およびおそらくさらに多くの業務)でIBM i システムを稼働している企業が、現在、AIをどのように使用しているかについての質問です。この質問が、IBM i システムで、さらにはオンプレミスで稼働しているAIに限定することなく、単純にAIをどのように使用しているかについてIBM i 調査の回答者に尋ねている点に留意することが重要です。次のグラフをご覧ください。

社内でのAI機能の利用状況
現在、以下のAI機能のいずれかを社内で使用していますか。

わずか1年で、AIの使用は、調査回答者の43%から55%へと大きく変動しているようです。これは12ポイントの増加です。AIが最大の懸念事項であると考える回答者が12ポイント増えていますが、まさしくそれが反映されているようでした。大幅な増加が見られた項目は、アプリケーションおよびその他のコード開発でのAIの使用で、これは13%増えています。スキル不足や、アプリケーションをモダナイズする必要性を考慮すると、AIに関して言えば、コード アシスタントがIBM i のショップにとってのキラー アプリケーションだということは周知の通りです。システム管理および業務自動化に向けてのAIの使用も増加しています。そして、トレーニングの一環としてのAIの使用は、さらに大幅な伸びを示しています。サードパーティ アプリケーションに組み込まれているAIでもわずかな増加が見られますが、IBM i ベースの規模に対する調査回答者数の規模を考慮すると、これが統計的に有意と言えるかどうかはよく分かりません。

さて、ここから興味深いところです。次の質問は、回答の選択肢は同じですが、今後、IBM i がどのような領域でAIの取り組みの価値を実証できるかについて尋ねています。

IBMでのAI機能
今後、IBM i はAIによってどのような領域で価値を提供することができると思いますか。

今から2年後なのか、5年後なのかなど、「今後」がいつのことなのかは明示されていませんが、これは意図的なものです。質問に修飾語句を付け過ぎると、直観的な反応が得られなくなるからです。ここでは直感的な反応を求めています。時には、理性的な判断よりも直感の方が頼りになることもあります。様々な点において直感が正しいということも多いからです。

ご覧の通り、調査回答者の2/3以上は、コード開発が、IBM i およびAIが価値を提供しそうな領域だと考えているようです。そして、システム管理および業務自動化は、前年から伸びて、2番目に多く選ばれた選択肢となりました。プログラミングの容易さおよび自動化されたシステムは、AS/400設計の特質であるので、私にとって、これはまったく驚きではありません。セキュリティを強化するためにAIを使用することの意思決定(おそらく、RAG(検索拡張生成: retrieval-oriented generation)技術を使用して)のために、AIにデータを統合することについてはそれほど懸念がないように思われます。今のところ、IBM i のショップがAIに期待しているのは、独自のコードを作成し、保守し、独自のシステムを稼働している企業が、より簡単に最小限で最大限の成果を出せるようにする支援であるようです。

これこそが、まさに、Power10およびPower11プロセッサーに統合された行列演算ユニットによるIBMの戦略と、Power SystemsおよびSystem z向けのSpyre AIアクセラレーター カードの目的です。このプラットフォーム上にAIを保持し、徹底的かつ簡単にそれを統合することです。さらに、できれば、安価であることが望まれます。近頃では、Nvidia社のデータセンターGPUより高価というのは難しいでしょうが. . . .。

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