例のPower S1112エントリーPower11サーバーを深掘りする
Power11プロセッサーをベースにしたエントリー「Bonnell+」Power S1112サーバーが出荷開始されて1週間余りが経ちました。新たなPower S1112の価格情報だけでなく、更新されたPower10エントリー サーバーの価格情報もまだ入手できていませんが、IBMがエントリーPower11のRedbookにPower S1112をまだ追加していなくても、私たちは新たなマシンについてもっとたくさんのことをお伝えすることができます。
Power S1112の性能データについては、「 Next-Generation Entry Infrastructure for IBM i: AI-Ready Performance for Core and Edge Workloads(IBM i 向け次世代エントリー インフラストラクチャー: コアおよびエッジ ワークロード向けのAI-Readyなパフォーマンス)」と題する、7月22日の「IBM i Guided Tour」で詳しく述べられています。プレゼンターを務めたのは、Powerスケールアウト システム担当プロダクト マネージャーの Fiona Tang氏と、シニア テクニカル スタッフ メンバー(STSM)で、Powerのプリンシパル プロダクト マネージャーの Todd Boyd氏でした。このプレゼンテーション動画は、 COMMONサイトのこちらのリンクでご覧になれます。
要点をまとめると、Power11システムのラインアップは以下のようになります。
Power11システムのほとんどは、昨年7月に、IBM i P10~P30ソフトウェア ティア(P40およびP50ティアは、ずっと以前にP30ティアに統合されています)にまたがるエントリー、ミッドレンジ、およびハイエンド ボックスで提供開始され、ほんの1週間前にPower S1112が提供されたことで、すべてが揃いました。Power S1112には、P05ティアに属する4コアのスキニー バージョンと、P10ティアに属するよりファットなバージョン(それでも16コアのうち10コアのみ)があります。(訳注:S1112の搭載コア数に関わらず、IBM i 区画に割り当てることができる最大コア数は4であり、P05が適用されます。4コアを超える構成ないし、P10はサポートされません。)
Power S1112に関する私たちの最初の記事で多くの性能データについて取り上げましたが、何十年も見慣れてきたIBMからのスペック シートを入手できるとほっとします。IBMは、COMMONを通じてこのデータをユーザーと共有しています(これは素晴らしいことです)が、私たちがビジネス パートナーに説明するのに使用していた以前のプレゼンテーションには、もっと多くの詳細な分析や、「何かとの比較」のデータがありました。
いずれにしても、以下に、Power S1112の主な仕様がまとめられているページを示します。画像は、ダブル スレッドのラック型Power S1112とシングル スレッドのタワー型Power S1112です。
私の目にすぐに飛び込んできたのは、システムにおける4つのPCI-Expressスロットがホット プラグ可能ではないことでした。ホット プラグ可能というのは、Power S1112サーバーをシャットダウンする必要なく、それらを取り外して交換することができることを意味します。これは、数年前に発表された「Bonnell」 Power S1012サーバーで私たちが目にしたどのスペック シートにもありませんでしたが、結局のところ、Power S1012でも、PCI-Expressスロットにホット プラグ機能はなかったということです。Power10 BonellおよびPower 11 Bonnell+マシンの両方が本質的に同じシステム ボードをベースにしているため、これは当然でしょう。
これは、Power S1112の購入見込み客にとっては多少驚きかもしれません。この数年間にPower S1012を購入しようとしなかった場合は特にそうでしょう。Power S812、Power S914、およびPower S1014など、P05およびP10クラスのPowerエントリー マシンに、PCI-Expressのホット スワップ機能がなかったことからすると、これは奇妙に思えるかもしれません。言うまでもなく、プロセッサー/メモリー カードは、どのPower Systemsアイアンでもホット スワップ可能ではありません(オペレーティング システムはどこで稼働しているでしょうか)が、電源、冷却ファン、およびNVM-Expressフラッシュ ストレージ モジュールは、Power8、Power9、Power10、およびPower11ラインアップすべてにわたってホット スワップ可能です。
Power S1112上のいくつかのコアでRed Hat Enterprise Linuxを稼働したいという場合に、もうひとつ興味深いのは、Powerプロセッサー向けのIBMのPowerVMハイパーバイザー上でのオープンソースのKVMハイパーバイザーの稼働をサポートするということです。
以下では、スペックについて技術的にさらに深く掘り下げます。
Bonnell+マシンでの新たな機能は青色で示されています。こうして見ると、基になるアイアンで、ほとんど変更がなされなかったことがよく分かります。
もちろん、いくつか変更があります。以下の比較表をご覧ください。
まず、Power11プロセッサーはより高速に動作し、DDR5メイン メモリーも同様で、高帯域幅を実現します。Power S1012のPower10プロセッサー(最大で8つのアクティブなコア)の240ワットに対して、286ワットの最大パワー エンベロープとなります。
また、Power S1112は、IBMのOpenCAPI Memory Interface(OMIとしても知られる)をベースにした、同じ差動DIMM(DDIMM)メモリーを使用します。OMIは、他のI/OおよびNUMAリンクで使用される、同じ「BlueLink」 I/O SerDesを使用してメモリーを駆動します。Power S1112のメモリーは、Power S1012の2倍です。4つのスロットにわたって最大512 GBで、Power S1012の2倍の容量となります。さらに、DDR5ベースのDDIMMメモリーはPower S1112サーバーで4 GHzで動作するため、メモリー プラナー カード上のOMIバッファーを介して標準的なDDR4 DIMMメモリーを使用していたPower S1012サーバーに比べて、2.5倍の高いメモリー帯域幅を実現します。そうした追加分のメモリー帯域幅は、AI推論(メモリー容量よりもメモリー帯域幅の影響が大きい)などの大量のワークロードで有用です。
この図表では、シングルコアのP05マシンという選択肢がなくなっていることにも注目してください。好むと好まざるとにかかわらず、4コアということになります。このプラットフォームを使用するユーザーにとって、4つすべてのコアでIBM i を稼働させる必要があるかどうかははっきり分かりません。ただし、IBMがBonnell+マシン向けのIBM i ライセンスで割引をしてくれないなら、そんな要件がないことを望みたいところです。次の図表は、そうしたIBM i のキャパシティのすべてを必要とするわけではない場合は、4コア マシンをオーダーして、それらのコアのうちの1つ、2つ、または3つをディアクティベートすることができると述べています。何がどうであれ、Power S1112ボックスにどれだけ多くのメモリーをインストールしても、IBM i 論理区画は最大64 GBのメイン メモリーに制限されます。
この図表には、別の本当に重要なことがはっきりと示されています。これは、私たちが長年にわたってIBMにそうするように提案してきたことです。すなわち、それらの1~4コアがIBM i 向けにアクティベートされている場合に、Powerプロセッサー上の未使用のコアのそうした潜在的な処理能力をすべて活用するということです。
ご覧の通り、Power S1112サーバーでは最大で6つのコアをアクティベートすることができるようになり、最大で448 GBの追加のメイン メモリーをアドレスしてVirtual I/O Server(VIOS)を稼働することができるようになりました。これは、IBM i、Linux、およびAIXオペレーティング システム向けに仮想ドライバー サポートを提供する小さなAIXサブシステムです。重要なのは、NVM-Expressフラッシュ ストレージがPower S1112ボックスにおけるすべての区画で共有できるということです。私はこれらのシャドウ区画でMCP ServerまたはAI推論スタックを稼働することが頭に浮かびますが、これはまさにIBMが推奨したいと考えていることです。
IBMは耳を傾けました。
私は、このシャドウ区画が、HA構成でIBM i オペレーティング システムのホット バックアップを稼働できるようにすることについても提案しました。これは、ハードウェア エラーによってマシンが停止することは防げないでしょうが、企業がヒューマン エラーやソフトウェア クラッシュから復旧することは可能にするでしょう。もっとも、シャドウIBM i インスタンスの単なる1つの特殊なケースに過ぎないのかもしれませんが、特に、IBM i のショップが遭遇するシステム ダウンタイムのほとんどが、ハードウェア障害ではなく、ヒューマン エラーまたはソフトウェア バグに起因することを考えると、検討する意味はあると思います。メモリーおよびフラッシュ価格が急騰し、ベースPower S1112マシンのコストは、おそらく、2年前のエントリーPower S1012構成に比べて2倍高価になりそうなので、今のままでというわけにはいきません。そして、これはIBMには費用が掛からず、なおかつ、信頼は高まります。
