IBM、Bob 2.0およびIBM i 向けプレミアム パッケージを提供開始
IBMのエージェント型コーディング世界への進出は続くようです。IBMは、エージェント型AIソフトウェアであるBobに対するメジャー アップデートを公式に販売およびサポートし始めました。記事に取り上げる必要がある、関連する2つのニュースがあります。すなわち、IBM Bob Premium Package for i のリリースとBob 2.0のリリースです。
いつものことかもしれませんが、IBMは、Bobの発表でいくらか混乱を生じさせました。Bob 2.0とBobプレミアム パッケージが、ともに6月24日に利用可能になったためです。しかし、この2つは同じものではありません。そして、それらの発表も別々に行われました。
IBMは、 Bob 2.0のリリースの発表 をBob Webサイト(www.bob.ibm.com)で行いました。一方、様々なプレミアム パッケージの発表は、IBMの 標準的な発表レターのプロセスを通じて行われています。そこではBob 2.0の発表について何も言及されていません。AIはこの世界の多くのことを変えていますが、どうやらIBMのいくつかのことは変わらないようです。
まずは、Bob 2.0について見てみましょう。
Bob 2.0は、IBMがユーザーに露わにしている機能と、アーキテクチャーの基礎の両方の点で、製品に大きな変化をもたらします。
アーキテクチャーの面では、Bob 2.0は、VS Code向けのIDE拡張およびシェル環境など、このAI製品内でのコアとなる実行ファイルの両方の一元化された基盤を提供します。ちなみに、Bob 2.0向けのシェル環境はまだ提供されていません。
この一元化された基盤は、Bob 1.0からの大きな変更です。Bob 1.0では、2つの環境向けに別々の基盤を使用していました。それにより、IBMは製品をより早く提供することができましたが、IBMの労力は増えることになりました。すべての改善をそれぞれに提供する必要があったからです。
IBM BobチームによるBob 2.0に関する 6月24日付けのブログ記事 によれば、Bob 2.0の新たな基盤は、エージェント、ハーネス、およびクライアントから構成される3層アーキテクチャーをベースにしているということです。エージェントは推論およびコード生成機能を提供し、一方、ハーネスは認証、ロギング、およびテレメトリーのような補助的機能を処理します。クライアント コンポーネントは、ユーザー向けのインターフェースを提供します。現時点では、2つ(IDEと今後提供が予定されているシェル)ありますが、これからさらに増えるとIBMは述べています。
この新たな一元化されたアーキテクチャーは、Bob 2.0が動作する方法に影響を与えます。まず、Bob AIエージェントは、すべてのクライアントで同じ動作をする必要があります。Bob 2.0は、より高速に動作し、全体的に性能が向上しています。回答がより正確になり、自己修正する機能が改善されているとのユーザーからの報告もあります。
また、Bob 2.0は、サブエージェントという概念も導入します。コードベースで認証がどう動いているか調べるなど、一定のタスクでは、Bobはサブエージェントを自動的に起動します。サブエージェントは、クリーンなcontext windowと並列してタスクを処理し、調査結果を要約してメイン エージェントに返します。
また、Bob 2.0は、並列ツール呼び出しももたらします。これは、Bob 1.0に対する大きな機能強化です。以前は、ツールは順々に実行されたため、タスクが複数のファイルの読み込みおよび検索の実施を要求していた場合、ユーザーはBobが終了するのを待たされたままになりました。以前は30秒掛かっていたタスクが、並列処理のおかげで、10秒未満で完了できるようになったとIBMは述べています。
Bob 1.0のように、すべてのツール呼び出しをXMLでラッピングするのではなく、Bob 2.0はツールをネイティブに呼び出します。これは、消費されるトークンが減ることを意味します。Bob 2.0は、.docx、.xlsx、および.pdfファイルをネイティブに読み込みます。そのため、コピー&ペーストは不要になります。Bob 2.0のcontext windowは、270,000トークンです(Bob 1.0の200,000トークンから増えています)。
Bob 2.0は、Agent、Plan、およびAskという、AI製品向けの3つのモードを導入します。Agentモードは、アクションを起こし、フル エージェント機能を提供し、一方、Planモードは、要件の収集、コンテキストの把握、および理解の確認に焦点を絞った「独自の計画プロセス」です。Askモードは、アーキテクチャーを調査するための読み取り専用モードです。
IBMは、従来のチェックポイント機能を「ロールバック」と呼ばれる新たな機能に置き換えました。チェックポイントは問題なく機能しましたが、Gitがベースになっていたため、ユーザーがGitを使用していない場合(おそらくIBM i ユーザーの大多数がそうでしょう)、履歴全体が保存され、動作が遅くなりました。新たなロールバック機能は、タスク、会話、および個々のツール呼び出しレベルでのすべての変更を追跡(およびロールバックを提供)するためのより簡素化されたメカニズムを提供します。
最後に、Bob 2.0は、ワークフローという概念を導入します。これは、繰り返し実行可能なプロセスに「骨格」を与えます。
「すべてのステップがAIを必要とするわけではない。すべてのステップを完全自動化すべきではない」とIBM Bobチームは記しています。「ワークフローは、それぞれのステップをどこで実行するかを定義します。エンジンがステップを順番に実行し、状態を保持し、エラーを処理し、プロセス全体を繰り返し実行可能にします。」
IBMは、プレミアム パッケージを介してワークフローを提供します。それぞれIBM i 向け、System Z向け、およびJava向けの、3つのプレミアム パッケージがあります。ここから、Bob Premium Package for i の発表に話題を移しましょう。プレミアム パッケージについては、私たちも しばらく前から知っており 、5月21日の ソフトウェア発表レター「A26-0539」でのIBMの公式発表を受ける形で、 6月初旬に 記事で取り上げています。
Bob Premium Package for i
前述の通り6月24日にGA(一般提供開始)となったBob Premium Package for i は、IBM i 顧客向けのいくつかの重要な機能をもたらします。すなわち、IBM i への直接接続のサポート、およびIBM i Developer ModeとDatabase Modeという新たなモードです。
最初のリリースでは、Bobは、作業しているソース コードが、開発者が使用しているPC上にロードされているか、Web上のGitリポジトリを介してアクセスできることを必要としていました(結局のところ、BobはWebベースのツールであり、Bob自身が本質的にはVS Codeの1つのバージョンです)。プレミアム パックで、Bobは、QSYSにあるソース メンバーで、またはIFSに置かれているファイルで直接作業できるようになりました。
この機能の導入は一大事です。ほとんどのIBM i 開発者は、直接IBM i 上に置かれているソース コードで直接作業することに慣れているためです。Gitタイプのリポジトリにソースを格納するというのがソフトウェア開発の将来像なのかもしれませんが、それは、IBM i 開発者の大半が現在Bobを使用しているやり方ではありません。IBM i 開発者の今のやり方に合わせるのが、IBMにとっても賢明であり、この機能は、おそらく、Bobを使用するIBM i ユーザー数の大幅な増加をもたらすでしょう。そしてこれは良いことです。
BobはIBM i ユース ケースに取り組むことができる
「開発を行うとしたら、ソース コードが通常置かれているところで作業できるはずですと、IBMのミネソタ州ロチェスターのラボのIBM i 担当シニア テクニカル スタッフ メンバーで、開発ツールおよびシステム管理担当ソフトウェア アーキテクトであるTim Rowe氏は、 先日出演したCharlie Guarino氏の「iChime」ポッドキャストで述べています。
「私たちの顧客のほとんどは、それがQSYSにあるというのが普通です。もしかすると、少し先に進んでいて、IFSにあるかもしれません」とRowe氏は続けます。「つまり、ソース コードはIBM i 上にあるのに、どうして、私のソース コードがあるところで作業することができないのかということです。」
プレミアム パックで提供される新たなDeveloper Modeは、IBM i についてのはるかに深い知識をBobに与えます。Developer Modeは、本質的にBobを、RPG、COBOL、DDS、SQL、およびCLのようなIBM i を中心にした言語に熟練したプログラマーというペルソナに変身させます。Rowe氏が POWERUp 2026の基調講演で述べたように、Developer Modeは、「私たちのプラットフォームの複雑さ、ユニークさ」をBobに教えます。
「開発を行う場合、IBM i 上で何かを実行する必要があります」とRowe氏はGuarino氏との「iChime」ポッドキャストで述べています。「いずれにせよ、CLコマンドを実行したり、SQLを実行したり、PASEスクリプトを実行したりする必要があります。それが私たちにとっての問題でした。すなわち、そうした同じ機能をBobに実行できるようにさせることができる必要があるわけです。」
新たなDatabase Modeは、Bobをデータベースの専門家へと引き上げます。「これは、まさにBobが一段上のレベルに到達したと言える機能の1つです」とRowe氏は述べています。「Database Modeで行えることのいくつかは、極めて刺激的です。それは目を見張るようなものです。
Database Modeで、BobはSQLを書くことができるだけでなく、すべてDb2 for i のベスト プラクティスを使用して、エラーがないかチェックし、それが何を行っているか説明することもできます。「ここでは、Scott氏とRyan氏の頭脳を拝借して、それをツールにパッケージしました」と、STSMでデータベース アーキテクトのScott Forstie氏と、SQE照会エンジンおよび照会オプティマイザーの開発に尽力したソフトウェア エンジニアのRyan Moeller氏に言及してRowe氏は述べています。
BobはIBM i と対話処理することができる
プレミアム パッケージには、約40の新たなスキルおよびワークフローが含まれています。それらによってBobは、コードからビジネス ルールの抽出、コードのコンパイル、表示装置ファイルの生成、固定フォーマットからフリーフォーマットへのRPGの変換など、IBM i 上で特定のタスクを実行できるようになります。Bobは、RPGサイクルのような古い機能も含め、IBM i におけるすべての主要な言語を理解するようになっています。
Rowe氏が述べたように、BobはIBM i のコンテキストを理解するようになっており、タスクに明確さを与えます。「タスクを実行したい。どのように行うか。最適な方法は何か。Bobが認識している必要がある罠や落とし穴(gotchas)にはどのようなものがあるか」とRowe氏は述べています。「それらは、私たちがこれらの様々なユース ケースに組み込んでいることです。」
また、プレミアム パッケージは、QSYSまたはIFSの読み書き、CLコマンドおよびSQLステートメントの実行、5250セッションの開始、ライブラリー リストの管理など、IBM i 向けの約30の専門的なツールのサポートももたらします。さらに、プレミアム パッケージは、IBM i でのRAG(検索拡張生成)ワークフローのサポートも追加します。
IBMは、IBM i 顧客に、Bobを使用して古いアプリケーションのモダナイズを促進してもらうつもりのようです。IBMはプレス リリースで、IBM i バンキング ソフトウェア プロバイダーの Jack Henry 社(2022年にJack Henry & Associatesから社名変更したようです)による、同社の「大規模なRPGコードベース」のモダナイズの進展を褒め立てています。
「IBM Bobを使用することで、私たちの開発者は、改善の取り組みで効率が向上するのとともに、RPG開発ワークフローを加速し、コード品質を改善し、数十年間にわたって蓄積されたシステム ナレッジについてより深い洞察を得ることができます」と、Jack Henry社のチーフ テクニカル アーキテクト、Kevin Sligar氏は述べています。
プレミアム パッケージは、既存のBobサブスクリプションへのアドオンとして提供されます。それらは、Bobの3つのバージョンすべて(Pro、Pro+、Ultra)で使用できます。Premium Package for i は、ベースとなるBobバージョンの料金に上乗せされる形で、Bobの料金に月額約20ドル~40ドルが追加されます。Premium Package for i を含めて、Bob Proは月額60ドル~80ドルの料金が掛かり、Pro+は月額100ドル、Ultraは月額240ドル掛かることになります。詳細については、 bob.ibm.com/を参照してください。
