メニューボタン
IBMi海外記事2024.07.10

Power10エントリー マシン:Power S1012

Timothy Prickett Morgan 著

Power10サーバーのラインナップがすべて揃うまでには、約2年の年月が掛かりました。そして、 Power10プロセッサーの詳細について初めて記事で取り上げてからは約4年になりますが、先週の 「Bonnell」 Power S1012エントリー サーバーの発表 で、本当に全ラインナップが揃うことになります(出荷開始は6月14日の予定)。何か変わったことが起こらない限り、2025年のいずれかの時期にPower11アイアンの製品展開が始まるまでは、さらなるPower Systemsサーバーのアナウンスはないでしょう。

先週の記事では、Power S1012についてその時点で分かっていたことをお伝えしました。今週は、 発表レター「AD24-0217」 と、 このPower S1012マシンに関する新たなRedbook を入手できたため、このマシンについてより深く掘り下げてみようと思います。今後の記事では、IBMのBonnellボックスに向けての意図に関して分かったことについてお伝えしようと思います。また、このシステムに関する価格情報を収集して、長年にわたってOS/400、i5/OS、およびIBM i プラットフォームを稼働してきた他のエントリー サーバーとの比較も行ってみようと思っています。

Power S1012は、これまでにOS/400および後継ラインで目にしてきた中で物理的に最も小型のマシンの1つです。また、AS/400の発表以降、30年以上を掛けての、コンピュート、ストレージ、およびI/Oにおける性能向上を考えれば、様々な顧客のグループのエッジおよびデータセンター ニーズに合わせるべく、IBMは、そろそろより小型でキャパシティの小さめのボックスを作成してもよい時期だと言えます。

Bonnellシステムは、チップレットに8つのコアを持つ、Power10プロセッサーのシングル チップ実装をベースにしたシングル ソケット マシンです。フルタイプのPower10プロセッサーは、これらのチップレットを2つ備え、潜在的に16コアを持つソケットとなります。ただし、歩留りのために、現在は、それらのコアのうち、販売されているのは最大15コアのみです(今後、Power10のアップグレードがあるとしたら、16コアすべてをアクティブにすることを可能にするプロセッサー カード向けとなるでしょう)。Bonnelシステムは、ハーフワイドのマザーボードがベースとなっており、2Uラック マウント エンクロージャーにそれらを2台横に並べることができ、またはマシンをコンパクト タワー構成で使用することも可能です。110ボルトまたは220ボルトの電力を使用できる電源を備えており、これによって、国際的に使用できるボックスとなっています(私たちが思い出せる限り、すべてのエントリーPower Systemsと同様です)。

以下は、Power S1012と、同じくPower10ラインのエントリー ボックスである、現行のPower S1014およびPower S1022sサーバーとの比較です。

Bonnellマシンは、1つ、4つ、または8つのコアがアクティベートされ、ベース3 GHzで動作します。また、Power9およびPower10ラインの他のエントリー マシンと同様に、コア構成は静的であり、動的ではありません。使用されていないコアは、不良コアであるか、またはIBMおよびファブ パートナーのSamsung社によって永久的に区切られてしまっているため(数本のワイヤーを切るだけです)、マイクロコードの微調整で追加のコアをオンにすることはできません。このマシンは、業界標準DDR4メモリー スティックを使用します(容量16 GB、32 GB、64 GB)。Power10のSCM(シングル チップ モジュール)バージョンは、OMIメモリー チャンネルは8チャンネル、PCI-Express 5.0レーンは64レーンであるため、理論上はさらにメモリーおよびI/Oを拡張できますが、IBMは、意図的に制限しています。実際、Bonnellボックスで使用されるPower10 SCMは、2チャンネルのみアクティベートされており、102 GB/秒のメイン メモリーの帯域幅が実現されるのみです。これは、フルオンのPower10 DCMチップが実現できるものの1/4です。DDR4メモリーは3.2 GHzで動作します。

長年にわたってIBMによって組み立てられてきた他のスーパー エントリー マシンと同様に、1コア バージョンでは、IBM i 稼働でメモリーは最大64 GBに制限されます。また、3つの構成はいずれも、ストレージまたはネットワーキング拡張用の外部PCI-Express I/Oドロワーをサポートしません。さらに、このマシンのPCI-Expressスロットは、他のPower10サーバーとは異なり、ホットスワップ可能ではなく、ネットワーク機能仮想化およびLive Partition Mobilityなど、PowerVMハイパーバイザーの主要機能は、このPower10プロセッサーではアクティベートされません。同様に、アクティブ メモリー ミラーリングおよび仮想永続メモリー、大型機でアクティブであるPower10における他の機能は、Bonnellボックスではアクティブではありません。

以下に、Power S1012プロセッサー フィーチャーのブロック図を示します。

ブロック図のPCI-Expressスイッチは、実際には、8コアすべておよびOMIメモリー チャンネルがオフにされた、8コアのPower10チップレットです。これは、他のエントリーPower10マシンで最大限に活用されているのと同じSCMです。このSCMでは、多くのI/Oがオフにされているように思われます。

以下は、Bonnellシステム ボードを上から見た図です。

かなりミニマリズム(最小限主義)的なデザインですが、とはいうものの、IBM i 、AIX、およびLinuxを稼働しているエントリーおよびエッジ顧客にとって、必要となるだけのものはきっちり備わっています。

オプションのRDXバックアップ ストレージ エンクロージャーは、ラック スレッド内またはタワー構成で収容することができます(容量は320 GB、500 GB、1 TB、1.5 TB、および2 TB)。PCI-Express 5.0コントローラーに接続する4台のNVM-Expressドライブは、800 GBまたは1.6 TBの容量です。

以下は、ラックマウント シャーシのPower S1012サーバー スレッドの立体分解図です。

次の図のように、サーバー スレッドの側面が下になるように向きを変えて、タワー エンクロージャーに収納することができます。

奥行きがあるタワーですが、少なくとも、横幅はあまり広くありません。お察しの通り、ほぼどこへでも収まりそうです。

あわせて読みたい記事

PAGE TOP