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IBMi海外記事2023.06.28

IBM、IBM i 7.4および7.5向けテクノロジー リフレッシュを発表

Alex Woodie 著

予想されていた通り、IBMは昨日、IBM i 向けテクノロジー リフレッシュ(TR)、バージョン7.5 TR2および7.4 TR8を発表しました。今回のTRは、特にIBM i Navigator、IWS、PowerHA、およびRPGなど、このプラットフォームの中核的な領域に少しずつ段階的に改善をもたらす、比較的小規模なリリースと言えそうです。画期的と言えるものはありませんが、これらの機能強化は、まさしく多くのユーザーが必要としているものであることは間違いありません。

IT Jungle』では、今後数週間をかけて、これらの機能強化のそれぞれについて記事で取り上げ、詳しく紹介する予定です。さしあたって本記事では、今週 IBM が発表したばかりで、来月利用可能となる新機能について概観してみようと思います。

まず、新機能として最初に取り上げるのは、2021年秋に IBMがリリースした 新たなWebベースのクライアント、すなわち、IBM i Navigatorです。

New Navと呼ばれるこの製品では、Advanced Job Schedulerとの統合が、今回のTRでの目玉となっています。Advanced Job Schedulerは、 2021年末に大きな被害をもたらしたLog4j脆弱性の影響を受けやすい、旧Navigator製品からの移行を考えるIBM i ユーザーの間で、最も要望の高かった機能の1つでした。他にも、IBM i 7.5 TR2でのNew Navの新機能には、DNS構成のサポートや、IFS(統合ファイル システム)のサポートなどがあります。

データベースに関するものでは、IBMがハードウェアに組み込んだPower10の強みとなる機能を、IBMは、SQL Query Engine(SQE)でさらに活用しようとしています。IBMプロダクト マネージャーのAlison Butterill氏は、内部テストでは、Power10ハードウェア ブーストのおかげで、複雑な照会の実行が20%高速化するケースも見られると述べています。その数字なら、常にパフォーマンスの優位性に目を向けている、一部のIBM i のショップの注意を引くのに十分と言えそうです。

今回のリリースでも、数多くの新たなSQLベースのサービスが追加されています。これらのサービスは、システムに関する様々なタスクを実行し、CL(Control Language)コードの記述やシステムAPIでの作業の代わりとなる役割を果たしています。ここ何年かのTRでは、Db2 for iデータベースの権威、Scott Forstie氏のチームが、こうしたサービスを続々と生み出して提供してくれています。そして、IBM i 7.5 TR2および7.4 TR8も、そうしたいつものパターンから外れていないようです。Butterill氏によれば、今回のリリースでも15~20種類の新たなIBM i サービスまたはDb2 for iサービスが追加されるということです。

これらのSQLサービスについては、『 IT Jungle 』でも、今後数週間のうちに記事で詳しく取り上げる予定です。また、4月12日には、Forstie氏によるSQLサービスについての「 IBM i Guided Tour (ガイド・ツアー)」が予定されており、さらには、再来週、 COMMON がコロラド州デンバーで開催を予定しているPOWERUp 2023カンファレンスでも、SQLサービスをテーマとするセッションは、少なくとも1つはあるはずです。

IBMは、IWS(統合Webサービス)にRemote Systems Explorer(RSE)インターフェースを追加しようとしています。言うまでもありませんが、RSEは、ユーザーがリモート システムのアプリケーション ライブラリーを探索することを可能にする、Rational Developer for i(RDi)のコンポーネントです。この機能強化により、非RDiユーザーがREST APIを介してRSEの機能にアクセスできるようになります。これは、Merlinおよび他のVSCode製品(Code for IBM i など)のユーザーにとって(そして開発ツールを使用するサードパーティ ソフトウェア ベンダーにとっても)有益だろうとButterill氏は述べています。

開発者と言えば、RPGおよびCOBOLには、新たなTRで、またいくつかの新機能が追加されているようです。Butterill氏によれば、Rational Development Studio for i(RDS)コンパイラー パッケージには、RPGですべての区切り記号で分割を実行する組み込み関数(%SPLIT)や、新たなストリング組み込み関数、%LEFTおよび%RIGHTなど、新たな組み込み関数(BIF)が追加されるということです。トロントのBarbara Morris氏のチームからさらに詳しい情報が入りましたら、またお伝えするつもりです。

1年前にお披露目された Merlinは、軽量なVSCodeベースのIDE(それに加えてMerlinが提供しているすべてのサポート機能)を求める開発者からかなり多くの関心を集めているようですが、今回のリリースは、Merlin向けには大きなリリースとは言えなさそうです。Merlinについては、今回のリリースではCL構文解析機能が改善されているということです。

しかし、IBMは、新たなTRで、VSCode向けのいくつかの追加機能を提供しています。具体的には、IBMは、ファイルをアップロードする新たな方式、認証なしでセキュアにIBM i へ接続する機能、新たなTypeScript APIドキュメント、およびCLのサポートなどを導入するべく、VSCode拡張機能パックの機能強化を行っています。また、IBM i デバッガーのサポートも含まれていますが、これは 今年初めに提供されています。

また、オープンソースに関するものでは、IBMは、さらに多くのJavaアプリケーション サーバーをIBM i に取り入れています。WebSphereやTomcatを使用したくない場合は、7.5 TR2および7.4 TR8では、WildFly(JBossのオープンソース バージョン)やEclipse Jettyなどのオープンソースの代替製品を使用できるようになります。

PowerHA SystemMirror for iにも、大きな新機能が加わっています。以前のリリースでは、PowerHAユーザーは、地理的ミラーリング データ レプリケーション プロトコルを使用して、1つのプライマリー システムから1つのセカンダリー システムへデータを複製することができました。7.5 TR2および7.4 TR8では、PowerHAは、6ノード デプロイメントをサポートするようになりました。つまり、ユーザーは、1つのプライマリー システムから最大5つのセカンダリー システムへ複製することができます。

IBMは、製品にSQLを組み込む方法に関する用例を提供する、SYSTOOLSスキーマの機能強化も行なっています。最後に、BRMS(Backup, Recovery, and Media Services)にも、いくつかの新機能が追加されています。これについても、今後の記事で取り上げる予定です。

今年、IBMがWebで公開している「 IBM Guided Tours (ガイド・ツアー)」動画でも、これらの新機能の多くが取り上げられることと思います。そして、もちろん、再来週のデンバーのPOWERUpカンファレンスでも、IBM関係者たちが大勢集まり、様々なセッションが開催されることでしょう。さしあたっては、IBM i 7.5 TR2のIBM発表レターは こちらで 、IBM i 7.4 TR8のIBM発表レターは こちらでご覧になれます。

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