新たなNavigatorではSQLサービスを活用
先週、IBMは、IBM i 7.3および7.4向けの新たなテクノロジー リフレッシュ(TR)を発表しましたが、その中には有用な機能がたくさんあるようです。一番大きなニュースの1つは、おそらく、IBM i Navigatorが全面的に刷新されたことと言えるのではないでしょうか(IBMでは「New Nav」と呼んでいるようです)。では、New Navのどのようなところがそれほど凄いのでしょうか。
IBM は、Webおよびモバイル アプリケーションを構築するためのJavaScriptフレームワークであるAngular、およびAngular向けの一般的なコンポーネント ライブラリーであるPrimeNGで、一からNew Navを作り直しました。これら2つの技術を組み合わせることで、New Navには、あらゆる年齢層のユーザー(特にグリーンスクリーン嫌いのミレニアル世代)に受けが良さそうな、斬新な外観のインターフェースがもたらされています。
しかし、本当に違いを生んだのは、IBMがNew Navの内部で行ったことです。IBMコマンドおよびAPIをベースにデータを取得する代わりに、様々な値の取得のためにシステムに問い合わせる手間の掛かる処理を、SQLサービス(訳注: 新名称は「IBM i サービス」)およびRESTに任せるようになりました。
「この1年半、IBM i 開発チームは、Navigatorのまったく新しいWebユーザー エクスペリエンスの開発に懸命に取り組んできました」と、IBM i 開発ツール担当IBMアーキテクトのTim Rowe氏は、COMMON主催のアナウンスメント ウェブキャストで述べています。「私たちは非常にワクワクしています。」
いったんGUIを横に置いておけば、IBM i のショップがNew Navを目にして感じるであろう一番の変化は、1つの画面から複数のIBM i システムまたはLPARを監視および管理できるようになっていることです。以前のNavigatorでは、複数のシステムまたはLPARを管理するには、ユーザーは複数のタブを開く必要がありました。これは混乱のもとになりかねません。
New Navでは、管理者はどのようなシステム メトリックを管理したいか選ぶことができるようになります。たとえば、CPU使用率、ASP使用率、またはアクティブ ジョブの数など、分かりやすいものもあります。
New Navでは、こうした一般的なメトリックや、対応するSQLサービスがすでに構築されている他のメトリックから、ユーザーが自由に選べるようになっています。IBMは、過去数回のオペレーティング システムのリリースを通じて、数百ものメトリックを開発してきました。
「1つまたは複数のシステムにわたって、現在の状況を簡単に視覚化できるダッシュボードがあることから得られる機能性および柔軟性に非常にワクワクしています」とRowe氏は述べています。
しかし、Rowe氏がライブ デモで示したように、これらがすべてではありません。たとえば、ユーザーがアクティブ ジョブをクリックすると、アクティブ ジョブ画面が表示され、そこでは、特定の1つまたは複数のシステムでアクティブである様々なジョブを確認することができます。また、管理者はジョブをフィルタリングして、たとえば、自分が発行したジョブのみを確認することもできます。
New Navは、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることができる、対話式のダッシュボードとして機能します。ユーザーは、様々なSQLサービスをダッシュボードにドラッグ&ドロップすることができ、1つまたは複数のシステムの現在の状態について様々な側面から詳細に確認することができます。また、画面があまりに雑然とした状態になってしまった場合でも、心配ありません。New Navは、デフォルトの状態に戻る機能を備えています。
聞いたところによると、New Navの「カスタム チャート」と呼ばれる機能は、管理者にぴったり寄り添うような存在になるそうです。
「カスタム チャートをクリックすると、新たにウィンドウが開きます。このウィンドウで、モニター チャートを作成することができます」とRowe氏はライブ デモで述べています。「任意のシステムのモニターを行うことができるチャートを作成することができます。いくつかのメトリックをモニターしてみましょう。ここでは、CPU使用率、システムASP使用率、およびシステムで現在アクティブ状態であるジョブの数をモニターしてみます。これらをクリックすると、表示される様々なメトリックを確認することができます。現在の状況が簡単に見て取れます。やはり、視認性が高くなるよう意図されているため、特定のシステムおよびメトリックの現在の状況を実に素早く、簡単に確認することができるのです。」
また、新たなインターフェースでは、ユーザーは、サービスを動かしているSQLコードをコピーすることもできます。「興味をお持ちの方は、これを別の方法で使用してみることも可能です」と彼は述べます。
New Navの初期リリースには、機能が非常に豊富だった以前のNavigatorリリースにあったすべての機能が含まれているわけではないとRowe氏は述べます。「しかし、極めて重要と考えられる、ユーザーが日常的な業務を行うのに必要とされる機能の大部分は含まれています」と彼は述べます(Old Navのどのような機能がNew Navでサポートされていないかは明らかではありません。『 IT Jungle 』では、IBMに問い合わせているところです)。
重要な役割を担うようになっているのは、Performance Data Investigators(PDI)が収集している情報です。New Navでは、ユーザーは、PDIのデータを基に生成されたデータおよびチャートを利用できるため、PDIが収集しているデータを視覚的に確認することができます。
また、New Navは、ファイル共有に関する情報など、以前はNavigatorに存在しなかったいくつかの新たな情報もサポートしているとRowe氏は述べています。「パスが利用可能かどうか確認することができます。現在、このファイル共有にアクセスしているユーザー数を確認することもできます」と彼は述べます。「こうした情報の一部については、以前は、調べることができなかったかもしれません。」
管理者がNew Navを使用して行えることには、他にどのようなことがあるのでしょうか。Rowe氏によれば、ボタンをクリックすることで、パスワードの試行回数制限の超過などの違反により、どのユーザーが無効化されているかについて正確に示す画面を表示することができます。「顧客がファイル共有へのアクセスを試みて何度プロファイルが無効化されたかは分かりません」とRowe氏は述べます。
結局のところ、IBMチームは、New Navigatorに組み込まれ、これから提供されることになる機能について非常にワクワクしているとRowe氏は述べています。「New Navigatorは、豊富な機能を備え、非常に有用で、処理が非常に高速です」と彼は述べます。「そのため、ユーザー コミュニティの手に渡るのが非常に楽しみです。」
New Navigatorは、9月の最終週に作成される予定のHTTP PTF Groupの一部としてリリースされるとRowe氏は述べます。しがたって、IBM i ユーザーは、今すぐにNew Navを使用することはできません。しかし、Rowe氏の言う通りであれば、少し待ってみる価値は十分にあるはずです。