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IBMi海外記事2026.07.08

「ビッグイージー」の街で、点と点を結ぶと見えるIBM i のAI戦略

Alex Woodie 著

IBMは、IBM i 向けに開発している新たなAI製品をまだ正式に発表していません。BobおよびMCPサーバーについては知っていますが、IBM i に導入されるAI製品はもっとたくさんあります。IBMは、先週、ニューオーリンズで開催されたPOWERUpでの非公開セッションで、今後についての詳細情報を共有していますが、そこには、IBMがどこへ向かおうとしているか、どのようなものが導入されるのかについてのヒントが示されています。どこに注目すればよいのか見て行きましょう。

言うまでもなく、IBM i はビジネス プラットフォームです。エンタープライズ アプリケーションを稼働させ、しかも、それらを極めて上手い具合に機能させます。核反応のモデル化や、AIモデルのトレーニングを行いたい場合は、適したシステムではありません。しかし、本稼働中のエンタープライズ アプリケーションでAIモデルを連携したい場合は、IBM i 以上に最適なシステムを見つけることは難しいでしょう。

要するに、それは、先週の COMMONの年次カンファレンスでIBMが行ったプレゼンテーションです。オープニング セッションでの基調講演で、Power Systemsゼネラル マネージャーでIBMフェローの Hillery Hunter 氏は、AIとIBM i の組み合わせは実り多きものになると繰り返し主張しています。

オープン システムで稼働している顧客は、AIへの取り組みをサポートするためにどのようにデータ レイクを構築するかに関して大きな意思決定を迫られていると、Hunter氏は基調講演で述べています。しかし、IBM i のショップは、オープン システムにはない強力なデータ基盤がすでに提供されていることから、ほとんどはそうした意思決定をしないで済みます。

「AI時代に足を踏み入れられるようにするには、非常に複雑な意思決定が伴います。データ レイク、データ ウェアハウス、データ ガバナンスに関する議論を重ね、新たなミドルウェアを入手して、それらの問題に取り組まなければなりません」とHunter氏は述べています。「私たちは、そうした模索が必要な大規模な資産向けに、あらゆる製品を備えています。しかし、現在、IBM i を使用していて、ワークフローがそこで稼働している場合は、そうした手元にある基盤をそのまま使うことで、このAI時代に足を踏み入れることができます。」

PowerにおけるAI

AI for IBM Power担当シニア プロダクト マネージャーのAshwin Srinivas氏は、「AI with IBM Power - portfolio and strategy(IBM PowerにおけるAI - ポートフォリオと戦略)」と題するセッションで、AIがIBM i にもたらす課題と機会についてIBMはどのように考えているかを垣間見させてくれました。

IBMは、AIをPowerに常駐させることを望んでいます(IBM i では一部かもしれません)。

「AIネイティブは、企業における新たなデフォルトになりつつあります」と彼は述べています。「業務部門は、多くのビジネスクリティカルなワークフローが実際にこのプラットフォーム上で実行される、AIネイティブなワークフローを探し求めています。」

Bobは、IBM i でのソフトウェア開発向けのAI製品です。IBMは、3月にBobの最初のバージョンを公開し、近々、直接IBM i からのソース コード ファイルの読み取りのサポートなど、重要な機能を提供するプレミアム パックの提供を開始します。これにより、ソースをPCにダウンロードしたり、クラウドから読み取ったりする必要はなくなります。

「多くのエンタープライズ アーキテクトは、AIネイティブの開発では、コードの修正、構築の迅速化、モダナイズ、コード説明の支援がどのようにしてなされるかなど、様々なことに注目しています」とSrinivas氏は述べています。「大事なことを言い忘れるところでしたが、私たちはAIネイティブ運用にも注目しています。すなわち、最初からAIを利用して、プラットフォームが常に更新され、管理され、修復され、セキュリティが確保された状態に保たれるようにするということです。」

IBMは、AIを動かすコンピューティング リソースと、AIを企業に役立たせるデータを接続することに取り組んでいるとSrinivasan氏は述べています。すべての要素がPowerボックス内に収まることになりますが、すべてがIBM i の制御下に置かれるわけではないかもしれません。

「私たちは、AIをできるだけデータの近くで稼働させるようにしています。そして、重要データはすべてPowerプラットフォーム上にあります」と彼は述べています。「私たちは、同じプラットフォームで企業プロセスと統合されるようにAIを稼働することを可能にする、必須のインフラストラクチャー、データ層、および他のいくつかの機能が含まれるプラットフォームを構築しています。」

そのためには、一部のAIプロセスをOpenShift(Red HatのEnterprise Linuxディストリビューション向けのKubernetes実装)内で実行することが必要となるかもしれません。IBMは、PowerをAIモデルのトレーニング向けの汎用プラットフォームにすることには関心がありません。目指すのは、純粋に企業顧客にAIを利用可能にすることです。場合によっては、それは、Powerおよびそのアクセラレーターでより小規模なオープン モデルをトレーニングするということかもしれませんし、さらには、フィードバックに基づいてAIモデルのファインチューニングを行うということかもしれません。

「私たちは、Spyreで、すぐに使えるAI機能を構築しようとしています」とSrinivas氏は述べています。また、IBMは、「さらなるアクセラレーション、より大規模なモデル、同時実行性の向上、スループットの向上を実現する」ために、Spyreを超える他のAIアクセラレーターも検討していると彼は述べます。

IBMは、構造化データでAIおよび機械学習を稼働することに主に重点を置いてきましたが、IBMは、Watsonxプラットフォームを使用して非構造化データを処理する機能を拡張することを目指していると彼は述べています。コンテキストはAIにおける鍵となるものであり、IBMは、エージェントが様々なPowerプラットフォーム上に置かれているデータで稼働するようになったときに、確実にコンテキストが維持されるようにするために取り組んでいます。

「ビジネス プロセスや構築するワークフローが、ビジネスであれ、エンタープライズであれ、コードであれ、個別のステップを処理しているそれぞれのエージェントで実際に正しく行われるようにするには、実際にそれらのエージェントのオーケストレーションを行う必要があります」と彼は述べています。「そのため、私たちが目指しているのは、IBM i、AIX、Linuxなどすべてにわたるオーケストレーション プラットフォームを構築することです。」

ベクトル データベースは、以前はベクトル化されてきた特定の情報にAIアプリケーションが極めて高速にアクセスできるようにするため、RAG(検索拡張生成)パイプラインで重要な役割を果たします。しかし、Db2 for i データベースは、現時点でベクトル ストアをサポートしていません。

「それを行う方法は複数あります」とSrinivas氏は述べています。「私たちはそれらの一部をサポートしています。Db2では、まだそのストレージをサポートしていません。そのため、現時点では、このような専用ストアに保存することができます。しかし、IBMとして行おうとしているのは、 OpenSearchと呼ばれるものに切り替えることです。OpenSearchは、ハイブリッド検索エンジンであるため、ベクトル スペース全体、テキスト全体、構造化データ全体で検索することが可能になります。」

エージェンティック ネイティブ オペレーティング システム

IBMのエンジニアのAdam Shedivy氏は、「 IBM i :The First Agentic Native Operating System(IBM i :初めてのエージェンティック ネイティブ オペレーティング システム)」と題するセッションで、AIを活用したIBM i の運用がどのようなものになるのかを垣間見させてくれました。

ここ数年の間にIBMが採用した若手エンジニアのうちの1人であるShedivy氏は、普段は、Code for i プラグインなどの開発ツールに取り組んでいます。そのため、彼は、IBMのデータベース アーキテクトのScott Forstie氏と彼のチームがACSおよび「SQLスクリプトの実行」機能に組み込んできた豊富な種類のSQLサービスを認識していませんでした。

IBM i は、エージェント型AIオペレーティング システムに必要なコア機能を備えています。

「妙な話ですが、SQLサービスのような、システムに関する情報を取得する方法があることを知りませんでした。それらを実際に日常業務で使用したこともありませんでした」とShedivy氏は述べています。「CEACミーティングの時のことだったと思います。Scott氏は、「このSQLスクリプトは脆弱なファイルを発見することができ、そうしたファイルを修正するコマンドを実際に生成することさえできます」と述べていました。」

Forstie氏は、長年にわたってSQLベースのオートメーションの素晴らしさを熱心に布教していることは言うまでもありません。人間の管理者は、ACSおよび「SQLスクリプトの実行」機能を介してこれらのコマンドを開始することができます。しかし、SQLの真のパワーは、これらのスクリプトが他のイベントへの応答として開始されるときや、特定のタスクを実現するために結合されるときなど、オートメーションを通じて存在します。

技術的な偶然のもうひとつの例として、MCP(モデル コンテキスト プロトコル)の出現があります。MCPは、AIモデルを既存のデータ ソースに接続するための業界標準となりました。AIエージェントをIBM i データおよびリソースに導入する可能性は、それを自分自身で構築したい誰にとっても、実現する絶好のチャンスを迎えています。Shedivy氏が述べたように、30分間のPythonのコーディングで、目的が実現します。

「AIアシスタントまたはチャット ボット ウィンドウをデータの周りに貼り付けるのではありません。実際は、オペレーティング モデルに直接加わるこれらのエージェントを構築しています」とShedivy氏は述べています。「これらのエージェントは、効果的なやり方で、実際にビジネスについて推論し、意思決定し、代行することができます。そして、これこそが、誰もがそうなるよう目指しているものだということです。AIネイティブになりたいと誰もが思っています。彼らのビジネスがAIによって100%照会可能になって欲しいと誰もが思っています。IBM i は、実際、こうした多くのことをサポートするのに非常に適した立場にあるということです。」

Shedivy氏によれば、エンタープライズITシステムで効果的に動作するためには、エージェント型システムは、5つのコア機能を備えていなければなりません。すなわち、スケジューリング、ID管理、ステート管理、可監査性、およびポリシー適用(セキュリティ)です。Shedivy氏は、 Runlayer 社のようなスタートアップが、エンタープライズ コンピューティング リソースの上にこれらの機能の層を重ねるエージェント型プラットフォームをどのようにして構築しようとしているかについて触れています。結局のところ、IBM i はすでにそれを備えているということです。

「ID制約付き実行、スコープ指定された権限、可監査性といった、こうした素晴らしい機能は、その統合性により、すべてIBM i に付属しているものであることが分かります」と彼は述べています。「IBM i は、実際にこれら5つをすべて備えており、すぐに使用できるようになっています。」

新たな新バックエンド

ビジネス アーキテクトのJesse Gorzinski氏は、「 Agentic AI and IBM i(エージェント型AIとIBM i)」と題する基調演説で、誰も触れたがらない重要な問題についてすぐに取り上げました。「まずは、「エージェンティック ネイティブ オペレーティング システム」という用語を生み出したことに対して拍手を送りたいと思います。Adamに盛大な拍手を」とGorzinski氏は述べています。「この上なく素晴らしいことです。しかし、来週、私はその功績を自分の手柄にさせてもらいます。」

Gorzinski氏が生み出したのではなくても、やはり自分の名言にしようとするかもしれない言葉がもうひとつあります。すなわち、「昨日のフロントエンドは今日のバックエンド」です。

言い換えれば、人間が、従来のバックエンド システム(給与処理、HRタスク、または請求書作成など)に接続した5250グリーンスクリーンまたはGUIを操作したのと同じように、AIエージェントは、今では組織化されていて、基本的にユーザーがキーボードを叩き、GUIでマウスを動かしてボタンをクリックするのをエミュレートすることによって作業を処理するようになりつつあります。元のバックエンド(すなわちIBM i)は、安定的であり、セキュアであり、可用性が高いと考えられていますが、そこへの道筋は、今ではエージェントの領域へとレベルが上がっています。

Gorzinski氏は、セキュリティ脆弱性がないかIBM i を自動的にチェックし、このようなレポートを生成するAIエージェントを開発しました。

Gorzinski氏は、AIエージェントがIBM i システムとどのように対話することができるかについて、いくつかの実例を示しています。たとえば、IBM i ベースのMCPサーバーを使用して、AIモデルと、Db2 for i 内に置かれている売上データを接続することができます。次いで、モデルにプロンプトして、モデルがデータで見つけた興味深いインサイトまたはトレンドを使用して、PowerPointプレゼンテーションを作成させることもできます。Gorzinski氏は実際にこれを実演して、その結果をCOMMONの聴衆に示しました。

「これは、80,000ドルのソフトウェア パッケージではありません。2つのSQLステートメントとMCPツール、そして推論型大規模言語モデルです」とGorzinski氏は述べています。「そのため、PowerPointスライドの作成で生計を立てている私のような人間は、何か他の仕事を探さなければなりません」と彼は冗談を言います。

Gorzinski氏は、他にもいくつかの例を示しています。たとえば、 Real Vision Software 社を利用して、トラック運転手向けの問題解決アプリケーションを構築している運送会社や、花壇用の資材を設計し、見積りを行うアプリケーション、そしてIBM独自のゼロ クライアントの取り組みです。これは、人間をAIに置き換えることによって、40億ドルの人件費を節減したと報じられています。

AIとIBM i に関して言えば、舞台裏で進行していることはたくさんあります。ちょうど、年次COMMONカンファレンスに間に合うように春のテクノロジー リフレッシュを発表する準備がきちんと整っていなかったように、IBMは、ラボで企んでいるすべてのことを公表する準備がきちんと整っていません。

「進行しているすべてのことについてお話しすることはできませんし、導入するすべてのものについてお話しすることもできません」とGorzinski氏は述べています。「たぶんカンファレンスが2か月後だったとしたら、そうすることもできたのでしょうが、まだそれらについてお話しすることはできません。しかし、私にできることは、紙に2つの点を書き、皆さんにペンを手渡して、点と点を結んでもらうことです。」

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