IBMのCEO、生成AIは企業に有用だが、AGIには至らず
AIハードウェアの支配的なサプライヤーであり、生成AIブームの主な牽引者であるのは、Nvidia社であって、IBMではないため、IBMのCEO、Arvind Krishna氏は負け惜しみを言っているのかと思われるかもしれません。しかしKrishna氏がAIシステムに関する過剰な支出予測に冷や水を浴びせたのは、企業顧客の対応経験が豊富な、責任ある理性的な人物であったからに他なりません。
Krisha氏は、先週、『 The Verge 』の編集長、Nillay Patel氏の 「 Decoder 」ポッドキャストに出演しました。1時間にわたる対談の中で、生成AIへの投資額に話題が及ぶと、IBMのCEOは、採算が合わないと述べています。
具体的には、1ギガワットのデータセンター キャパシティを構築し、それほど大量の電力を消費し得るAIスーパーコンピューターを構築するために、コンピュート エンジンおよびネットワークでデータセンターを埋めるとしたら約800億ドル掛かるとKrishna氏は述べます(500億ドルという説もあります。この金額は少し多めのように思われますが、これには、GPUまたはXPUコンピュート エンジンの耐用年数全体での消費電力も含まれるかもしれません)。そして、ある企業(Krishna氏はOpenAIに言及していました)が、およそ20ギガワット~30ギガワットの演算処理に投資した場合では、約1兆5000億ドルの資本的支出ということになります。そして、それを5年で使い切り、入れ替えを行う必要があります。汎用人工知能(AGI: artificial general intelligence)を追い掛けている企業による投資は、世界全体でおよそ100ギガワットのキャパシティだとKrishna氏は述べています。これは8兆ドルの資本的支出です。
「そうした投資額を回収できる見込みはないというのが私の見方です」とKrishna氏は述べます。「8兆ドルの資本的支出ということは、利払いだけのために、およそ8,000億ドルの利益が必要となるからです。」
Krishna氏は続けて、現在のAIテクノロジーだけでAGIに到達できる可能性は非常に低い(0%~1%程度)と思うと述べています。
「こうした現在のAIテクノロジーは素晴らしいと思います」とKrishna氏は続けます。「企業向けには信じられないほど有用だと思います。はっきり言えば、企業では何兆ドルもの生産性をもたらすことになると思います。とは言うものの、AGIでは、現在のLLM技術よりも、もっと多くのテクノロジーが必要となると思います。」
問題は、人間と同じ権利を持つことになるマシンを本当に作りたいかということです。世界のモデル ビルダーによって行われている研究の明確な目標ではないとしても、それはAGIの影響(結果)として作られてしまうように思われます。その問題が話題に上ることはあまりありません。また、生成AIテクノロジーで企業をさらに自動化することには非常に関心を持ち、AGIについて考えるのに多くの時間を費やすことには関心がない、IBMのような企業から何かがあるだろうとは期待するべくもありません。
