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IBMi海外記事2026.01.28

IBM、InstanaでのIBM i サポートを強化し、トレース機能を追加

Alex Woodie 著

ハードウェアやソフトウェアの稼働状況についてより洞察を深める必要があるIBM i のショップは、IBMのInstanaソフトウェアを検討してみると良いかもしれません。IBMは、このオブザーバビリティ(可観測性)ツールに投資を続けてきましたが、最近のアップデートにより、このツールはIBM i システムでトレースをサポートするようになりました。これは、IBMがIBM i 顧客を支援するためにInstanaに対して行ってきたいくつかのアップグレードのうちの1つです。

IBMは、2020年11月にInstana社を買収して、新たに生まれたオブザーバビリティの領域で存在感を高めました。これは、特に、この領域がクラウドネイティブ環境(すなわち、Kubernetesおよびマイクロサービスを使用している環境)の監視と関連があったためです。IBMは、その前年に340億ドルを費やしてRed HatおよびOpenShift製品ラインおよび顧客ベース(小規模でしたが)を買収したばかりでした。そして、Kubernetes抽象化レイヤーによって従来の監視機能が遮断されてしまいがちであることから、IBMは、多くの情報から要点を絞って、顧客が知るべき情報を伝えるための最新のツールを必要としていました。

買収して以来、IBMは、Instana製品を、単に、クラウドネイティブ環境で稼働するアプリケーションに限らず幅広いアプリケーションを監視する機能を含めた、本格的なオブザーバビリティ ソリューションの形に作り上げてきました。それには、IBM i など、IBMのビッグ アイアン上で稼働しているアプリケーションも含まれます。

InstanaがIBM i 環境に何をもたらすかについては、 2022年の記事で取り上げています。3年前の時点で、Instanaは、IBM i 環境から、CPU使用率、アクティブ ジョブ、ASP使用状況、メッセージ待ち行列、スプール使用状況など、100種類ほどのイベントおよびメトリクスを収集して表示することができました。また、アクティブな照会の数、データベース読み取り、データベース書き込み、およびSQLプラン キャッシュ情報のような、Db2 for i データベースからのメトリクスをチェックおよび表示することもできました。

しかし、ここ数年の間に、InstanaにおけるIBM i サポートに対していくつかの変更がなされています。最大の変更は、ネイティブなIBM i エージェントが提供されたことです。

最近まで、Instanaは、リモート監視を介してIBM i をサポートしていました。つまり、Instanaソフトウェアは別個のLinuxまたはWindowsインスタンス上で稼働して、IBM i からデータを取り出すということです。そのような環境は変わりました。Instanaに、直接IBM i 上で稼働するネイティブなエージェントが加わったからです。

ネイティブなエージェントが加わったことで、いくつかのメリットがもたらされます。その1つは、IBM i での自動化されたトレース機能の開発です。トレースは、オブザーバビリティ データの3つのタイプ(他のタイプはログとメトリクス)のうち、適切に処理するのが一番難しいデータです。トレースでは対話処理的に調査が行われるためです。それだからこそ、IBMは、それを適切に処理するために直接IBM i システム上で稼働するネイティブなエージェントを必要としたのだと思われます。

最近の「 IBM i Guided Tour」のウェビナー動画で、ソフトウェア エンジニアのBrock Shamblin氏が、Instana製品にIBM i トレース機能が加わる意義について説明しています。

「これでもう、IBM i は、アプリケーション スタックにおけるブラック ボックスではなくなります」と、ロチェスター ラボに勤めるShamblin氏は述べています。「たとえば、アプリケーションを監視していて、IBM i の中に入ると、多くの場合、すぐそこで終了してしまうのです。IBM i システムの下流部の向こう側で何が起こっているか、IBM i システム上で何が起こっているか確認することはできません。しかし、今回のアップデートにより、Instanaで、これらのトランザクションをIBM i 全体で、およびIBM i を通じて下流部全体でトレースして、トランザクション全体を完了することができるようになりました。」

InstanaのIBM i でのトレース サポートについては、いくつか注意すべき点があります。まず、現時点では、JDBCプロトコルおよびJava製品をサポートしているのみです。つまり、WebSphere、Liberty、およびIWSで発生している問題をトレースすることができるということです。また、Shamblin氏はNode.js環境もサポートすると述べています。しかし、彼はトレース サポートが拡大することを示唆しています。IBMが、ILE言語のサポートを追加するのかどうか、あるいは、PHPやPythonのようなPASEランタイムを使用する新しい言語にこだわるのかどうかは興味深いところです。

もうひとつ、IBMがInstanaに追加しているIBM i 機能に、監査ジャーナルのサポートがあります。権限変更や権限障害のようなイベントは、Instana内でアラートを生成するようになり、これにより、様々なレスポンスを開始することも可能になります。いずれ近いうちに、IBMがInstanaのIBM i セキュリティ機能を強化することが期待されます。

「また、パスワード イベントのサポートも追加します。たとえば、不正パスワードまたは不正ユーザーなどの監査ジャーナル項目が追加される予定です」と、Shamblin氏は「IBM i Guided Tour」で述べています。「ここは、数多くの要望が寄せられた領域の1つです。」

Instanaは、オブザーバビリティ イベントに対するレスポンスとして、自動化されたアクションを実行することができます。その場合、ユーザーへの通知は必要なるなくかもしれません。ユーザーは、Instanaの「アクション カタログ」を通じて、自動化されたイベントに対するレスポンス(スクリプトやAnsibleプレイブック)を定義することができるとShamblin氏は述べています。

また、IBMは、InstanaにwatsonX AIも組み込んでおり、これは、現在の状況を監視してレスポンスを提案します。「それは、イベントおよびイベント テキストに基づいてアクションを自動的に認識します」とShamblinは述べています。「自動化ポリシーやアクション カタログを調べて、どれが最重要と考えられるか確認します。」 ほとんどの場合、AIはSREチームに向けてドキュメンテーションを生成すると彼は述べます。しかし、それを使用して、自動化されたスクリプトを生成することもできます。

「これらのアクションは、自動的に行われるようにすることもできます」と彼は付け加えます。「これらを自動的に実行するように設定することができます。そうすると、指定されたイベントが発生したときに、自動的にこのスクリプトが実行されることで、そのイベントは解決されるはずです。ユーザーやチームは何もする必要はありません。」

オートメーションは、Instanaのバリュー プロポジション(価値提案)の大きな部分を占めています。構成も自動的に行われます。IBM i エージェントをロードすると、自動的にエージェントの構成が行われ、ログ、メトリクス、およびトレースがサポートされているすべてのソースを検出します。しかし、Instanaは、カスタム メトリクスを開発する方法をサポートしています。これは、Prometheusを利用します。この機能では、どのようなSQL照会を収集したいかを定義するJSONファイルを構成することが必要になります。Instanaは、自動化されたレスポンス システムだけでなく、ダッシュボードにもデータを入力します。

また、Instanaは、IBM i におけるより複雑なイベント タイプだけでなく、カスタム イベントもサポートします。たとえば、Instanaを構成して、CPUレベルが一定のしきい値を超えたときにアラートを送信するようにすることができます。より複雑なイベントの例は、実行されているはずのジョブが実行されていないときや、ジョブが間違ったステータスで実行されている場合です。これらのケースでは、アラートを生成するようにInstanaを構成することができます。同じようなイベントを、IBM i ジョブ、サブシステム、および他のコンポーネントでの想定外の条件に対してアラートするようにセット アップすることができるとShamblin氏は述べています。

InstanaのIBM i 特有の監視機能には、ネットワーク アクティビティおよびライセンス管理機能もあります。IBMは、顧客が保有しているライセンス、ライセンスの有効期限、およびPTFおよびグループPTFについての情報を、直接、Instanaで確認する機能を顧客に提供しています。

Instanaの最新のIBM i 機能に関する「IBM i Guided Tour」のウェビナー動画は、 こちらでご覧になれます。Instana IBM i センサーの詳細については、 こちらをクリックして参照してください。

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