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IBMi海外記事2026.01.28

生成AIブームによって回復するクラウド売上高

Timothy Prickett Morgan 著

成熟した競争の激しい市場では予想されることですが、2021年末から2022年末にかけて、エンド ユーザーによるクラウドへの支出の増加率は、時の流れとともにますます鈍化し続けていました。当時の傾向を基にすれば、今頃の増加率は、おそらく世界のGDP(国内総生産)の成長率の2倍~3倍程度までに鈍化していたでしょう。私見ですが、こうした鈍化傾向をみることで、IT市場の一分野がどの程度成熟しているかが分かると思います。

何か変わったことが起こらない限り、IT市場は常にGDPより速いスピードで成長する傾向があります。IBMのPower SystemsやSystem zのような限定的な市場における、長い周期で揺れ動く製品サイクルには当てはまりませんが。

いずれにしても、生成AIが登場して、クラウドへの支出が再活性化されました。特にGPUアクセラレーテッド システムに対する支出や、プロプライエタリなXPU(今日の市場で主要な2つを挙げればGoogle社のTPUとAmazon Web Services社のTrainium)で強化されるシステムに向けての支出にも活気が戻りました。以下の図で、世界のクラウド売上高の成長曲線が、2023年第3四半期にどのようにして急旋回したかを見てみましょう(Synergy Research社によってまとめられたデータによる)。

これは、大手クラウド事業者が、2年以上にわたって世界中のNvidia GPUのほぼすべてを自分のものにしていて、OpenAIやAnthropicなどの大手AIモデル ビルダーが、中間業者(Google、Microsoft、AWSだけではなく、NvidiaやAMDも含めて)を省いて資金を節約するためには、独自のデータセンターを確保し、独自のアクセラレーターを購入または構築する必要があると気づく前に起きた現象です。

しかし、生成AI向けに自社製XPUに移行するには時間が掛かります。それは、AIモデル ビルダーが持っていないものであるため、彼らは、手に入れることができるどのようなGPUまたはXPUも購入またはレンタルし、見つけることができるどのようなものでも購入します。Nvidia社は、前世代と比較して5倍の数のGPUを製造していますが、世界が購入したいと思っているのは、10倍または15倍(もしかするとそれ以上)の数のGPUです。そして、それがクラウド売上高を猛烈に牽引しているわけです。

Synergy社は、2025年第3四半期の世界のクラウド売上高は1,069億ドルだったと述べています。この数字には、インフラストラクチャー、プラットフォーム、およびホステッド プライベート クラウド サービスが含まれています。世界市場は前年同期比で(2024年第3四半期の842億ドルから)27%成長し、対前四半期比では(2025年第2四半期から)7.5%増でした。これは、対前四半期比では記録的な成長率でしたが、おそらく、来年か再来年までは、再び、このような成長率になることもあり得ると思われます。GPUアクセラレーテッド インスタンスのレンタル料金の売上高が対前年比で3倍になるからです。

第3四半期のAWSの市場シェアは29%で、Microsoft Azureのシェアは20%、Google Cloudのシェアは13%でした。MicrosoftとGoogleが、これまで一貫して1/3以上の市場シェアを占めてきたAWSとの差を縮めつつあります。

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