'23年秋のTRがNavigator for i にもたらすもの
来月、利用可能になるIBM i のリリースでは、IBM i へのアクセス、監視、管理を行うためのWebベースのインターフェース、Navigator for iにも、機能強化がもたらされます。しかし、まだ利用可能になっていないいくつかの機能無しでは、レガシーなNavigatorツールからの移行が進むのは、もう少し後になるかもしれません。
信じ難いことですが、新しいNavigator for iオファリングは、登場してからまだ2年しか経っていません。New Nav(IBMによる呼び名です)の 導入 は、2021年秋のIBM i TR 7.3 TR11および7.4 TR5の発表での1番のニュースでした。ユーザー インターフェースが変わり、改善されただけでなく(Toolbox for Javaに代わってAngularフレームワークによる)、データを取得するために内部で使用されているテクノロジー(CLコマンドおよびAPIに代わってSQLベースのIBM i サービス)も刷新されました。
よりどりみどりの何百ものIBM i サービスおよびDb2 for iサービスのおかげで、Navigator顧客は、データの取得やNavigatorインターフェースへのロードを、とてつもなく柔軟に処理できるようになっています。また、パネルを並べることで、IBM i 資産の各部の監視や管理を納得のいくように行えるため、ユーザーがカスタマイズを行える、とてつもなく大きな余地が生まれます。
IBMでは、旧製品の機能は後続のリリースを通じて徐々に再現して行けばよいと考えていたため、新しいNavigatorは、旧製品に備わっていたすべての機能を備えているわけではありませんでした。しかし、Log4j問題が勃発して、新バージョン発表後、何か月もの間、旧 Navigator製品は脆弱な状態にしておかれていた ことから、IBMは、せっつかれるように、新インターフェースでの機能の開発を 加速 せざるを得ませんでした。
先週の、2023年秋のTRの発表で、IBMは、導入予定の機能リストにおけるいくつかの項目に完了の印を付けるとともに、リストにはなかったものの、ユーザーやIBMアドバイザリー グループから要望されてきたいくつかの新機能を追加しています。
使い勝手が大幅に改善されたものの1つに、テーブルのフィルターおよびソート機能があります。ユーザーは、独自のフィルターおよびソートをお気に入りに保存できるようになりました。後で簡単にそれらを呼び出して使用することができます。この機能を有効にするために、IBMは、Navのユーザー インターフェースに「Save table's current filters(テーブルの現在のフィルターを保存)」チェックボックスを追加しています。
ユーザーがシステム トレイを使用して別のシステムに切り替えても、テーブル フィルターは保持され、新たなデータに適用されるとIBMは述べています。また、1つのテーブルに対して複数のお気に入りを保存し、それぞれに異なるフィルター属性のセットを指定できるようになったとも述べています。
また、Navigatorの実行管理機能も強化されています。まずは印刷機能です。ユーザーは、既存の項目に基づいて新規プリンター接続を作成できるようになりました。「アクティブ・ジョブ」テーブル内の項目は、「Run Priority(実行優先順位)」の順に並べられるようになり、サブシステムはそれらのジョブの隣のテーブルにリストされるとIBMは述べています。ジョブ グループおよびほとんどのスケジュール済みジョブなど、ほぼすべてのAdvanced Job Scheduler機能がNavigatorでサポートされ、また、「ジョブ・ログ」テーブルはスペースの使用効率が改善されているとのことです。
また、Navigatorのネットワーク機能についても、微調整が加えられています。まず、VPN構成ウィザードが、「ネットワーク」メニューに移動されています。また、VPNセキュア接続、VPN IPセキュリティ ポリシー、およびユーザー定義のサーバー ユーザーなど、いくつかの項目で利用可能な新たなプロパティ アクションもあります。また、DNSルート サーバーを構成するための新たな編集オプションも追加されます。
監査ジャーナルを構成するためのオプションが、すべて1か所にまとめられました。また、IBMは、新たなコンテキスト パネル、および監査をより簡単にセットアップできるようにする「Advanced(詳細)」設定を追加しています。さらに、監査構成プロセスに「パンくずリスト」が追加されています。
ユーザーは、Navigator内で新たな「Hardware Resources(ハードウェア リソース)」テーブルにアクセスすることができます(HARDWARE_RESOURCE_INFOとして知られるIBM i サービスによって)。また、IBMは、システム アクション用のメニュー フォーマットを手直して、サブカテゴリーが含まれるようにしたと述べています。
NavigatorからIFSを表示する際、デフォルトの初期ソートは昇順に設定されます。また、IBMは、プロパティ パネルで、ロックされたファイルの「Show Usage(使用法の表示)」の情報を表示すると述べています。
ユーザーは、ユーザー定義のブックマークを使用することによって、現在管理されているホスト名を起動することができるとIBMは述べます。ただし、工場出荷時のブックマークは、修正されないようにロックされています。
機能強化の多くは、 IBM Ideas Portal や、 COMMON Americas Advisory Council(CAAC)などのアドバイザリー カウンシルを通じて、直接、ユーザーから寄せられたものだとIBMは述べています。「信頼の置ける多くのアドバイザーの協力を得ながら、Navigatorに取り入れたかったすべてのものの優先順位について検討を重ねてきました」と、IBM i プロダクト マネージャーのAlison Butterill氏は『 IT Jungle』に述べています。
しかし、Navigatorのサポートには、まだいくつか欠けているものがあります。たとえば、現時点では、BRMS(Backup, Recovery, and Media Services)の組み込みサポートはありません(旧Navigator製品にはありました)。また、IBMのPowerHAとの統合も十分ではありません。さらに、もうひとつの項目、Advanced Function Printing(AFP)フォームのサポートについても、導入予定リストに追加してもよいでしょう。
IBM i 7.5 TR3の発表レターは