何がIBM iの2桁成長をもたらしたか
Alex Woodie 著
IBM iの今年第1四半期は記憶している限りでは最善の業績の四半期になりました。IBMは最近IBM iの具体的な売上数字は公開しなくなりましたが、このプラットフォームの第一四半期の売上が2桁の成長を遂げたことを明らかにしました。何がこの成長に寄与したのでしょうか。
i5/OS V5R4のサポートは終わりに近づき、Power8サーバーが増えつつあるいま、IBM iのショップはシステムを最新にする良いタイミングです。IBMの第1四半期の数字から判断すると、多くのショップが此処まで困難な状況に耐えてきて、いまようやくシステムのアップグレードに動きつつあるようです。
IBMによればSystems Hardwareの売上が16億6千万ドルでした。これはX86サーバーの事業を保有していたときに比べれば顕著な減収です。他方メインフレームのビジネスは130パーセントの伸びを記録しており、これには新しいSystems z13サーバーが貢献しています。Systems z13の売上は、Power Systemsが全体で1パーセント伸びたかたわら、Intelサーバーの不足を埋め合わせるのに寄与しました。
これは大きな数字ではありませんが、Power Systems部門が成長率でプラスの数字を上げたのは初めてのことです。さらに、IBM iがPower Systemsの黒字に大きく貢献しました。
IBMグローバルセールスのバイス・プレジデント、Alex Goghは「Powerの売上が伸びたのは過去数年間で初めてであり、しかもPower iのコミュニティーに導かれて二桁台の成長だった」と最近のCOMMONコンファレンスの基調講演で述べました。
筆者はIBM iの製品マネージャーでエグゼクティブのAlison ButterillとIBM iのチーフ・アーキテクトSteve Willに直接訊ねました。Butterill によれば、IBM iの成長の多くはブラジル、中国、アフリカといった世界のいわゆる「成長地域」からもたらされています。そして「金融分野、ヘルスケア、小売といった分野に見られ、多くの小売業者がIBM iに注目している」とButterillは述べています。
銀行と病院は厳格な規制に直面しており、このことがセキュリティーで評価の高いプラットフォームに向かって動かす結果を生んでいるとButterillは述べています。「(今回の成長率は)このプラットフォームに組み込まれているセキュリティー機能が寄与しているように感じる。そしてPowerプラットフォームの信頼性と可用性もまたIBM iのセキュリティー機能」とButterillは言います。
「世界の成長の速い地域でこのプラットフォームの新規顧客が生まれており、顧客数が新規顧客によって純増したことを聞くと喜ばしい」とButterillは述べています。「従来からの市場である北米とヨーロッパで新しい顧客を獲得できた。但し、顧客数の伸びは成長率の伸びと同じではない」とButterillは説明しています。
IBM iは常にビジネスのニーズに応えており、銀行、ヘルスケア、小売業の分野ではセキュリティーは間違いなくビジネスのニーズです。
他の産業分野では、顧客は最新のWebやモバイル・インターフェースといったビジネスのニーズを満たすためにIBM iのアプリケーションを使って成功を収めています。Butterillは「我々はモバイルのソリューションに真の強さを持っている。例えば日本ではモバイルをフロントエンドに置いたアプリケーション・ソリューションに我々の強い成長が見られる」と述べています。
IBMはIBM iプラットフォームに当然もっと多くのワークロードを持ち、一層多くのユーザーを得たいと考えています。しかしながら、IBM iのプラットフォームに新しい顧客を獲得することが、必ずしもボックスの販売増には結びつかない傾向が徐々に強まっています。
Willは「我々のISVと話してみると、彼らはSaaSやクラウド環境で行っており、顧客をこのプラットフォームに結びつけてくれているが、必ずしもこれらの新しい顧客が我々のボックスを購入してくれることには結びついてはいない。我々はISVに、新しい人々をホストすることができる大きなシステムを販売しており、私にとってはこれらのISVが新しい顧客」と述べています。