AS400とは(主に呼称について)
Question
IBM iに関する仕事に携わるようになり、呼び名について早速混乱しています。ASだったり、System i だったり、人によって呼び方が違うのです。それぞれに違いはありますか。どのように呼ぶのが最も適切なのでしょうか。
Answer
AS(えーえす)またはAS400(えーえすよんひゃく)とは今で言うIBM iのことです。正式な表記はAS/400で、1988年に発表されたIBMのミッドレンジコンピュータシリーズの名称になります。OS/400という固有のOSを搭載しており、DB2というデータベースがシステム部分に組み込まれています。このようにOSには別の名前があるのですが、当時はOSという概念すら浸透していなかったためか、筐体もOSも全てひっくるめて「AS400」や「AS」と呼ぶユーザーがほとんどでした。
その後性能の向上にあわせてシリーズ名称は変わっていきました。AS/400、eServer i Series、System i、Power Systems、という変遷です。そして、OSの名称も、OS/400、i5/OS、IBM i(※1)と変わっていきました。しかし、その変遷がかえってユーザーを混乱させてしまったのかもしれません。各シリーズを利用するユーザーの共通言語として、いつしか「AS400」および「AS」が「AS/400からはじまる一連のシリーズの愛称」のような位置づけで使われるようになりました。今でも「AS400」や「AS」という名前がユーザー間で利用されているのは、それが理由です。当然ながら購入したシリーズ名できちんと呼んでいるお客様もいますし、たまたま一番最初に使ったシリーズ名を今でも呼び名に使っているお客様もいます。そのため、このように呼び名が複数あるような状態になっているのです。
当コーナーでは2017年2月現在IBMで販売中のシリーズ名称に基づき「IBM i(あいびーえむあい)」と表記しています。これは2008年に発表されたシリーズ名称となります。Power Systemsになる際にSystem i(AS400)とSystem p(AIX、Linux)が統合され、筐体においてはシリーズ固有の名称ではなくなってしまいました。統合されたpとの区別と、eServer以降一貫して「i」という単語がシリーズ名称に含まれていることで、今ではユーザー間でもシンプルに「i(あい)」や、当コーナーと同じ「IBM i」と呼ぶ人も増えたように思います。
「すべてひとくくりに『AS400』と呼んでも、シリーズが違うと中身が全く違って話がかみあわないのではないか?」という心配は無用です。IBM iは時代にあわせて様々な仕組みを持つようになりましたが、基本操作においては何十年も変わりありません。極端に言えばIBM i V7R3のコマンド操作ができれば、1996年発表のOS/400のV3R2の操作もできるのです(※2)。PGMのコーディングやコンパイルもできてしまいます。もしかしたら古い名称が今でも利用されているのはこの「変わらなさ」によって、呼び名を変える気にならないというのも一つの原因かもしれません。
呼び方についてですが、適切な名称はやはり使用中のシリーズ名、または購入検討中のシリーズ名(現在メーカーサポート中のものはすべて「IBM i」)になります。昔から利用されているユーザーにとっては、今でもポピュラーな名称はやはり「AS」か「AS400」です。「IBM i」も現在使われているシリーズ名としてかなり通じるようになったと感じます。もっとも、IBM iを扱う業者には基本的にどの名前でも全く通じないということはありません。社内で通じやすい名称を使っていただくのが一番良いように思います。
※1 当記事では解説を省略していますが、IBM iについて、IBMの公式資料では、「OS」という書き方ではなく、「ビジネス・アプリケーションのために構築されたオペレーティング・システム、データベース、ミドルウェアの統合環境」とされています。
参考URL: https://www-01.ibm.com/common/ssi/cgi-bin/ssialias?htmlfid=POB03001JPJA
※2 シリーズ名は変わっていきましたが、基本の内容は同じのため、OSのバージョンに関するナンバリングはリセットされず継続しています。V3R2はV7R3の13世代前になります。
参考URL:IBM i 移行パスとライフサイクル
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