メニューボタン
IBM i お役立ち情報2026.08.25

開発者のためのIBM i インフラ入門 - 第1回:IBM i バージョン、ライセンス・プログラム、PTF -

はじめに

本記事のターゲットは、オープン系技術者やIBM i 初心者の方々をメインとしています。

前シリーズ「IBM i 基礎理解からRPG開発までの学習ステップ」では、IBM i の環境の基礎理解や運用基礎、RPGアプリケーションを動かすためのDB作成やプログラム作成といったプログラム開発基礎をご紹介させて頂きました。

今回は、前シリーズの2名、IBM i 未経験のオープン系エンジニアと若手 IBM i インフラエンジニアに、プロフェッショナルのIBM i インフラエンジニアが加わり、IBM i のアプリケーション開発に必要なインフラ知識について学んでゆく様子をご紹介いたします。

RPG開発をしていて、ふと気になるインフラの内容はないでしょうか。

この「開発者のためのIBM i インフラ入門」シリーズでは、IBM i のバージョン、ライセンス・コード、PTF、文字コードといった、インフラの内容であるものの、開発者も知っておきたい内容について情報提供してゆきます。

今回は、IBM i バージョン、ライセンス・プログラム、PTFに注目をしています。

使いたい新しい言語機能(最新のSQLなど)やオープンソース、開発ツールが自社の環境でサポートされているかどうか判断する一番の大前提の基準になるのがIBM i バージョンです。

ライセンス・プログラム情報は、利用可能な機能や導入済み製品を把握するうえで重要です。障害調査や新規製品の導入時にも参照する機会が多いため、確認方法を覚えておくと役立ちます。

さらに、PTFはシステムの不具合修正だけでなく、RPGやSQLの新しい機能追加、さらにはIBM iにアプリケーションをインストールする時や、VS CodeやRDiといった最新の開発ツールを導入する際の前提条件にもなります。

自己紹介

:「今回の記事より参加させていただきます。私はベル・データに新卒入社し、当初はIBM i インフラSEとしてリプレイス作業などを行っていました。現在は弊社サービス「安心パック for i 」の技術相談窓口を担当しています。ちなみにe-BELLNET記事「サポートチーム便り」で「かんぴょう木綿さん」を名乗っているのは私です(笑)興味のある方は、ぜひ探してみてください(笑) 」

松田:「新卒からIBM i を中心にシステム導入やシステム移行などのエンジニアを数年間経験してきました。実は、インフラエンジニア時代は柳さんと同じチームでお仕事をさせていただいていました!インフラ時代の経験をもとに本シリーズを含め、いくつかe-BELLNETで主に渡邊さんと一緒に記事発信をさせていただいています。最近では、IBM社主催の若手コミュニティであるIBM i RiSINGにも参加させていただき、他社の方とAIを使った検証を実施しています。」

渡邊:「Windows、ネットワークを中心にエンジニアの経験をしています。その後、Windows系の業務改善ソリューションなどの手掛けることも多くなりました。IBM i については昔から興味がありましたがこれまでほとんど触ったことはありませんでした。最近では、IBM i のアプリケーションを学びながら、松田さんと一緒にe-BELLNETで情報発信させていただいています。日々学んでゆく中で、IBM i が現代の最新技術に対応していることを実感し、わくわくしながらIBM Bob等のAIやWeb API等の検証を実施しています。」

イントロダクション

松田:「前回までのシリーズでは、開発者の方々向けに ILE RPG のコーディングやデバッグについて学びましたね。」

渡邊:「実務でも使えるような命令文や標識の使い方を学ぶことができて、非常に面白かったです!一通りILE RPGの開発を学べたと思っています。」

松田:「それは良かったです!さて、今回からは『インフラ知識を増やしていこう!』ということで、プロフェッショナルのインフラエンジニアをお呼びしました!!柳さん、ぜひよろしくお願いいたします。」

:「はい!ご紹介にあずかりました柳です。インフラも開発に負けず劣らず奥深い世界ですので、1つ1つ一緒に学んでいきましょう!よろしくお願いします!」

渡邊:「柳さん、よろしくお願いします!私はもともとオープン系の経験があるのですが、いつもOS、データベース、Webサーバーなどを別々のサーバーでバラバラに構築し、専門チームが分業して管理するのが当たり前でした。IBM i の場合も同じですか?」

:「オープン系との最大の違いはそこです!IBM i は、RPGやCOBOL、CLとデータベースが支える昔ながらの堅牢な基幹業務システムと、JavaやPython、あるいはVS Codeを使った最新の開発環境までを、同じ1つのサーバーの中で動かせる『統合されたサーバー』なんです。ちなみに、IBM i の『i』はIntegration(統合)からきています。」

渡邊:「なんと!i の意味は知りませんでした。別々のサーバーに分けずにそこまで1サーバーの中に同居できるのですか? それってごちゃごちゃになって運用管理がすごく大変そうですが......本当にそんなシステムを使いこなせるのですか?」

:「本当にそう思いますよね(笑)。でも実はその逆なんです。普通なら別々の専門ソフトを組み合わせて構築する『アプリケーション』『データベース』『セキュリティ』『スケジュール』『バックアップ』『メッセージ監視』といったシステムの土台すべてが、最初からOSの根幹に完璧に揃っています。 最初から業務システムに必要な仕組み、機能を1つにまとめているからこそ、驚くほど少ない人数で効率的に保守運用できるという高い価値を持っているんですよ。」

松田:「オープン系なら、各サーバーに必要な機能を個別に前提条件を確認して導入して......と大仕事になるところが、IBM i なら最初から全部標準装備ですもんね。」

渡邊:「ええっ、そこまで全部最初から入っているんですか!? それでいてWebサーバーやオープン系言語まで統合できるのですね。それは確かに少人数で回せるわけですね......すごすぎる。」

:「そうなんです。ただ、密接に繋がっていて統合できるからこそ、開発エンジニアもインフラエンジニアも垣根なく、正しくIBM i の事を理解しておくことが不可欠になります。ここを知っておくことで、少人数であっても『安全に、最も効率よく』システムをコントロールし、この統合サーバーのメリットを最大限に引き出せるんですよ。」

渡邊:「なるほど......!IBM i のインフラを学ぶ意味が、オープン系の常識と比較したことでめちゃくちゃ腑に落ちました!がぜんやる気が湧いてきました。」

松田:「統合されているIBM i のメリットがよくわかりました。柳さん、最初は土台である『IBM i のバージョン』を正確に把握することが何よりも重要なスタートラインですかね?」

:「その通りです! ではさっそく、現在の最新バージョンの状況や、自社マシンのバージョンを5250画面で確認する方法から見ていきましょう!バージョン確認はさまざまな場面で必要ですが、開発者の方々からすると開発ツールの導入や最新のSQL関数の利用時に必要となると思います。前者では、ツールの導入条件としてIBM i バージョンXX以上といった前提が決まっているケースもありますし、後者ではIBM i バージョンがDB2 for i のバージョンと一致するので古いと使用したいSQL関数が使えないという事態にも繋がります。」

IBM i バージョン

松田:「渡邊さん、IBM i のバージョンについてはご存知でしょうか。」

渡邊:「聞いたことがありますが、具体的には分かっていないです。Windowsですと、WindowsのサーバーはWindows Server2022や2025、クライアントはWindows10や11がありますね。」

松田:「ではまず、現在の最新バージョンのお話をしますね。現在はIBM i バージョン7.6が最新です。1つ前のバージョン7.5もサポートされていますよ。IBMが公開するOSサポートのロードマップは常に2世代先まで見据えて作成されています。1つのバージョンにおけるライフサイクルの詳細は、こちらのサイトの情報がわかりやすいと思います。」

渡邊:「ありがとうございます。このサイトは分かりやすいですね。ちなみに、5250画面での確認はどのように行うのですか。」

松田:「いくつか方法があるのですが、柳さん解説いただけますか。」

:「はい!松田さんのおっしゃる通り、いくつかの方法があります。一番わかりやすいのは【DSPPTF】ですね。PTFについては後ほど解説しますが、まずはコマンド実行してみてください。」

渡邊:「実行してみました。『V7R5M0』でしょうか。」

:「その通りです!V7R5M0はバージョン7.5と実質的に同じです。プロダクトID「57XX999」の「基本オプションのリリース」の値が導入されている IBM i のバージョンとなります。OS の製品番号の下 3 桁は SS1 ですので、バージョン確認の際にはマイクロコードに相当する 999 で確認する方がシンプルでわかりやすいです。」

:「この他に【DSPSFWRSC】や【GO LICPGM】でも確認可能ですが、コマンド実行後に追加でキー操作が必要になるので、【DSPPTF】が一番確認しやすいかと思います。IBM i のバージョンは、新しいソフトウェアやツールを導入する際に、その製品が対象の OS バージョンに対応しているかを確認するためとても重要な情報です。また、OS のサポート終了の管理にも関わるため、正しく把握しておきたいですね。」

松田:「ありがとうございます。ちなみに、柳さんはお客様からのお問い合わせを頂く機会が多いと思いますが、IBM i バージョンに関連したお問い合わせはありますか?」

:「そうですね。『IBM i に搭載されているDb2のバージョンはいくつですか』と聞かれることがありますね。」

渡邊:「確かに。Windowsの場合はOSとは別にデータベースを導入するので、OSとは切り離れているけど、IBM i に搭載されたDB2はOSの基本機能として提供されるんでしたよね。」

:「その通りです。IBM i 上で動作するDb2は 「Db2 for i 」 であり、そのバージョンはIBM i と同じバージョンとなります。IBMのナレッジにも記載がありますので、ぜひ見てみてくださいね。」

「4.使用している DB2 for i レベルは何ですか」:
https://www.ibm.com/docs/ja/i/7.4.0?topic=troubleshooting-i-database-faq#rzatefaq__basic4

松田:「そういえば、Db2は、Windows用やLinux用もありましたね。」

:「はい!『Db2 for i』とは別製品で、Linux・UNIX・Windows用があり、『Db2 LUW』と呼びます。同じ「Db2」という名称でも管理方法やバージョン体系が異なります。」

松田:「なるほど、別製品なのですね。勉強になります!」

:「このあたりも知っておくと、製品選定やサポート対応の際に役立ちますね。」

ライセンス・プログラム

松田:「次に、ライセンス・プログラムのお話をしましょう。渡邊さん、これまでの特集記事ではPDMを何度も使っていましたが、実はPDMを利用するためにはPDMに該当するライセンス・プログラムの導入が必要なことをご存知ですか?」

渡邊:「いえ、OSの標準機能だと思っていました。ライセンス・プログラムが必要なのですね!」

松田:「今までの回でPDM、SEU、DFUを使ってきていますが、これらはADTS(Application Development Toolset)の一部の機能なんです。つまり、ADTSのライセンス・プログラムを持っていないと、使えません。」

渡邊:「驚きました。ちなみにインストール済みのライセンス・プログラムを確認するコマンドはあるのでしょうか。」

:「はい。IBM i に導入されているライセンス・プログラムは、GO LICPGM の「10.導入済みライセンス・プログラムの表示」を選択することで確認可能です。ライセンス・プログラムは、ライセンスを持ち、プログラムがインストール済みであることを示しています。」

渡邊:「実行してみました。複数のページに渡るのですね。ADTSを探してみます。」

渡邊:「APPLICATION DEVELOPMENT TOOLSETの表記がありました。該当するライセンス・プログラムは【5770WDS】ですね。ちなみに導入状況の【*COMPATIBLE】とは何を示しているのですか?」

:「【*COMPATIBLE】はライセンス・プログラムが導入されており、現在のシステム環境で完全に互換性を持って使用可能であることを示しています。この他に、【*INSTALLED】についてプログラムは正常に導入されていますが、互換性を確認する必要があることを示しています。」

渡邊:「OSとしてインストールしたプログラムの互換性を示してくれるのは凄いですね。Windowsですと、インストールされているプログラムは表示できますが、OSとの互換性までは出ないですね。」

:「また、【DSPSFWRSC】コマンドでも確認できますよ。F11を押すと、導入先のライブラリーやそのソフトウェアのバージョンを表示できます。」

渡邊:「【DSPSFWRSC】を実行してみます。【TOOLBOX FOR IBM I】は聞いたことがあります。次にF11を押してみますね。」

渡邊:「F11を押しました。【TOOLBOX FOR IBM I】がQEVXライブラリーに入っていて、バージョンがV7R5M0ということですね。OS標準でないソフトウェアの表示に加えインストール先のライブラリーが出るのも便利ですね。」

松田:「リプレイス実施の際には、追加でインストールされたOS標準外のツールのバージョンも把握しておかないと移行先のマシンで稼働しないという事象も発生しかねないですよね。」

:「そうですね。こういった情報をもとにお客様へ丁寧にヒアリングを進めることも重要です。」

渡邊:「最近、OS のライセンスがサブスクリプション化されたと聞きましたが正しいでしょうか?」

:「はい、その通りです。従来は有償で提供されていた多くのライセンス・プログラムがサブスクリプション化されたことで標準利用できるようになっています。例えば、以前は 5250 環境で SQL を利用する際にST1(DB2 Query Manager and SQL Development Kit) のライセンス・プログラムを追加購入する必要がありました。SQLRPG の開発を行う場合も ST1 の追加購入が必要でしたが、現在では追加費用なしでIBM i と共に無償でライセンス(使用権)が利用できるようになっています。 詳細は、こちらの記事をご覧ください。導入されていない場合は、ぜひインストールしてみてはいかがでしょうか。」

PTF

松田:「次にPTF(Program Temporary Fix)について学んでいきましょう。渡邊さん、PTFについては聞いたことがありますか?」

渡邊:「はい。RDiを使う時に、前提PTFという記述を見たことがあります。参照すべきサイトはこちらの認識です。OSや各種ライセンス・プログラムに対するパッチ(修正プログラム)のイメージですね。」

松田:「確かに、新たなアプリケーションを使う時は前提情報としてよく見かけますよね。」

渡邊:「そうなんです。Windowsのアプリケーションの場合は、OSのバージョン指定はあるものの、修正プログラムであるWindowsUpdateの指定は見かけたことが無いので、IBM i はとても親切だなと思います。」

:「Windowsの場合は前提PTFにあたるものが無いのですね。PTFはIBM iなどのIBMシステム に提供される修正プログラムで、OSや各種ライセンス・プログラムに対する不具合修正や機能拡張が行われます。まず、主な目的は以下の通りです。」

■PTFの主な目的
・OS やプログラムの不具合修正
・O機能改善・機能拡張
・Oセキュリティ脆弱性への対応

渡邊:「なるほど、機能拡張も含まれるのですね!この辺りはWindowsと同じですね。」

:「そうなのですね。。Windowsとの差は色々ありそうですね。ちなみに、PTFは以下の通り、大きく分けて3種類あります。詳細は以下のリンクに説明がありますので、参照下さい。」

■PTFの主な種類
・個別PTF(特定の問題に対して作成された単一のPTF)
・グループPTF(複数の個別PTFを、機能や役割ごとにグループ分けしたPTFの集合体)
・累積PTF(過去に公開された多数の個別PTFの集合体。
グループPTFより更新頻度は低いが、システム全体の修正を包括的に適用できる)

■IBM i Group PTFs with level
https://www.ibm.com/support/pages/ibm-i-group-ptfs-level

渡邊:「IBM i のPTF にはグループPTF、個別PTF、累積PTFなど様々な種類があるのですね。Windows Updateの場合、個別と累積はありますね。名称が時々変わりますが、2026年7月時点では主に以下があります。グループPTFはどのような目的で使用されるのですか?」

■Windows Updateの種類(個別と累積あり)
・セキュリティ更新プログラム(毎月および定例外のセキュリティ更新プログラム)
・プレビュー更新プログラム(セキュリティ以外の更新プログラムのプレビュー)

松田:「グループPTFは適用作業を圧倒的に簡単に進めるためにグループとしてまとまっています。もちろん個別PTFの適用が求められるシーンもあるのですが、グループとしてまとまっていると分野ごとに必要なPTFもわかりやすいのでまとめて適用が可能です。Windowsにも個別と累積の区別があるのですね!初めて知りました。」

:「さらに、グループPTFは特定の機能に焦点を当てて修正や機能拡張を行っています。例えば「GROUP HIPER」は、累積PTFリリース後に作成された、比較的重要な個別PTFが1つにまとまったもの、グループ「DB2 FOR IBM I」は、DB2関連の複数の個別PTFが1つにまとまったものになります。
それぞれのグループPTFは、新しいPTFが含まれるとレベルが上がります。レベルはバージョンのようなものと思ってください。例えば、今適用されているPTFの一覧を見てみましょう。コマンド【WRKPTFGRP】を実行してF11キーを押してみてください。IBM iバージョン7.5の「GROUP HIPER」はPTFグループ名SF99959、「DB2 FOR IBM I」はPTFグループ名SF99950であることがわかります。」

渡邊:「実行しました。PTFグループ名で表示されるのですね。「GROUP HIPER」はPTFグループ名SF99959でレベル67、「DB2 FOR IBM I」はPTFグループ名SF99950でレベル8です。」

WRKPTFGRP(グループPTFの適用状況の確認)
WRKPTFGRP実行後、F11キーを押した様子

:「現在の最新レベルがいくつになるのかは、IBMのサイトで確認ができますので、こちらも確認してみましょう。」

松田:「確認しました。「SF99959:GROUP HIPER」はレベル104、「SF99950:DB2 FOR IBM I」はレベル12で、新しいものが出ていることがわかりますね。」

:「ちなみに、PTFはそれぞれの機能に対して作成されますので、機能ごとにどのPTFが適用されているかを確認することもできます。それが、コマンド【DSPPTF】になります。」

渡邊:「【DSPPTF】を実行してみました。今度は、PTFのIDで表示されているのですね。具体的にはどのように使うのですか?」

DSPPTF(ライセンス・プログラムごとに適用されている個別PTFを確認できる)

:「例えば、ライセンス・プログラム番号:5770WDS ADTSのPTFを確認する場合は、【DSPPTF LICPGM(5770WDS)】となります。」

渡邊:「実行しました。個別PTFが表示されている認識ですが、状況やIPL処置は何を意味していますか?」

:「良い質問ですね。DSPPTFで表示した際、PTFの状況が「一時的に適用」「永久的に適用」「取り換え(置き換え)」などがあると思います。これらはすべてシステムに適用済みと考えていただいて問題ありません。詳細はこちらのリンクをご覧ください。また、IPL処置は、PTF適用や除去にIPL(IBM i の再起動)が必要という意味になります。」

渡邊:「なるほど、ライセンス・プログラム毎にPTFの適用状態がみられるのは便利ですね。インストールしている製品に対して必要なPTFが適用されているか確認し、表示されていなければ適用されていないということですね。」

:「そうです。PTFは日々更新されるといっても過言ではないので、お客様環境に適用する際には最新で適用すべきPTFはどのPTFなのかしっかりと調べる必要がありますね。」

渡邊:「ところで最近はITの世界でセキュリティの話題がよく出てきます。Windowsは頻繁に脆弱性対応のUpdateがリリースされますが、IBM iはどうでしょうか?」

:「IBM iも同様です。「脆弱性」はどこに潜んでいるかわからない点もあるので、OSやJAVA含め、包括的にPTFとして提供されているのが『累積PTF』です。累積PTFは定期的に適用する必要があります。IBM i は統合されたサーバーと冒頭で説明した通り、オープンソースソフトウェアも利用可能です。とはいえ、オープンソースソフトウェアに関しては、世の中で日々脆弱性が見つかっている現状もあるため、セキュリティ強化は必須ですよね。そのために、IBMから提供されているPTFとして、グループセキュリティというものがあります。
このPTFは、グループPTFの1種ですが、あくまでもオープンソースソフトウェアを対象としており、HTTPサーバーやJavaに対する脆弱性対策PTFなどは、グループPTFとして別途用意されています。セキュリティの観点から、定期的にPTFの適用を検討されている場合は、グループセキュリティだけでなく、各種グループPTFや個別PTFの適用状況もあわせて確認することが望ましいでしょう。」

渡邊:「グループセキュリティにオープンソース関連のPTFが含まれているというのは少し驚きでした。」

松田:「同じグループPTF関連でいうと、私はインフラ時代に定期的にPTF更新を行う機会があったのですが、その際にはグループPTFのうちの1つである『Technology Refresh』(以降、TR)の更新タイミングも意識していました。」

:「そうですね。TRとはOSのバージョンアップを行わずに新機能やハードウェア対応、機能拡張を追加するためのグループPTF(修正パッケージ)です。基本的に更新が春と秋の年2回行われます。」

渡邊:「機能拡張とは具体的にどんな内容があるのでしょうか。」

:「対象は幅広く、開発面での拡張もあればハードウェア周りの拡張も対象です。今年7月に発表された最新のTRにおいては、SQLを含むDb2 for i の機能拡張やIBM Navigator for i と ACS における機能拡張があるようです。」

渡邊:「TRがハードウェアや開発部分まで幅広く機能拡張しているのは驚きですね。」

詳細な機能拡張については、以下のサイトに記載があります。
https://iworldweb.info/column/product/ibmi_76tr2_75tr8#overview

松田:「ただ、PTFを適用したことにより内部の挙動が変更され、それが業務に影響を与えてしまう場合もあるため、予めテスト環境を用意しておいて検証を経てから本番適用をするという方法が本来のあり方です。」

渡邊:「Windowsでも慎重に行いますし、影響を考慮して敢えて適用しないこともあります。ただ、私もお話を伺ってWindows環境におけるWindows Updateとは管理面など異なる印象を受けました。」

:「確かにそうですね。さらにPTF適用において実施していただきたい点としては、2点あります。1点目は、一般的にはPTFの適用を計画的に検討していく必要があるという点です。たとえば、年1回必ずPTF適用されているお客様は、最新PTFの脆弱性なども考慮したうえで計画されています。2点目は、PTF適用前後の対応です。グループPTFの適用は一度実施してしまうと基本的に取り消しができないので、事前にフルバックアップを取得しておく(適用前の状態を保管しておく)ことや、PTF適用後に重要な業務だけでも動作検証はしていただいたほうが良いですね。」

次回予告

松田:「今回は柳さんにIBM i のバージョンからライセンス・プログラム、PTFなどのインフラ知識を伝授頂きました。渡邊さん、どうでしたか?」

渡邊:「オープン系と比較すると、似ているところもありますが、やはりほとんどがIBM i 独自の成り立ちなのだと実感させられます。」

:「普段IBM i をメインに扱っているのでWindowsの情報を聞けたのは新鮮でした。次回は、どんな場面でも重要になってくる文字コードのお話ができればと思います。」

渡邊:「文字コードは難しい印象があるので1つ1つ整理してお聞きできればと思います。」

松田:「柳さん、渡邊さん、次回もよろしくお願いいたします!」

次回に続く


渡邊 隆
ベル・データ株式会社 アプリケーションマネージメントサービス本部 AMSデジタルイノベーション部


ネットワーク、オープン、セキュリティ、DX関連のプリセールス、構築、サポートを経て、現在はAMSデジタルイノベーション部に所属。工場DXソリューションを担当しながら、初挑戦のIBM i に格闘中。休日は、クラッシックピアノの練習や仲間との弾き合い会を楽しんでいます。








松田 三奈
ベル・データ株式会社 アプリケーションマネージメントサービス本部 AMSデジタルイノベーション部

新卒よりインフラエンジニアとしてPowerサーバーのリプレイスに従事し、現在はAMSデジタルイノベーション部に所属。休日は、カフェ巡りや旅行など天候に関わらず外に出てアクティブに活動することが好きです。

柳 真理絵
ベル・データ株式会社 Power事業部 カスタマーサクセス統括部 第1インフラストラクチャー・サービス POWER Tech Support


インフラエンジニアとしてPowerのリプレイスやバージョンアップなどを担当、現在は技術相談窓口「安心パック for i 」のメンバーとして日々お客様からの質問対応を行っている。休日は家族で出かけたり家でのんびりして過ごしています。

あわせて読みたい記事

PAGE TOP