メニューボタン
IBM i お役立ち情報2025.02.26

RPG開発者のためのIBM i 入門!
RDiとWeb APIで新しい開発の世界を楽しもう - 第1回 -

イントロダクション

IBM i は、資産継承性と信頼性に優れ、多くのお客様に長年愛用されているプラットフォームです。また、急速に進化する最新テクノロジーがIBM i にも導入されており、その結果、資産継承性と新技術の融合により、IBM i は大きな可能性を秘めたプラットフォームへと進化しています。

このような環境において、新技術とこれまでの資産をともに活かすことができるエンジニアの育成が急務となっていますが、エンジニアの技術力最新化や技術継承は簡単ではありません。ベル・データでは、IBM i 技術をリードしてきたエンジニアと、オープン系のエンジニア、若手のエンジニアが共に学び合いながら、IBM i 開発技術のリスキリングに挑戦しています。

今回から全8回にわたり、このリスキリングの取り組みを「RPG開発者のためのIBM i 入門!RDiとWeb APIで新しい開発の世界を楽しもう」と題して、最新技術の導入、開発方法、操作方法について学ぶ機会を提供していきます。

自己紹介

出村:「私はIBM i を中心にITインフラのエンジニアを15年くらい経験していました。その頃から社内システムの担当も兼務していたこともあり、ILE RPGはそのころに覚えました。その後アプリケーション・エンジニアとなり、現在はIBM i やクラウドを使った開発に従事しています。よろしくお願いします。」

渡邊:「私はWindows、ネットワークを中心にエンジニアを経験をしています。最近ではWindows系の業務改善ソリューションなどの手掛けることも多くなりました。IBM i については昔から興味がありましたがこれまでほとんど触ったことはありませんでした。IBM i のアプリ、インフラは初めてなのでとても良い機会となりそうです。よろしくお願いします。」

松田:「私は新卒からIBM i を中心にシステム導入やシステム移行などのエンジニアを数年間経験してきました。インフラからすると開発ってなかなか踏み込めないところがあって、これまで先輩からRPGについて少し教わることがありましたが、実際に手を動かしての開発については経験がありませんでした。今回初めてのことが多く沢山学ばせて頂きます。よろしくお願いします。」

第1回:RDi導入編

IBM i で開発をするには?

出村:「渡邊さん、松田さんはそれぞれお客様とお話する機会が多いと思いますが、最近お客様からどのような話題が出ますか?」

渡邊:「インフラのときはあまりなかったのですが、業務改善のソリューションを手掛けるようになってDXの話題が多いですよね、特にクラウドとつなげて業務を変えていきたいとか、データをもっと活用したいとか。」

松田:「私もお客様からIBM i をもっと活用したいんだ、モバイルやWebでUIを変えていきたい、AIを使ってみたいなどDXのお話を伺うこともありますね。そもそもお客様の部署が情報システム部からDX推進部に変わっていたりして驚いたことがあります。」

出村:「そうですよね、お客様のアイデアも広がっていますよね。ところで、DXに必要な技術ってなんだと思いますか?様々な技術が必要なことは確かですが、IBM i の世界に着目するとIBM i に限らずオープン系の知識も必要になります。実は、IBM i ×オープン系技術という組み合わせが大切なんです。」

松田:「オープン系の知識も必要になるのですね、そういえばDXに必要な技術って、クラウドやWeb API、SQLが重要だとよく聞きます。でも、IBM i での開発ってどうなんでしょう?RPGは少し学んだのですがRPGプログラムからオープン系の技術というのは、いまいちピンとこないです。」

出村:「そうですね。DXを推進するにはIBM i だけで完結する処理を行うというより、モバイルやクラウドなど周囲のシステムと連携することが多くなるため、Web API、SQLなどの技術が重要になっていますね。 IBM i もそれらに対応していますが、RPGⅢだとそれらの機能の一部しか使えなかったりします。 RPG言語ならばRPGⅢでなくILE RPGを使っていく必要がありますね。 また、固定フォーマットのILE RPGよりもフリーフォーマットRPGの方が、オープン系プログラミング言語に近い記述方法なので、これから新たにRPG言語を学ぶ人にとってはより習得しやすいんじゃないかなと思います。」

渡邊:「なるほど。固定長コーディングとSEU(ADTSのソースコードエディタ)はどうも操作や編集が難しく慣れないんです。フリーフォーマットRPGなら私も学習しやすそうですが、フリーフォーマットRPGをコーディングする時はどんなエディタを使えばよいですか?オープン系だと、EclipseとかVS Codeとか使うことが多いのですが、IBM i の開発ではどうなんでしょう?」

出村:「そうですね、SEUは長年使われてきたツールで、今でも慣れ親しんだSEには便利な部分があります。 SEUでもフリーフォーマットRPGのコーディングが出来ないわけではないのだけれど、既に開発が凍結していて、フリーフォーマットの文法や新しく追加された関数などには対応していないです。 IBM i には、RPGやCOBOLによる開発のためのツールとしてSEU、RDi、VS Code+拡張機能、IBM i Merlinの選択肢があり、それぞれ特徴があります。ただ、固定フォーマットで書かれた既存のRPGプログラムとフリーフォーマットRPGの両方をコーディングするという点ではRDiが優れています。」

各ツールの特徴

各RPGとの相性

出村:「各ツールを比較するとこんな感じですね。」

松田:「こうしてみると、やはりこれまでのRPG資産を活かしながら、新しい開発ができるRDiが最も良いツールに見えますね!」

RDiとは?

松田:「ところで、RDiってどんなツールなんですか?」

出村:「Rational Developer for i の略で、IBMが提供している統合開発環境です。RPG III、RPG IV、最近のフリーフォーマットRPG(FFRPG)、COBOL、CLまで対応しています。コード補完やデバッグ機能など開発生産性が上がる機能が充実していて、特に大規模な開発や保守には便利ですよ。」

渡邊:「先日、SEUを使ってみました。昔ながらのエディタの印象です。使い慣れている人には良いツールでしょうけど、RDiの方がモダンな開発手法に対応している分、DXには向いていそうですね。オープン系の私にとってはEclipseと同じ操作ができそうなのですぐにでも使えそうです。」

出村:「その通り、オープンの人でもすぐに操作ができると思います。 ただ、SEUもまだまだ使えるし、簡単な修正や小規模な開発には手軽で便利。だから、すぐに完全に切り替える必要はなく、併用しながら段階的に使っていく人が多いです。」

松田:「とはいっても、RDiを導入するのって難しくないですか?」

出村:「初めてだと少し戸惑うかもしれないけど、RDi 9.8であれば簡単ですよ。まずはPCにRDiをインストールしてIBM i に接続すればすぐに利用できます。まずは、ソースを開いて編集してみるところからですね。」

RDi 9.8の接続方法について

松田:「接続するためにはIBM i やPCに何か特別な準備が必要ですか?」

出村:「IBM i のIPアドレス、ユーザーID、パスワードを設定するだけ。接続テストもRDi内で簡単にできます。エラーが出た場合は、ファイアウォールの設定やポート番号を確認することが多いですね。IBM i のPTFも確認しておくといいです。」

  • PTFは下記の通り、OSごとに指定があります。

    The Debug capability in Rational Developer for i requires PTFs on the host:
    V7R5 PTF SJ01450, V7R4 PTF SJ01448, V7R3 PTF SJ01445

    ※詳細は、下記URLを参照。
    Fix list for Rational Developer for i :https://www.ibm.com/support/pages/fix-list-rational-developer-i

渡邊:「接続時や、利用中にエラーの原因がわからないときはどうしますか?」

出村:「IBM i のログを確認するのが基本ですね。接続エラーなら通信ログ、コンパイルエラーならジョブログを見ることで原因を特定できます。よくあるエラーについては、対応をまとめた資料があるので確認してみて下さい。」
※(注1)本編の最後に参考資料を添付しております。

松田:「SEUとRDiを併用する形なら、徐々に慣れていけそうですね!」

出村:「そうですね。特に長年SEUを使っているエンジニアの方はいきなりエディタを変えるのは難しいので、最初はSEUで簡単な作業をして、少し高度な作業やデバッグはRDiを使うといいです。実はRDiにはSEUには無いとても便利な機能がいっぱいあるんです!慣れてきたらRDiの機能をフル活用していけば、すごく効率が上がります。」

渡邊:「私のようなオープン系のエンジニアは最初からRDi使うと抵抗感が無いですね。これを機に、開発を始めたばかりの若手のエンジニアの方もベテランの方もモダンな開発環境に慣れて、DXの時代に対応していけるといいですね。」

松田:「はい!まずはRDiを試してみて、少しずつ活用できるように頑張ります!...といいつつも、本当に使いこなせるかな?やっぱり購入しないと使えないのでしょうか?」

出村:「使いこなせるか心配になりますよね。RDiには、評価版があるからお試しで利用してみることができますよ。期間は、120日間あるのでゆとりをもって試せます。では、手始めにRDiをインストールしてIBM i 環境へ接続してみましょう。」

  • RDiインストールに必要なもの

~ IBM i 環境と手順 ~

  1. 自身のPCに上記zipファイルを適当なフォルダに保管し、解凍
  2. フォルダ「 IBM Rational Developer for i 」内の「RDi.exe」を実行。
  3. Workspaceの作成場所を確認される。Launchを選択
  4. ライセンス確認が表示されるので、「Manage Licenses」を選択
  5. 同時にWindowsセキュリティの重要な警告画面(ファイアウォールブロックの通知)が表示されるので、「アクセスを許可する」を選択
  6. ライセンス確認画面で「Done」を選択(ライセンスが手元にある場合は、別途適用する。ライセンス適用方法については次号以降で紹介。)
  7. <インストールはこの時点で完了しているため、ここからはIBM i 環境との接続を実施>

  8. RDi画面上部のWindowメニューより、「New IBM i Connection」を選択してホスト名、ユーザーID、パスワードを入力し、「接続」を選択
  9. 接続先の登録が完了すると、画像の通り、画面左に接続先が表示される。

    <接続が完了したら、次に自身のライブラリをフィルターとして登録する。>

  10. 接続先環境の左にある>をクリックすると、タスクバーが表示されるため、「オブジェクト」内の「ライブラリーの処理」をダブルクリックする
  11. ライブラリー・フィルター画面において、ライブラリーに自身のライブラリー名を入力
  12. フィルター名を任意の名称で入力し、Finishを選択。(今回は、ライブラリー名と同一)
  13. フィルターを選択すると、ログイン情報を聞かれるので、IBM i に接続する際と同様のユーザーID、パスワードを入力し、ログイン
    (この時点で、IBM i 環境にログインした状況と同様になる。)
  14. ログインが完了すると、ライブラリー内に存在するオブジェクトが確認可能
    (画像は、QRPGSRC内のメンバーを表示)
  15. <<手順は以上です。>>

次回予告

松田:「これでRDiとIBM i 環境の接続が完了ですね!これからはRDiで開発ができるんですね!ワクワクしてきました!」

渡邊:「インストール~接続がこんなに簡単にできるのですね!私も接続が完了したので、いよいよ次回はRDiを使って実際にRPGの開発をしてみたいと思います。」

出村:「そうですね。次回は、開発の流れを一通り体験してみたいと思います。ソースメンバーの編集からコンパイルまでをRDiで実施してみましょう。」

次号へつづく


※(注1)<参考>エラー時の対応


出村 宏志
ベル・データ株式会社 アプリケーションビジネス本部DX推進部

1995年ベル・データ㈱に入社
1999年より約15年ほどIBM i のインフラエンジニアを経験し、その後アプリケーション開発に従事。キャンプで焚火をしながらボーっとするのが最近の楽しみです。

渡邊 隆
ベル・データ株式会社 アプリケーションビジネス本部DX推進部

ネットワーク、オープン、セキュリティ、DX関連のプリセールス、構築、サポートを経て、現在はDX推進部に所属。工場DXソリューションを担当しながら、初挑戦のIBM i に格闘中。休日は、クラッシックピアノの練習や仲間との弾き合い会を楽しんでいます。

松田 三奈
ベル・データ株式会社 アプリケーションビジネス本部DX推進部

新卒よりインフラエンジニアとしてPowerサーバーのリプレイスに従事し、現在はDX推進部に所属。休日は、カフェ巡りや旅行など天候に関わらず外に出てアクティブに活動することが好きです。

PAGE TOP