AI革命に向けてIBM i データを保護する
AIは、様々な立場の人々の会話の中で、話題の中心となっています。もはや単なる流行語ではありません。AIは、企業のセキュリティ モデルを変えようとしています。そこで、私はこう尋ねます。「この次の ITトランスフォーメーションに向けて準備ができていますか 」 組織は、至る所で、急速なペースおよび規模でAI(人工知能)の取り組みを加速しています。
ほとんどの会話は、今日、AIはビジネスのためにどのようなことを行えるのか、どれくらい迅速にデプロイできるのかという点に集中しています。AIは、ワークフローの自動化、自律的な効率性、サプライ チェーンの改善、市場投入時間の短縮、および生産性を推進します。真のモダナイゼーションは、業務の進め方を常に見直し、新たなツール、プロトコル、および作業慣行を受け入れて、業務効率を改善することによってもたらされます。
従来のエンタープライズ システムは、秩序立った人間のやり取りを中心にして設計されました。ユーザーは、アプリケーションにログインし、グリーン スクリーンまたは夜間のバッチ処理の背後にある定義済みワークフローに従い、単一のデータ センター内で稼働していました。これらの新たな変化の目覚ましいAIの取り組みをサポートするコードを開発するには、IBM Bobのようなツールを導入して、レガシー コードをモダナイズし、新たなワークフローを開発することになります。モダナイゼーションは、アプリケーションを改良し、セキュリティを強化し、メンテナンスを簡素化し、優れたビジネス成果をもたらします。
今日、データは、プライベートおよびパブリック クラウド、複数のデータベース、プラットフォーム、および地理的位置に分散しています。組織の内部および外部の複数のアクセス ポイントからデプロイされるAIエージェントで、どのようなデータなら、ビジネスを行うためにリアルタイムで顧客に公開されても問題ないと思えるでしょうか。もちろん、フィッシング詐欺や、さらにはハッカーについては常に意識しておく必要があります。
AIをサポートするには、データアクセスも変革と足並みを揃える必要がある
エンタープライズ環境では、データがIBM Powerシステム(IBM iおよびAIXの両方)、ハイブリッド クラウド、SaaSプラットフォーム、およびエッジ インフラストラクチャーにまたがることがよくあります。これにより、非常に大きな機会が生まれますが、まったく新しい運用リスクも生じます。今日のAIプラットフォーム、コパイロット、および自律型エージェントは、データベース、API、プラットフォーム、オペレーショナル ツーリング、およびインフラストラクチャー環境にわたって、動的に、そしておそらくは同時にやり取りを行っています。
モダンなアーキテクチャーへ移行することは、IBM i モダナイゼーションで最も基本的な変化の1つです。サービス指向アーキテクチャー(SOA)およびハイパースケール マイクロサービスにより、従来のアプリケーションは、明確に定義されたインターフェースを通じてやり取りを行う、より小さい、より管理しやすいコンポーネントに分割されました。
こうした構造上の変化により、IBM i ビジネス ロジックは、Webアプリケーション、モバイル アプリ、またはパートナー システムが利用できるAPIまたはWebサービスとして公開されます。また、これは、Power Systemsに導入される次世代のAIアシスタントとの、より簡単で、より生産的な統合も可能にします。メリットは統合を超えて広がります。モジュラー アーキテクチャーは、アプリケーションを保守、テスト、および進化しやすくさせます。
アプリケーションをクラウド レディにする
従業員が机の前に座って、ローカルの信頼の置かれている5250ワークステーションおよびネットワークを通じてシステムに接続するというレガシー ビジネス モデルは、根本的に変わりました。今日の従業員は、オフィスであれ、倉庫を歩きながらであれ、自宅や客先からであれ、さらには海外からであれ、どこからでも情報にアクセスできることを当然のことと考えています。
クラウド コンピューティングは、インフラストラクチャーについての組織の考え方を変え、あらゆる規模の企業に柔軟性と可能性をもたらしました。IBM i アプリケーションへのクラウド アクセスは、リモート接続をはるかに超えるメリットをもたらすことができます。クラウド コンピューティングでは、ほとんどの時間はアイドル状態であってもピーク キャパシティに備えるというのではなく、必要に応じてリソースを動的に増減することが可能です。クラウドは、複数の物理的なデータ センターを維持するコストなしで、地理的冗長性を提供することによって、ディザスター リカバリーおよび事業継続性を促進します。
クラウド アクセスは、IBM i プラットフォームを放棄することや、すべてをオンプレミスから移行することを意味するわけではありません。クラウド デプロイメントは、パートナーおよび顧客アクセスを単純化し、複雑なネットワーク プロトコルなしで特定のアプリケーションへのセキュアで制御されたアクセスを提供することを可能にします。また、組織によっては、ハイブリッド アプローチを採用するかもしれません。コア システムをオンプレミスに保持しながら、クラウド サービスを利用して、アクセスおよび機能を拡張し、AIを導入します。こうした柔軟性は、セキュリティを維持し、アジリティを最大化する一方で、自分のペースでモダナイズを行うことを可能にします。
AI - セキュリティ態勢
ミッション クリティカルなアプリケーションおよびデータは、ビジネスの生命線であり、顧客は彼らの情報が安全に保たれることを信頼しています。現行のAIセキュリティ態勢の見直しを実施して、導入されているセキュリティ ベースラインについての状況認識のメンテナンスを行います。
IBM Powerシステムは、ベースライン構成と同じ程度にしかセキュアでありません。数年前は適切だったかもしれませんが、今日の要件には適合していない可能性もあります。システム全体のセキュリティ設定、ユーザーレベルのアクセス許可、出口点、および監査ジャーナルをすべて評価する必要があります。IBM i セキュリティは、 「 デフォルトで拒否」 モデルに準拠しています。これは、明示的に許可されない限り、アプリケーションおよびデータへのアクセスが否定されることを意味します。
一部の組織は、以前、システム デフォルトを信頼していました。彼らのシステムがオンプレミスのデータ センターの管理された境界内で稼働していたためです。その結果として、ライブラリーベースのオブジェクトは、任意のユーザーがデータを読み取るか、さらには変更するのを可能にするかもしれません。ディレクトリーおよびライブラリー オブジェクトは同様に、それらを読み取り、変更し、または削除するアクセス許可をすべてのユーザーに与えるかもしれません。今日では、ODBC、SSH、DRDA、およびHTTPなどのアクセス方式は、かつての厳密に管理されていた5250環境をはるかに超えて広がっており、クラウド コンピューティングおよびAIの時代では、組織のデータは高度に露出されたままになっている可能性もあります。
要点:
- 「デフォルトで拒否」が望ましいセキュリティ戦略である。
- データは、セキュリティが確保されていなければ脆弱である。
- *PUBLIC権限は、ライブラリーベースのオブジェクトでは*EXCLUDE、IFSオブジェクトではDTAAUT(*EXCLUDE) OBJAUT(*NONE)。
データ分類によって、情報をどのように保護する必要があるかが決まります。たとえば、「デフォルトで拒否」するか、または読み取り専用アクセスを許可し、データが送信時および静止時に 暗号化される 必要があるかどうかを決定します。また、データ分類は、データがAIモデルのトレーニングに使用される可能性があるかどうかなど、許可された使用法も定義します。
留意事項:データ分類は、組織にとってのデータの価値を反映し、データがそのライフサイクルを通じて確実に安全かつ適切に処理されるようにするのに役立ちます。データの所有者は、これらの要件を設定する役割を担います。分類は、一度だけ行えば済むものではありません。AIが進化するのにつれて、組織は、年に一度はすべての分類の見直しを行う必要があります。
AIの影響力を監視するための監査態勢
監査およびコンプライアンス要件は、通常、その組織が属する業界(ヘルスケアまたは金融など)、保存または処理されるデータのタイプ、またはデータを管理している特定の国の法律によって決まります。データの所有者やアプリケーション アーキテクトは、アプリケーションがアクセスを提供しているデータの要件について把握しておく必要があり、これらのセキュリティ アクセス要件に対応できる必要があります。IBM権限収集は、IBM i で利用可能な、IBM i システムに組み込まれているランタイムでの権限チェックと関連付けられているデータを捕捉する機能です。システムはこのデータをリポジトリに記録し、それを表示および分析するためのインターフェースが利用可能です。権限収集機能を使用することにより、過剰な権限の付与を防ぎ、アプリケーションによって使用されるオブジェクトの全体的なセキュリティを改善することができます。
さらに、SIEM(セキュリティ情報およびイベント管理)収集を使用して、リアルタイムでデジタル インフラストラクチャー全体にわたってログ データを分析し、脅威を検知および対応し、さらにはアクセスAIパターンも分析することができます。セキュリティ ポリシーをテストして修正し、セキュリティ インシデント ポリシー ロードマップで、ベースラインを検証し、アクセスの拒否およびデータ分類を再検討します。
セキュリティAIロードマップを完成させるためには、外部のIBM i 侵入テストを実施して、データ自体へのアクセスを越えたオープンなポートおよびセキュアでないサービスを識別します。リスクランク付きの悪用可能な問題の実行可能なリストおよび脆弱性の客観的証拠が提供されます。
進化するAIに対応するITレジリエンス
以前はバックグラウンドで稼働していた基幹システムも、今ではリアルタイム接続に晒されています。ビジネス システムを利用可能に保つためには、ITは、保護された商用運用に耐えるERPアプリケーション、拡張性のあるスループット、オンデマンドのアナリティクス、およびセキュアなモバイルおよびソーシャル機能を提供する必要があります。
ITレジリエンスは、今日では、包括的なデータ保護戦略のために、単なる夜間のバックアップ以上のものを要求します。企業は、 Continuous Data Protection (CDP: 継続的データ保護)、グローバル ミラーおよびPowerHAでのSANツーリング、および DB2 Mirrorなど、可用性の高い参照アーキテクチャーおよび効果的なテクノロジー ソリューションを必要としています。 イミュータブル バックアップおよびディザスター リカバリー と組み合わされ、最高レベルのレジリエンスが提供されます。許可または意図されてないデータベース更新が発生する前の状態へ、数分で復旧できることや、別のIBM Powerシステム上のホストで稼働するアクティブデータベースへフェイルオーバーできることが、レジリエンスに求められる新たな水準です。
CDPはジャーナリング テクノロジーを使用して、すべてのトランザクションを追跡します。一方、Db2 Mirrorは、2つの対のノードにわたってリモート ダイレクト メモリ アクセス(RDMA)を使用して、同期環境を作成します。Db2 Mirror、クローン自動化、およびグローバル ミラーでは、どのDBおよびシステム アップデートも、もう1台のサーバーに自動的にミラーリングされるため、iASPは、計画的メンテナンスの際に、ほぼゼロのデータ損失で、本番環境をオンラインに保ちます。
これらは、ITレジリエンスを構築するための強力なツールです。オーケストレーション機能と組み合わせた場合、複数の復旧時点が有効になります。今日では、RTOおよびRPOは、日単位ではなく時間単位および分単位で測定されます。ITは、システム可用性およびデータ保護スキームを、運用上(実証済みの手順書で)および戦略的に、事業継続性、ハイ アベイラビリティー、およびディザスター リカバリーのビジネス目標と整合させる必要があります。
AIが主役になる
クラウド戦略は進化し続けます。「クラウドファースト」のサイロから離れ、複数のクラウドでのアプリケーション ワークロード特有のデプロイメントへとシフトしてAIの取り組みをサポートしている企業が増えています。企業は、ワークロードをデプロイする場所と方法を柔軟に選べることの重要性を認識しています。したがって、データにアクセスし、デジタルAI進化の課題に対応するために、 クラウド ポータビリティ が必要となります。
多くの従業員は、正式なガバナンス ポリシーや承認された組織的境界がないままで、文書の要約、データの解析、メール、営業電話の記録および要約、コード生成、または問題のトラブルシューティングにすでにAIツールを使用しています。しかし、一部の組織では、リーダーシップ チームが十分に認識しないまま、AIシステムを通じて機微なビジネス データがすでに流出ているかもしれません。これこそが、AIガバナンスは将来行うべき取り組みだと考えることができない理由です。 今がその時なのです。これは、サイバーセキュリティ、コンプライアンス、ディザスター リカバリー、およびインフラストラクチャー ガバナンスと並んで、急速に中核的な運用規律になりつつあります。AIは、企業がデータを管理する方法を変え、レジリエンス、スケーラブルなパフォーマンス、およびセキュリティ能力を発揮するうえで、中心的な役割を担うことになるでしょう。
まず、組織は以下の点を検討することから始めるべきです。
- AIはどのようなシステムにアクセスするべきか。
- どのようなデータを制限されたままにするべきか。
- AIのやり取りはどのように監視、監査されるのか。
- ガバナンスとレポートをどうするか。
- データ保護戦略は、AI駆動型の脅威にどのように対応するのか。
これらは、企業のレジリエンスおよびセキュリティ態勢にますます影響を及ぼすようになっている極めて重要な実態です。良い知らせは、組織は、AI時代に参入するために既存のエンタープライズ プラットフォームを放棄する必要はないということです。IBM i はセキュアであり、このトランスフォーメーションに向けて準備ができています。IBM i のような環境は、成熟した業務ロジック、トランザクションの整合性、および統合されたセキュリティ制御を備え、すでに基幹システムとして機能しているため、群を抜いて良い位置に付けていると言えます。これからは、管理するデータを運用および保護する方法に可観測性を追加する必要があります。
AIで成功を収めるのは、単に導入が最も迅速な組織ではありません。可視性、運用管理、レジリエンス、ガバナンス、および信頼性という基盤の上にAI戦略を構築している企業です。 AIはイネイブラー(実現の支援者)です。 では、このトランスフォーメーション テクノロジーを前に、あなたの組織はどんな手を打ちますか。
