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IBMi海外記事2026.07.22

IBMが今なお語り続ける次世代Powerプロセッサーへの期待

Timothy Prickett Morgan 著

詳細情報が非常に乏しいのはいつも通りですが、IBMは今もなお、現在市場に出ている他のサーバークラスCPUに対してPower10およびPower11プロセッサーが持つ優位性を話題にしています。ニューオーリンズで開催された最新のPOWERUpカンファレンスでも、Powerのチーフ アーキテクトのBill Starke氏がそれについて取り上げています。そして、Starke氏は、Power NextまたはPower Future(いわゆるPower12)がどのようなものになり得るかについて、いつも1つか2つのヒントを示してプレゼンテーションを締め括ります。

Starke氏がPOWERUp 2026での2つのプレゼンテーションの際に話題にしたことの多くは、何年もの間、私たちがStarke氏と話していたことです。すなわち、Power10およびPower11チップに特有であり、CPUメモリー容量およびメモリー帯域幅の点でIBMに多大な恩恵をもたらす先進的なI/Oおよび差動メモリー アプローチです。Power10およびPower11チップ両方の不可欠な要素である組み込みのメモリー エリア ネットワークを考えると、IBMがさらに多くのことを行ってこれをパッケージ化し、アナリティクスおよびAIワークロードの強化の支援のために販売するということをしていないのは、ずっと不思議に思えていました。IBMは、BlueLink I/Oポートを活用して、CPUとアクセラレーター間で大容量メモリーを共有する密結合構成を実現し、Powerプロセッサーと様々な種類のAIアクセラレーターをさらに緊密に結合することも可能です。

これまでのところ、IBMは冷静にさりげなく振る舞いながら、数年前にIBM Researchによって設計され、AIワークロードに最適な行列演算ユニットで構成されているSpyreアクセラレーターを非常にゆっくり展開してきました。小誌でも、 2025年10月の記事でPower向けのSpyreについてレポートしましたが、私がSpyreに関して最も詳細な掘り下げを行ったのは、『 The Next Platform 』誌の2022年10月の「 IBM's AI Accelerator: This Had Better Not Be Just A Science Project (IBMのAIアクセラレーター: 単なる科学研究プロジェクトにとどめておくべきではない)」という記事、および2024年8月の「 IBM Shows Off Next-Gen AI Acceleration, On Chip DPU For Big Iron (IBM、次世代AIアクセラレーション、ビッグ アイアン向けオンチップDPUを披露)」という記事でした。Spyreのベースとなっている初期のAI Coreチップが発表されたのは2018年だったので、これはあまりペースの速い開発ではありませんでした。じれったさを感じているとしたら、真っ当な感覚だと思います。いずれにしても、Spyreチップの一部は、「Telum II」 Z17メインフレーム プロセッサーに埋め込まれています。Zコアを消費することなく、I/O機能をオフロードできるようになっている自社製のDPUと同様です。

Starke氏は何も述べていませんが、IBMはPower12プロセッサーで、現在Power10およびPower11プロセッサーに搭載されているMMA行列演算ユニットの取り外しを検討していると私たちはすでに予想していました。このPower MMAは、私たちが知る限り、どのIBM i およびAIXのショップによっても使用されていないようです。もちろん、それを利用するソフトウェアについても耳にしたことはありません。確かに、すべてのPower10およびPower11コアが、複雑な演算を行うために、ベクトル ユニットだけでなくMMAユニットも搭載することは素晴らしいことです。しかし、ZとPowerという2つの自社製プロセッサーが同じ行列演算ユニットを搭載し、同じ演算ライブラリーを使用することができれば、IBMにとってはさらに好都合でしょう。

Z17プロセッサーは、縮小版のSpyre IPブロックをZ17パッケージに配置していますが、すべてのコアにというわけではありません。そして、Power12でも同じことが予想されます。そうなると、どちらのチップも、行列演算ユニットは1つだけです。IBMがPower12およびZ18でベクトル ユニットも統一するとしても驚きではないでしょう。むしろ、なぜそうしないのでしょうか。演算ライブラリーは、それらを使用するコードを書き直す必要なく、機能がサポートされるように微調整することができます。正直なところ、まだそうなっていないことが不思議です。

Starke氏は、こうした可能性を匂わせる、将来のPower12の図を示しています。

この図からは他にも興味深いことが見て取れます。IBMは、AMD社がEpyc X86プロセッサーでそうしているように、将来のPower12 CPUでは、「コア アウト アプローチ」を採用します。これは、メモリー コントローラー、NUMAクラスタリング、およびI/Oダイが中央に配置され、その周囲にコアが配置されるというものです。現行のArmサーバーCPUは、1つまたは2つ(時には4つ)のコアだけのチップレットが中央に配置され、それらのコアの周囲にI/Oおよびメモリー コントローラーが配置されてすべてを外部にリンクする、「I/Oアウト」アプローチです。

ご存知の通り、可能な限り多くのAIをCPUでネイティブに稼働させるという方針を私たちは大いに支持しています。これは、プロセッサーのセキュリティ領域内にあり、それゆえに、AIルーチンを稼働するのに世界で最も安全な場所です。費用も最も安く済みます。ベクトル、MMA、またはSpyre IPブロックがプロセッサーに組み込まれており、この増加分の演算機能は「無償」であるからです。しかし、無償あるだけではなく、高速でもあります。

Starke氏のプレゼンテーションで示された以下の図は、そのことを説明しています。

GPUや、さらにはSpyreアクセラレーターのような外部アクセラレーターを備えた、Power10またはPower11プロセッサーを搭載したサーバーでは、CPU上で稼働してそれにデータを処理させるアプリケーションからアクセラレーターに到達するのに700ナノ秒ほど掛かることになります。アクセラレーターとCPUを接続するのに使用されるPCI-Express 5.0 x16リンクは、256GB/秒の双方向帯域幅を提供します。これはなかなかの数値ですが、現行のNvidia社のNVLinkコヒーレント メモリー ポートの900GB/秒の双方向帯域幅には遠く及びません。しかし、肝心なのは、CPUからNvidia GPUへの移動は、CPUにどれくらい近いか、NVSwitchメモリー ファブリック経由かどうかによって、やはり、およそ500ナノ秒~800ナノ秒掛かることになるということです。

Power10またはPower11コアからMMAへの演算のオフロードには、1ナノ秒、時には2ナノ秒掛かります。まさにそれです。そして、程よいサイズであるためにMMAを搭載したCPU上でモデルが稼働できる場合は、はるかに多くのAIモデルの重みをPower10またはPower11プロセッサーのメイン メモリーに保持することができます。これは、CPUソケット当たり最大4TBのメモリーをサポートしています。これに対して、Nvidia社またはAMD社のGPUアクセラレーターは数百GBです(理論上は、Power10またはPower11ソケット当たり最大16TBのメイン メモリーをサポートすることができますが、特に近頃はDRAMメモリーが非常に高価であることから、実際には経済的な理由で抑えられています)。

Powerアーキテクチャーについて深く掘り下げたことのなかった方にとっては、Starke氏のプレゼンテーションは得るところが多かったと思われます。しかし、私たちは、何年も前のPower10プロセッサーの発表以前から、長年、様々な形でこの資料を見てきました。IBMは、2005年のPower5+プロセッサー以降、Powerラインのチップレット実装を出荷してきました。もっと最近の例では、Power9およびPower10プロセッサーのデュアルチップ モジュール(DCM)実装がありましたが、これらは、単に2つのチップを1つのソケットへ配置しただけであり、ソケットを独立したコンピュート、メモリー、およびI/O要素に分けることなく、様々なニーズに応じて様々な割合でそれらを使用しています。

以前の記事で述べたように、IBMは、Power11チップで2025年と誰もが予想していた5ナノメートルではなく、3ナノメートルへのプロセス シュリンクと思われるものと併せて、先進的な2.5Dインターポーザーおよびチップレット デザインでSamsung社と協働することを望んでいると思われます。Starke氏は、Power10での7ナノメートルからPower11での5ナノメートルへの移行では、IBMにとってそうするだけの十分なメリットは得られなかったことを明らかにしています。5ナノメートル プロセスは、改良された7ナノメートル プロセスに比べてはるかに費用が掛かるため、必要なければ、5ナノメートルへ移行しないというのは難しい決断ではありません。しかし、IBMがPower12でもっと多くのものを追加したいと思うなら、3ナノメートルへのシュリンクは妥当なように思われます。

そして、IBMがそれを行うなら、IBM i およびAIXのショップのニーズを満たすためにもうひとつのPowerプロセッサーは必要なく、IBMは安らかに2030年を迎えることができます。次の5年間にデータセンターでどのようなことが起こるかによって、その後にはPower13があるかもしれないし、ないかもしれません。誰にも分かりません。

私が言えるのは、IBM i およびAIX顧客の圧倒的多数にとって、Power10またはPower11プロセッサーは十分なマシンだということです。そしてPower12は、なおさらそうでしょう。しかし、CPUでそのまま生成AIを動かす形が順調に進展した場合、IBMがAIを自社のCPUまたはSpyreアクセラレーターにとどめておきたいのなら、Power12はかなり目を見張るようなものでなければならないでしょう。

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