FAX/400やCICS for i の次にサポート終了となるのは何か
SDA(画面設計機能)やRLU(報告書設計ユーティリティー)のようなグリーンスクリーンのADTS(適用業務開発ツールセット)ツールの一部および他の20以上のツールなど、数多くのIBM i 製品および機能がサポート終了となり、IBM i 7.6でサポートされなくなりました。これについてはIBMが以前にその意向を発表していたため、驚きはありませんでした。しかし、IBM i の次のリリースでは、IBMはどのような製品および機能のサポートを終了するのでしょうか。IBMのWebサイトの謎めいた記事が、コミュニティで話題となっています。
IBM i 7.4および7.5向けの 2024年5月のテクノロジー リフレッシュ (TR)サイクルの一環で、IBMは、次のメジャー リリースで どのような機能および製品がサポートされなくなるのか について、IBM i コミュニティに知らせていました。IBMは、約30製品のサポートの終了について記した、 「ソフトウェアの営業活動終了およびサポート終了」のお知らせ を発表しています。
その2024年5月の発表の影響を受ける形で、それらの製品はすべて、IBM i 7.6でサポートされないということになります(すなわち、SDA、RLU、FCMU(ファイル比較および組み合わせユーティリティー)、DFU(データ・ファイル・ユーティリティー)など、いくつかのADTS製品や、マネージメント・セントラル・サーバー、DNSサーバー、DHCP(動的ホスト構成プロトコル)サーバー、Merlin 1.0、Rational Developer for i(RDi)バージョン9.6、および他の多くの製品)。2025年4月8日付けの「 Planning to upgrade to IBM i 7.6 (Software)(IBM i 7.6へのアップグレードの計画(ソフトウェア))」と題するIBM Supportの発表レターで説明されている通りに、IBMは、2025年4月30日でそれらの製品のサポートを正式に終了しました。
IBMがサポートを終了した製品のほとんどは、非常に古い製品です。それらが作成されたのは数十年前で、ユーザーもわずかです。唯一の例外は、ADTSかもしれません。ADTSは、IBM i でのアプリケーション開発では、群を抜いて最も使用されているツールであり続けています。このことは、長年にわたって実施されているFortra社のIBM i 市場調査によって裏付けされています。同調査によれば、IBM i 顧客の75%~80%がアプリケーション開発にADTSを使用しているということです。これに対して、RDi またはVS Codeを使用という回答は半数程度です(ただし、多くの開発者は複数のツールを使用)。
現在、IBMは、IBM i の次のリリースに向けて、同じ機能および製品の合理化に取り組んでいます。IBM i 7.6 TRサイクルの一環で、IBMは、IBM Support Webサイトで、IBM i 7.6に続く次のIBM i のメジャー リリースでサポートが終了されることになるツールについて説明するページを公開しています。
IBMは、同社Webサイトの「 Upgrade Planning - Future software releases (アップグレード計画 - 今後のソフトウェア リリース)」ページで、「IBM i 7.6は、IBM i ポートフォリオの以下の機能を提供する最後のリリースとなります」と述べ、その下に、IBM i 機能、製品番号、および後継機能が記入されるフォームを掲載しています。
唯一、問題なのは、そのフォームの中身が空だということです。
「まだまだこれから」と、IBM i 管理者のRob Berendt氏は、 MIDRANGE-L 掲示板で皮肉交じりに述べています。
IBMはどのような製品を終了させるか述べていませんが、IBMはレガシー開発ツールからの脱却を図ろうとしているという多くの臆測が飛び交っています。特に、ADTSツールの中でもおそらく最も使用されている2つのコンポーネントである、SEU(原始ステートメント入力ユーティリティー)とPDM(プログラム開発管理機能)は、まな板の上に乗せられているという噂です。
遡ること2023年、VS Code向けIBM i プラグイン開発の先頭に立つIBMのLiam Allan氏と、当時はIBMのオープンソース担当ビジネス アーキテクトだったJesse Gorzinski氏の問い掛けから、2008年のIBM i 6.1のリリース以降アップデートがなされていないSEUのサポートを終了させるべき時なのかどうかについて、 ちょっとした議論が巻き起こりました 。反応はまちまちでしたが、当時、IBM i プロフェッショナルの過半数は、SEUのサポート廃止という考えを拒絶しています。
SEUをサポート製品として温存することに対する賛成論と反対論は、それぞれかなり明快です。SEUサポート終了派は、このレガシーなグリーンスクリーン ツールは、IBM i 開発者がモダンなIBM i アプリケーションを作成したり、モダンな開発手法やツーリングを使用したりする妨げとなっていると主張します。SEU温存派は、SEUは高速で使いやすい不可欠なツールであり、終了させると、レガシーなコードベースを保守できなくなると主張します。
IBM i プラットフォームの後方互換性は、ITビジネスでは伝説的に有名です。おそらく肩を並べるとしたら、System Zメインフレームくらいでしょう。数十年前に開発されたコードを実行できる(そして最新のプロセッサーで高速かつ効率的に実行できる)ことは、IBM i プラットフォームが成功を収め、寿命を永らえている大きな要因となっています。
たとえば、1995年のOS/400 V3R6での48ビットCISCプロセッサーから64ビットRISCハードウェアへの移行は、顧客のビジネスにほとんど混乱を引き起こさず、AS/400のTIMI(Technology Independent Machine Interface)の見識の高さと先見の明の証しとなりました。最後の破壊的アップグレードは、 2008年のIBM i 6.1への移行でした。顧客はアプリケーションの再コンパイルを求められました。そうした大きなPowerのリブランドおよび6.1の再コンパイルから17年になります。次の大きな変化は間近に迫っているのでしょうか。
過去とのつながりを断って、顧客を無理やり現在に引き寄せたいのかどうか、あるいは、ほとんど制限のない後方互換性を提供し続けるかどうかは、結局のところIBMが決めることです。プラットフォームの将来に関して多くの決定を行う場合と同様に、IBMは、IBM i コミュニティから要望や意見を求め、それらを受け入れています。それが、 IBM Ideas portal、 LUG、 COMMON Americas Advisory Council(CAAC)、および Common Europe Advisory Council(CEAC)のような公式のルートを通じてであるか、『 The Four Hundred 』のコラム記事や 投稿欄のような非公式のルートを通じてであるかは問いません。
SEUを終了させるべき時であるかどうかというトピックは、今週、カリフォルニア州アナハイムで開催されているCOMMON POWERUp 2025カンファレンスで、間違いなく話題に上ることになるでしょう。それは、議論に値する、さらにはオープンな場での議論に値するテーマであるため、最終的に決定が下されても、誰も面食らうことはないでしょう。