2024年、秋のIBM i 向けTRの時季を迎える
IBMは昨日、IBM i バージョン7.5および7.4向けのテクノロジー リフレッシュ(TR)を発表しました。このプロプライエタリなオペレーティング システムに、またまた数多くの新機能が加わります。予告なしのアップデートでも、Db2、Navigator、ACS、PowerHA、および開発ツールなど、幅広いIBM i の機能がカバーされていることは、いつも予想されている通りです。
Navigatorには、新たなTRでさらにいくつかの機能強化がもたらされます。たとえば、新たなダッシュボードでのソフトウェア ライセンス情報の通知、Webベースでのネットワーク機能の管理、Java 11およびJava 17ジョブの監視のサポート、Performance Data Investigator(PDI)の機能強化、および監査ジャーナルでの作業用の新たなオプションなどがあります。
また、IBM i Access Client Solutions(ACS)バージョン1.1.9.6での最新の機能強化も、今回のTRに含まれています。ACS 1.1.9.6については、 8月のリリース時に記事で取り上げています。
データベースでは、その中核となる機能に対してアップデートがなされているのとともに、IBMがこの数年間に構築してきた数多くのSQLベースのサービスに対してもアップデートがなされています。データベース機能としては、Universally Unique Identifier(UUID: 汎用一意識別子)の作成のための一対の新たなスカラー関数が追加され、また、ユーザー定義表関数に、隔離解除されたコードを生成するためのオプションが追加されています。
Db2 for i サービスとして提供されている、索引に関する情報を提供する表関数の機能強化は、データベース エンジニアから高く評価されるでしょう。また、新たなTRには、監査情報のより効率的な取得からサービス ツールに関する情報の収集まで、多岐にわたるタスクを自動化する、6つの新規または機能強化されたIBM i サービスも含まれています。
SYSTOOLSでは、新たなTRで7つの機能強化が行われています。SEND_EMAILに対する機能強化や新たな監査ジャーナル ヘルパー関数など、IBM i に関するタスクを実行するための、さらに多くのツールがユーザーに提供されます。
アプリケーション開発の領域では、IBMは、開発者がWebベースのIDEから容易にRPGやCOBOLなどのILE言語で作業することを可能にするVS Codeプラグイン、Code for IBM i に対する機能強化を推し進めています。RPG向けの新たなコマンド ライン インターフェースに加えて、SQL Error Logging Facility(SELF: SQLエラー ロギング機能)ビューとの統合など、さらに多くのDb2 for i 機能が含まれるようにデータベース拡張機能が強化されています。
Rational Development Studio for i(RDS)には、2桁の西暦年に関する警告や、最大および最小のフィールド値を返す新たなBIFなど、いくつかの新機能が加わります。Rational Developer for IBM i(RDi)は、バージョン9.8.0.3で、IFSの改善、デルタ比較機能、RDiタグのサポート、JVMサポートの改善など、いくつかの新機能によってアップデートされます。
Backup, Recovery, and Media Services for i(BRMS)には、IBM i 7.4 TR11および7.5 TR5で、バックアップ ステータス ビューへのアーカイブ制御グループ データの追加や、複数のライブラリーのリストア時の、コマンドのリストアのパフォーマンスの最適化など、いくつかの新機能が加わります。
パブリック クラウドでPowerHAを稼働している方には、今回のTRで提供される大きな新機能を、ぜひとも試してみることをお勧めします。これまでは、PowerVS環境で導入される場合にPowerHAが利用できるのは、PowerHAのストレージに依存しないスイッチングおよびレプリケーション テクノロジー(すなわち、地理的ミラーリング)のみでした。これは、SAN(ストレージ エリア ネットワーク)を必要とせず、IBM i 上のDASD(直接アクセス記憶装置)で動作します。
新たなTRでIBMは、PowerVSの顧客が、SANベースのレプリケーションおよびスイッチング メカニズムを利用するPowerHAのいくつかのより強力なレプリケーションおよびスイッチング オプションを使用できるようにしています。まずは、グローバル複製サービス(GRS: Global Replication Services)のサポートです。GRSは、2台のサーバー間での非同期レプリケーションを提供し、オンプレミス環境でグローバル ミラーが動作するのと同じように動作します。
GRS(IBMは2022年に IBM CloudにGRSを導入 )は、IBMがSpectrum Virtualize(IBM FlashSystem SANアレイを管理するためのソフトウェア)で使用していたデータ レプリケーション メカニズムを使用します。IBMは「開発意向表明」の中で、PowerVS FlashCopyおよびLUNレベル スイッチングのサポートなど、他のHAテクノロジーのサポートを追加する予定と述べています。
IBM i 7.5 TR5および7.4 TR11で提供されるOS本体の新機能の大半は、11月22日に提供開始される予定です。その他の製品に対するアップデートは、12月に提供開始される予定です(BRMSは12月15日、RDiは12月20日、PowerHAは12月27日など)。IBMの7.5 TR5の発表レターは こちら で、7.4 TR11の発表レターは こちらでご覧になれます。
編集者注:この記事は一部訂正されました。拡張ジョブ スケジューラー(AJS: Advanced Job Scheduler)サポートは、今年に入ってすでに追加されていました。『 IT Jungle 』は、間違いをお詫びいたします。