IBM i およびRPGに投資する価値はあるのか
IBM i サーバーが、ピカピカの新しいシステムだと誤解している人はいないでしょう。レガシーなプラットフォームという位置付けから逃れることはできません。しかし、だからといって、IBM i およびRPGに投資する価値はなくなっているのでしょうか。アウトソーシング企業のDDC FPO社による新たなレポートが焦点を当てているのは、まさにこのことです。
DDC FPO 社(コロラド州エバーグリーン)は、トラック運送業界を顧客とするビジネス プロセス アウトソーシング企業であり、トラック運送業者向けの運賃請求やカスタマー サービスなどの業務を専門としています。トラック運送業界でIBM i サーバーが広く使われてきたことからすると、DDC社がこのプラットフォームに関心を寄せていることは驚くに当たりません。
先日、DDC社は、「The Complete Guide to IBM i :Is it worth continuing to invest?(IBM i 完全ガイド:投資し続ける価値はあるのか)」と題する、9ページからなるレポートを発表しました。レポートの前提となっているテーマは明快です。すなわち、このプラットフォームはビジネス上のメリットをもたらし続けているものの、スキル ギャップ、コスト、モダナイゼーション、「関係者の抵抗」といった、プラットフォームが直面している諸課題によって、そうしたメリットが帳消しになってしまうのではないか、ということです。
「今日のような高度にデジタル化された世界では、新しいテクノロジーが毎日のように出現します。しかし、最新のプラットフォームおよびツールというのは、常に、利用可能な最善のものであると言えるのでしょうか」とDDC社はレポートの序文に記しています。「新たなイノベーションの採用を急ぐあまりに、数十年にわたって企業を動かしてきたレガシー システムを廃用しようという気になってしまうこともあるのかもしれません。こうしたイノベーション推進バイアスの標的にされることの多いのが、IBM i なのです。」
高頻度のアップデートと高い安定性は、DDC社がIBM i の最大のメリットとみなすものの2つです。その統合性の高い設計は、他のプラットフォームでもたらされるものに比べて、より高い信頼性をもたらす一助となっていると同社は述べています。
DDC社のレポートによれば、拡張性は、このプラットフォームにとってのもうひとつのプラス要因だということです。IBM i の単一レベル記憶は、技術的な複雑性を軽減しつつ、顧客が大量のデータを保管することを可能にしています。その一方で、このプラットフォームのセキュリティおよびデータ保護機能のおかげで、このプラットフォームは、機微なデータを保管するための魅力的な場所となっています。
パッケージ アプリケーションの豊富さも、もうひとつのプラス要因だとDDC社は述べています。また、このプラットフォームが、より新しいテクノロジー(クラウドで利用できるものを含めて)と統合できるということは、新たなコンピューティングのトレンドが出現しても、ユーザーは最新の動向に付いて行くことができるということです。
しかし、IBM i を稼働することに対する課題も、少なからずあります。中でも、一番の課題は、スキル ギャップだということです。DDC社は、特に、RPGおよびCLのナレッジの不足が、このプラットフォームおよびそのユーザーに影響を及ぼしていると見ているようです。
「教育システムでは、より新しいプログラミング言語に重点が置かれます」と同社は記しています。「そのため、数多くのRPGのエキスパートが引退しようとしており、スキル ギャップの問題は深刻化しています。このため、組織がふさわしい候補者を見つけて採用し、IBM i プラットフォームでのアプリケーションの保守および開発を担わせることは、難しく、よりコストが掛かるようになっています。」
RPG教育の不足を受けて、DDC社は独自の専門学校を創設することになりました。 今年初め 、DDC社は、フィリピンの首都マニラで、RPG、CL、SQL、およびこのプラットフォームで使用される他のプログラミング言語のスキルを持つプログラマーを養成するプログラムを立ち上げています。
コストは、IBM i の成否を分ける2番目に大きな障害だとDDC社は述べています。ハードウェアおよびソフトウェア ライセンスまたはサブスクリプション料金の費用から、IBM i プログラマーおよびオペレーターの人件費に至るまで、どこでもコストだらけです。「効率的なIBM i システムには、投資が必要となるのです」と同社は述べています。
アプリケーション モダナイゼーションも、IBM i のショップが直面しているもうひとつの課題です。特に、APIを採用することによってシステムのセキュリティに穴が開く可能性については、IBM i のショップがモダナイゼーション プランの中で慎重に検討すべき点です。
IBM i の足を引っ張っている最後の障害は、関係者の抵抗だとDDC社は述べています。とりわけ、IBM i のグリーンスクリーン インターフェースは「古臭くて時代遅れだ」と思っている従業員は、このシステムにはまったくメリットがないと思い込んでいるかもしれません。
「IBM i に対する関係者の認識を変えるには、システムの信頼性、セキュリティ、および効率性を強調しながら、IBM i のメリットをじっくり教え込むことです」と同社は述べています。「他のテクノロジーの変更の場合と同様に、現在進行しているすべてのモダナイゼーションの取り組みについて明確に説明することで、関係者はそうした取り組みの背後にある「理由」を理解できるようになります。」
どのプラットフォームでも同じですが、IBM i を使用することには、プラスの面とマイナスの面があります。しかし、すべてをまとめてみれば、一部の誤解は払拭されないままだとしても、このプラットフォームを使用することには多くのメリットがあります。
「「古いか新しいか」という点での比較は、それぞれのITシステムの微妙な違いや、様々なビジネス ニーズとの相性が見落とされてしまうため、比較のしかたとして適切でないこともよくあります」と同社は記しています。「セキュアで拡張性の高い、実証済みのプラットフォームとしてのIBM i の価値を軽視することはできませんし、年数を重ねていても時代遅れになってはいません。IBM i は、より新しいシステムと共存(そして統合)することができるため、企業が強固な基盤の上に成功を築き上げる一助となります。」
DDC FPO社のレポートは、 こちらからダウンロードできます。