IBM i のディザスター リカバリーにパブリック クラウドを使用する
災害は、いつ起こるか分かりません。事業継続性を確保するために、ディザスター リカバリー計画を整備しておくことは、組織にとって必要不可欠となっています。しかし、包括的なディザスター リカバリー計画を策定して維持管理するというのは、気が遠くなるくらい面倒な作業にもなりかねません。特に、IBM i サーバーに依拠している組織にとってはそうでしょう。IBM i サーバーでは、他のサーバーやアプリケーションとの多くのインターフェースとともに、重要な機能を果たしているビジネスクリティカルなアプリケーションを稼働していることが多いからです。
以前は、IBM i のディザスター リカバリー ソリューションへの投資というのは、多額の出費を伴うものでした。データセンターの運用に関わる膨大なコストに加えて、ハードウェアにもソフトウェアにも多額の資本投資が必要だったからです。
幸いなことに、パブリック クラウド テクノロジーの出現によって、IBM i のディザスター リカバリーをめぐる環境は大きく変わっています。ディザスター リカバリーは、利用しやすく手の届きやすいものになり、たとえば、コストパフォーマンス、スケーラビリティ、および展開の容易さといった面で、多くのメリットを享受できるようになりました。ディザスター リカバリー機能を導入または拡充しようとしている組織にとっては、クラウドは魅力的な選択肢となっているわけです。
ディザスター リカバリーにパブリック クラウド オファリングを使用する最大のメリットの1つは、コスト節減を見込めることです。従来のディザスター リカバリー ソリューションでは、顧客は初期設備投資の大きな負担を背負いこむことになりがちでした(これは特に中小企業にとっては厳しいものがありました)。一方、パブリック クラウド オファリングでは、企業は、利用するリソースに対する料金のみを支払うようにすることができます。このことは、企業は先行投資の費用の多くを回避できるということを意味します。パブリック クラウド プロバイダーでは一般に、従量制の料金モデルが採用されているためです。つまり、企業は利用するリソースに対する料金を支払うだけでよいということです。また、1年または3年契約とすることによって、費用はさらに節減できます。
Maxava HAのようなソフトウェアベースのレプリケーション ソリューションと組み合わせると、必要となるリソースは最小限になります。オンプレミスのソース サーバーとクラウドベースのターゲット サーバーとの間で、リモート ジャーナルの適用セッションが確実に同期を維持できるだけのリソースで十分です。災害発生時には、クラウドではvCPUやメモリーなどのリソースをすぐに増やすことができます。たいていは動的に行われ、IPLも不要です。Maxava HAは、長きにわたって、ディザスター リカバリーにクラウドを使用しようとしている組織にとって人気の選択肢となっています。サブスクリプションベースの料金体系になっているため、クラウド オファリングとも整合しています。また、IBMハードウェアの費用とIBMソフトウェア メンテナンス(SWMA)の費用の両方がカバーされるクラウド プロバイダーであれば、さらなるコスト節減も実現可能です。
パブリック クラウド オファリングは、冗長性の高い、強靭なインフラストラクチャーをベースに構築されています(たいていは、現在ご使用のデータセンターと比べて冗長性も強靭性も優れていると思われます)。さらに、パブリック クラウドが位置している数多くの地理的ロケーションの1つにターゲット サーバーをハウジングできるということは、ビジネスおよび規制上の観点から合理的な場所へIBM i サーバー環境を複製することが可能となるということです。低遅延のネットワーク接続は標準となっているため、データを迅速かつ効率的に複製することができます。結果として、RTO(目標復旧時間)およびRPO(目標復旧時点)を短縮でき、企業は災害後の復旧をより迅速に行えるようになります。
ディザスター リカバリーにクラウドを使用するべき5つの理由。
- 必要に応じてリソースを増減できるため、ビジネスに合わせてIT支出を柔軟に調整できる。
- ハードウェアまたはソフトウェア メンテナンスのための費用が不要になる。
- 地理的な選択肢が広がる(自然災害が発生しやすい地域向けには好都合)。
- データセンター運用費用の節減。
- オペレーティング システムの新バージョンを検証してから本番移行することによってリスクを最少化。
ますます一般的になりつつある傾向は、論理レプリケーションであれ、PowerHAであれ、企業が現行のHA/DRセットアップにさらなるノードを追加しようとしていることです。クラウドはそのための合理的な選択肢となります。マルチノードは、Maxava HAの標準機能です。
「3-2-1」バックアップ戦略は、データのコピーを3部作成し、それらのコピーを2つの異なる種類のメディアで保管し、1部はオフサイトに保管することを求める、広く受け入れられているバックアップ方式です。この方式に則ることにより、ハードウェア障害、自然災害、またはその他の不測の事態によって生じるデータ損失を予防できる、堅固なバックアップおよびリカバリー ソリューションが提供されます。IBM i 向けの論理レプリケーションは、「3-2-1」バックアップ戦略と連携することで、重要データに対する保護性能および冗長性をさらに高めることができます。パブリック クラウドにデータをリアルタイムで複製することによって、論理レプリケーションは、プライマリー サイトの障害の場合でも、データが常に利用可能であることが保証されるようにする一役を担っています。「3-2-1」バックアップ戦略とIBM i 向けの論理レプリケーションを組み合わせることで、データ損失やダウンタイムのリスクを最小限に抑えることができる、包括的なデータ保護計画を策定することが可能になります。複数のデータのコピーが種類の異なるメディアで保管されていて、さらに、必要に応じて切り替えることができるリモート コピーもあるため、必要時に重要データが安全で利用可能であることが確保されるので安心です。
マルチクラウド戦略を実装することによって、レジリエンスを高めることができます。自由度が高まり、複数のプロバイダーによって提供されるリソースを利用することによってリスクが拡散されます。これにより、組織は、様々なクラウド プロバイダーの特有の機能や性能(たとえば、地理的な対象範囲、コンプライアンス認証、専門的サービスなど)を利用することが可能になります。もうひとつのマルチクラウドのメリットは、クラウド プロバイダーによって異なる様々な料金モデルおよび最適化戦略をフル活用することによって、コスト節減につなげることができることです。
Microsoft Azure上のSkytapのクラウド、IBMのPower Virtual Server、GoogleのPowerクラウド、またはPower Systemsを稼働するその他の小規模なクラウド サプライヤーのサービス(近頃は数多く提供されています)のいずれを利用しようとしている場合でも、Maxava HAはシームレスに動作します。そして、ロール スワップのシミュレーション機能が提供されているため、IBM i ユーザーは、通常の稼働日にダウンタイムなしで、本番サーバーに影響を及ぼすことなく、ディザスター リカバリー計画を検証できます。また、完全なロール スワップも可能です。大規模なIFS環境に対しては、Maxava HAでは、マルチスレッド レプリケーションに実質的に無制限の適用セッションを提供することで対応します。そして、今では当り前となっている、膨大な数のIFSオブジェクトを処理するのに必要とされる性能を実現できるのは、こうしたアプローチによるものです。こうした機能も、やはりMaxava HAでは標準機能です。
クラウドまたはオンプレミス インフラストラクチャーに位置するサーバーのいずれに対しても、プロアクティブな監視を行おうとしている組織向けには、Maxava社では、それ自身もクラウド インフラストラクチャー上で構築されているソリューションであるMonitor Mi8によって、最新のソリューションを提供しています。Mi8には、ロケーションを問わず、すべてブラウザ インターフェースを介して、IBM i 、AIX、Linux、およびWindows環境の監視を行う機能が備わっています。
先日、Maxava社は、IBMのPower Virtual Server担当ワールドワイド オファリング マネージャーのTonny Bastiaans氏と協働して、IBM i のディザスター リカバリーにパブリック クラウドを使用する方法について検討するウェビナーを開催しました。そのオンデマンド ウェビナーは、こちら( https://register.gotowebinar.com/register/2516435096208736784 )からアクセスできます。