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IBMi海外記事2023.05.10

IBM i は「最新の状態に保たれていれば」前途有望、IDC社調査

Alex Woodie 著

少なくともIDC社から見れば、IBM i のゆっくりとした終焉と消滅というのは、ひどく誇張され過ぎたものだということです。Rocket Software社の委託によるホワイト ペーパーで、この名高い調査会社のアナリストは、IBM i は「最新の状態に保たれていれば」、顧客のデジタル戦略において間違いなく前途有望だと述べています。このコミュニティにとっては朗報ですが、取り組むべき課題はまだまだたくさんあります。

アプリケーションのモダナイゼーションは、何十年もの間、IBM i のショップにとって重要なテーマとなっていました(今がまだ1990年代初めとでも思っているかのような組織にとっては特に重要なテーマだと言えるでしょう)。IBMが後方互換性の確保のために比類ないほどの投資を行ってきてくれたおかげで、30年を経たオペレーティング システムおよび30年を経たハードウェア上で、30年を経たRPGコードを技術的に実行することができますが、それは必ずしもデジタル時代における成功の秘訣というわけではありません。

残念なことに、21世紀へ向けての最も基本的な対策さえ講じていないIBM i のショップがかなりあるようです(そうしたショップを「IBM i のショップ」と呼ぶのはおそらく適切ではないでしょう。むしろ「AS/400のショップ」、さらには「S/38のショップ」かもしれません)。こうしたデジタル原始人の振る舞い(あるいは不作為)によって、2023年のIBM i のイメージが決まってしまってよいものでしょうか。

答えは「ノー」です。もちろん、今日のIBM i のイメージがそのようなものになってしまうのは許されることではありません。しかし、自身のスキルやツールや技術をアップグレードしようとしたがらないユーザーが多少いるとしても、IBM i 環境のアップデートに努め、組織の改善に取り組むべく日々奮闘している、素晴らしいIBM i ユーザーすべてのイメージが悪くなることはないはずです。

私たちは皆、IBM i がいかに素晴らしいかよく分かっていますが、往々にしてIBM i は、できるだけ早く使用を中止して廃用したほうがよい、最盛期を過ぎたプラットフォームと見られがちです。IBM i プラットフォームは、IT業界全般の世論に影響力がある多くのIT評論家による認識がかなり低いことは否めません。EBCDICの兄貴分であるSystem zメインフレームも同様で、IBM i サーバーと同じ多くの課題や誤解に直面しています。

しかし、 IDC 社および同社のアナリストのPeter Rutten氏は、「How IBM i Can Play a Pivotal Role in Supporting a Digital First Strategy(デジタル ファースト戦略をサポートする上でIBM i はどのようにして極めて重要な役割を果たすことができるのか)」と題するホワイト ペーパーで、このプラットフォームをフェアに扱ってくれているようです。 Rocket Software社の委託による、2023年3月発表のホワイト ペーパーが届けたメッセージは、多くの問題を抱えるCIOの耳に心地良く響いたかもしれません。

「最新の状態に保たれ、組織のモダナイゼーションの取り組みに組み込まれていれば、IBM i は、組織のデジタル ファースト戦略をサポートする上で極めて重要な役割を果たすことができるとIDCは考えます」とRutten氏はこの8ページの文書の中で記しています。

注目すべきは、Rutten氏が、IBM i プラットフォームに免罪符を与えていないことです(Rutten氏は、「リサーチ バイスプレジデント。インフラストラクチャー システム、プラットフォームおよびテクノロジー グループ、高パフォーマンス コンピューティング ソリューション担当グローバル リサーチ リーダー」という、IBM風の肩書を持っています)。組織は、モダナイゼーションの取り組みに「ハイエンド エンタープライズクラス」システム(IBM i など)を含めるよう努める必要がありますが、常にそうなるわけではないようです。

「残念なことに、そのようなハイエンド エンタープライズクラス プラットフォームを稼働している組織は、それらのシステムおよびそのワークロードとアプリケーションを、デジタル ファースト戦略から外すことがかなり多いようです」と彼は記しています。「せいぜい、少しのアプリケーションまたはオペレーションを含めるくらいであり、その一方で、プラットフォームの残りの部分のモダナイゼーションは後回しにしてしまいます。モダナイゼーションが表面的に行われることも時にはあります。たとえば、プラットフォームの残りの部分はそのままのままにして、グリーンスクリーン インターフェースをより最新式のユーザー インターフェースに置き換えるだけです。」

関連する費用、時間、および複雑さを心配して、組織がこうしたハイエンド エンタープライズクラス システムをモダナイズしないというケースも多いようです。こうしたシステムを稼働している組織の中には、大事になり過ぎるからモダナイズは行わないとする組織が非常に多いとRutten氏は述べています。

しかし、それは間違いだと彼は述べます。デジタル対応は避けられないものとなっているため、Rutten氏はモダナイゼーションに対する別のアプローチを処方しています。こうしたハイエンド エンタープライズクラス システムを稼働している組織は、「ビッグ バン」方式で取り組むのではなく、たとえば、最新のオペレーティング システム リリース レベルを使用する、「あるいは、最低でも1世代遅れに留める」といった取り決めなど、より小さなことからモダナイゼーションの取り組みを始めることができると彼は記しています。

継続的改善に向けて取り組む姿勢をITチームの組織にしっかり組み込むことによって、モダナイゼーションは「IT戦略の永続的な側面」となることができるとRutten氏は記しています。IBM i のショップは、ITスタッフがモダナイゼーションの取り組みに専念するための時間を作り出すべきだと彼は述べます。

IBM i のプロフェッショナルが大量に引退して、後継者が見つかりづらい今日では、そのような要望が叶えられるのは難しいかもしれませんが、幸いなことに、IBM i の中核的なメリット(主に、低いTCO(総保有コスト)で大量のトランザクション処理を行える)は損なわれないままでいます。このことは、このプラットフォームが最新のアプリケーションを構築するためのプラットフォームとしての役割を果たすことができるとRutten氏が考える1番の理由であるようです。

「IBM i は、「レガシー」プラットフォームと呼ばれることもあり、「レガシー」は、RPG、COBOL、グリーンスクリーン、CLなどのことを指すという認識があります」と彼は述べます。「しかし、IBM i プラットフォームはそれをはるかに超えるものです。オブジェクト指向であり、組み込みのセキュリティを備え、統合されたデータベースで高度に最適化されており、ユーザーは、このプラットフォームで、たとえば、Python、Node.js、Jenkins、およびモバイルなど、最新のテクノロジーをすべて使用することができます。」

RPGおよびCOBOLには古臭いイメージがありますが、それらは今なお最新の方式で使用することができるとRutten氏は記しています。しかし、PythonやPHPのようなオープンソース言語を実行できることによって、主流となっているスキルを持つ開発者にとってIBM i は魅力的なものになっています。クラウドでIBM iが利用できること、Pythonアプリを介してIoTおよびエッジ機能を利用できること、そしてIBM i に本来的に備わるセキュリティ性能、これらすべてがその強みとなっています。

モダナイゼーションの取り組みの中でIBM i が陥らないようにとIDCが心配している過ちが1つあります。すなわち、IBM i マシンに関するすべてのものを全体的な視点から捉えない、という過ちです。IBM i 顧客は1つのコンポーネントまたは1つのアプリケーションに目を向けるだけで、他のすべてをないがしろにしがちだとRutten氏は記しています。それは、モダナイゼーションの取り組みの断片化をもたらし、結局はうまくモダナイゼーションを行える可能性を低下させることになると彼は記しています。「プラットフォームのある一部分が本当に最優先課題であるのかどうか定量的に調査することなく、あるいは組織に対するプラットフォームのサービス全体に重大な影響を及ぼさないかどうか熟慮することなく、プラットフォームの一部分のみをモダナイズしてはならないのです」と彼は記します。

結局のところ、このプラットフォームから逃げ出すIBM i 否定派は、間違った判断をしようとしているということになりそうです。一方、真の信奉者は、体系的かつ全体的なアプローチでモダナイゼーションに取り組んでいれば、これまでの投資からの利益を享受できる好位置に立っているということです。「IBM i は、組織が投資すべきであり、進化し続けるデジタルファーストのIT環境と統合すべきである、エンタープライズクラス コンピューティングのための堅固でモダンな将来性のあるプラットフォームであるとIDCは考えます」とRutten氏は結んでいます。

「IDC Spotlight」ホワイト ペーパーは、 こちらでダウンロードすることができます。

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