Gartner社、2021年および2022年のIT支出予測を上方修正
IT業界ほどの規模の大きな市場では、ちょっとした変化で、世界全体での支出額が何百億ドルも上下します。個々の企業のIT予算は世界平均に照らして判断されることもかなり多いため、どのような増加も、たいていは良い知らせとして受け止められます。そのため、ある意味、IT部門はITに費やす資金を増やすべきだと主張しやすい環境になっていると言えます。Gartner社の予言者たちが、2022年のIT支出の予測を上方修正したばかりだからです。
もっとも、大した増え方ではないので、あまり興奮し過ぎることはありません。2021年8月の予測( こちらの記事で詳述)では、2022年におけるハードウェア、ソフトウェア、およびサービスにわたる世界全体のIT支出は、5.2%増加し、4兆4300億ドルになると予想されていました。そして、2021年10月の予測では、5.5%増とGartner社は予想しています。また、現時点で同社が推定する2021年支出額についても、わずか数か月前の予想に比べて、大きな額となるようです。8月の予測では、Gartner社は、2021年の世界IT支出を8.6%増の4兆2060億ドル近くと予想していました。そして、今回の10月の予測では、2020年がコロナウイルス パンデミックの影響でおおむね横ばいだったことを受けて、今年は、9.5%増の4兆2420億ドルへと大きく増加しているとGartner社は見ているようです。
Gartner社によると、カテゴリー別の支出は、以下のようになると見込まれているようです。
2020年支出額 | 2020年増加率(%) | 2021年支出額 | 2021年増加率(%) | 2022年支出額 | 2022年増加率(%) | |
---|---|---|---|---|---|---|
データ センター システム | 178,836 | 2.5 | 196,142 | 9.7 | 207,440 | 5.8 |
エンタープライズ ソフトウェア | 529,028 | 9.1 | 600,895 | 13.6 | 669,819 | 11.5 |
デバイス | 696,990 | -1.5 | 801,970 | 15.1 | 820,756 | 2.3 |
ITサービス | 1,071,281 | 1.7 | 1,191,347 | 11.2 | 1,293,857 | 8.6 |
通信サービス | 1,396,334 | -1.5 | 1,451,284 | 3.9 | 1,482,324 | 2.1 |
IT全体 | 3,872,470 | 0.9 | 4,241,638 | 9.5 | 4,474,197 | 5.5 |
デバイスへの支出は落ち着くと見られます。私たちの多くが、在宅勤務に伴い、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、携帯電話を新調してきたためです。また、データ センター システム(サーバー、ストレージ、およびネットワーキング)への支出も、今年、大幅に増加したことを受ける形で、来年は収まりそうです。今年は、多くの企業でデジタル トランスフォーメーションの取り組みが促進され、莫大なキャパシティーを求めるニーズが、金融サービス、運輸、小売、および卸売業界の多くの企業で発生しました。
「2020年と2021年で変わったことは、実際にはテクノロジーそのものではなく、テクノロジーを導入して様々なやり方で利用したいという人々の意欲や熱意だったのです」と、今回のIT支出予測をまとめた、Distinguished Analyst(特別栄誉アナリスト)の称号を持つ、Gartner社のリサーチ担当バイスプレジデント、David Lovelock氏は解説しています。「2022年には、企業のCIOは、ビジネス コンポーザビリティ(business composability: ビジネス構成可能性)の概念を採用し、非同期的なワークフローに対応するテクノロジーを活用することによって、業務のやり方を再構成する必要があります。」
この発言の前半部についてはまったく同感です。そして、いつものことながら、後半部でGartner社がいったい何を言おうとしているのかは、正確には分かりません。
この発言の前半部についてはまったく同感です。そして、いつものことながら、後半部でGartner社がいったい何を言おうとしているのかは、正確には分かりません。