バックアップの現状はどうなっているか?
3月31日の日曜日が、「世界バックアップデー(World Backup Day)」であることをご存じでしたでしょうか。大方のITプロフェッショナルと同様、おそらくお気付きでなかったかもしれません。しかし、そのことを知った今となっては、あなたの会社の最も価値ある資産であるデータが十分に保護されることを確保するために、できることはすべて対応しようとしているところかと思います。次の質問はこうです。あなたのIBM i サーバーにとって、そのことはどのような意味を持ちますか。
重要なドキュメントやデータベースやファイルを失ったことのある人なら誰でも、失うことの痛みが分かります。そして、失うものが多ければ多いほど、痛みは大きくなるものです。だからこそ、十分にドキュメント、データベース、およびファイルがバックアップされ、不具合やトラブルやグレムリン(思いも寄らないときに限って悪さをする、コンピューターの中に住み着く小悪魔)から守られているようにしておくことがとても重要になってきます。
バックアップを行うことが重要だということは、誰もが分かっています。しかし、実際にIBM i 上でデータをバックアップすることには、どのようなことが伴うことになるのでしょうか。HelpSystems社の最新の「Marketplace Study」によれば、低速な1/4インチのテープ ドライブの古い時代から比べると、ずいぶんと進歩しているようです。
HelpSystems社の調査によると、IBM i のショップの49%がハイ アベイラビリティー(HA)ソフトウェアを通じてデータを保護しているとのことです。また、25%はテープを使用し、13%は仮想テープ ライブラリー(VTL)を使用し、11%はクラウド バックアップを使用しているそうです(データを保護するために何も行っていないとの回答が2%あったようでしたが、これにはまったくゾッとされられます)。
災害復旧プランとして、どのような体制を整えていますか
出典: HelpSystems「2019 Marketplace Report」
IBM i コミュニティは長い年月をかけてHAへの移行をゆっくりと進めつつあるようです。HelpSystems社では、IBM i のショップの51%がHAを使用していないと嘆いているようですが、インストール ベースの半分がHAというのは、なかなかのことです。また、HAソフトウェアは、アプリケーションまたはサーバーの問題と関連するダウンタイムの最小化との関係で語られるのが一般的ですが、実のところ、すべての本番データのコピーがロードされた「ホット バックアップ」も、バックアップのうちに数えられます。
独自のRobot/HA製品を持ちつつ、IBMのPowerHA製品の開発も引き継いできたHelpSystems社を含め、HA/DRソフトウェアを提供しているベンダーは多数あります。他にも、HA/DR市場に参入しているベンダーには、Syncsort(旧Vision Solutions)、Rocket Software、Maxava、Shield Advanced Solutions、iSam Blueなどがあります。また、EMCは、ハードウェアベースのHAの一形態であるエンタープライズ ストレージ アレイによって、リアルタイム データ レプリケーションを提供しています。
テープは、現在もバックアップ市場のかなりの部分を占めていますが、それなりの理由があります。テープはデータをバックアップする方法として最も安価であり、使う側も使い慣れています。IBMは、数多くのLTOテープ ドライブを販売しており、第9世代のLTOドライブのリリースが間もなくだと言われています。
IBM i プラットフォームでは、VTL市場は長年にわたって比較的安定的でした。IBM i 市場では、Laservault、Cobalt Iron、Dynamic Solutions International、Tributary Systems、EMC Data Domain、Falconstorなどの企業が有力です。ほとんどのVTLは、LTOドライブをエミュレートしてIBM i のようなホストからバックアップを受け取るストレージ アプライアンスであり、それらの多くはデータ レプリケーション、重複除去、および暗号化といった機能を備えています。
クラウド バックアップは、10年前にはほぼ存在していなかった新興のカテゴリーです。IBM i をサポートしているほぼすべてのプライベート クラウド企業は、何らかの種類のクラウド バックアップを提供しています。しかし、IBM i 向けの専用のクラウド バックアップ サービスもあります。たとえば、UCG Technologies社のVault400、Carbonite社のBackup for IBM i Series、Data Storage Corp.社のezVaultなどです。また、一部のVTLソリューションは、クラウド ストレージ ソリューションと統合し、ハイブリッドなバックアップ ソリューションを提供しています。迅速なバックアップ/リカバリーのためのオンサイトのハードウェアと、地理的分離(およびオンサイトの災害からの保護)を提供するクラウドベース コピーの組み合わせです。
来年に向けて、あなたの組織で最も重要と考えるIT優先課題を5つ挙げるとしたら何ですか
最近のSyncsort社のレポートによると、高可用性対策・災害対策(バックアップを含む)は、2019年の調査で4番目に重要な優先課題でした。
IBM i クラウド バックアップ オファリングのうち、最も魅力的と言えるのは、IBMからのオファリングだと言ってよいでしょう。2016年10月にサービスが開始されたIBMのCloud Storage Solutions for iでは、IBM i のショップはデータをBRMSからIBM Softlayerデータ センター(後にIBM Cloud Privateに改称)へ直接バックアップできます。この製品は、実際にはRocket Software社によって開発および管理されており、その後、リカバリーのオプションによって機能強化がなされています。クラウド バックアップ市場のシェアのどれくらいがこのIBMソリューションからのものかは定かではありませんが、おそらく、そこそこはあるのではないかと思われます。
World Backup Dayには、「私は重要な書類や大切な思い出を3月31日にバックアップすることを誓います。」と誓いを立てるそうです。『IT Jungle』では、エンタープライズ版の誓いをお勧めします。「私は重要なドキュメントや大切なデータを3月31日にバックアップすることを誓います。」