IBM、PowerVM HypervisorとPowerVC OpenStackをアップデート
IBMがPower Systemsで最近重要視していることはLinuxベースのLとLCラインの機能強化だけのように思えるかもしれません。しかしながら、最近のTechnology Refreshのアップデートをいくつか見る限り、IBM iのショップが頼っているソフトウエア類のアップデートにも熱を入れていることが解ります。これらのアップデートにはハイパーバイザーと管理ツール、同じくIBM iの隣で稼働しているLinuxが含まれています。
IBMはPowerVMハイパーバイザーのアップデートを行っています。
詳細は以下の発表レターをご参照ください。
(http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/2/897/ENUS215-262/index.html&lang=en&request_locale=en#ffextalx-6)
PowerVMハイパーバイザーは、随分前に遡り、OS/400 V2.2.4でリリースされました。今回のアップデートはNovaLinkと呼ばれる新しいタイプの論理区画です。NovaLinkはOpenStackのIBM自身のPowerVCインプリメンテーションを含む種々のOpenStackのクラウド・コントローラーのインプリメンテーションと緊密に連結します。Novaは当初NASAの大型クラウドのためにNASAによって作成され、5年前OpenStackプロジェクトに寄贈されて、OpenStackのコンピュートサービスの中核となるサービスであり、主に仮装インスタンスを起動する役割を担っています。
PowerVMのNovaLinkパーティションはLinuxオペレーティングシステムを稼働させ、AIXベースのVirtual I/O Server(VIOS)のように見えます。VIOSによってIBMはAIXのパーティションを使ってシステムの周辺装置に直接接続させ、VIOSのパーティションを通してOS/400あるいはIBM iをこれらの周辺装置を仮想的にリンクさせています。これによってIBMはディスク、テープ、及び他の周辺装置の全範囲に向けてIBM i用の物理的ドライバーを書く必要が有りません。NovaLinkの論理区画はPowerVCあるいは他のOpenStackのインプリメンテーションをPowerベースのシステムに接続させ、PowerVM上で稼働しているパーティションの制御を可能にします。私の推測で、IBMは説明していませんが、NovaLinkの論理区画はKVMハイパーバイザーとKVMへの命令をPowerVMへの命令に変換できるインストラクションのレイヤーを稼働させていると思われます。NovaLinkが何であれ、その目的はPower8の論理区画のスケールをより良く管理することです。NovaLinkはHardware Management Consoleの制御のもとでシステムのテクノロジー・プレビューに使用できます。しかしながら、IBMはこのプレビューがプロダクション・ユースではないとしています。NovaLinkを使用できるのはPower8マシーンのみであり、またファームウエア840リリースのレベルでなければ使用できません。他方PowerVM V2.2.4はPower7、Power7+及びPower8マシーンで稼働します。
アップデートされたPowerVMハイパーバイザーはSingle Root I/O Virtualization(SR-IOV)プロトコルをサポートする物理ネットワークカードに乗っている仮想ネットワーク・インターフェース・カード(vNIC)を有しており、vNICはその物理カードを多数のストリームに切り分けます。この新vNICドライバーは論理区画への効率的なネットワーク接続を可能にし、また顧客がLive Partition Mobilityを使用するときvNICとそのセッティングが論理区画とともに移動することを可能にします。IBMはこのリリースでLive Partition Mobilityのパフォーマンスを微調整しており、ペアとなっているVIOSパーティションのひとつがシステム上で障害を起こしたときそのままでの移動が可能になりました。
PowerVCにおいてV1.3.0リリースはOpenStackのLibertyアップデートに基づいています。このリリースの大きな機能はDynamic Resource Optimizerと呼ばれるもので、クラスター上でキャパシティー・オンデマンドのコア及びPowerサーバーのクラスター上で稼働する論理区画を使用することができ、システム全体にわたり自動的にワークロードのバランスを取ります。管理者はDynamic Resource Optimizerがこれを行う前に何をするかが分かるので、行っている選択が満たされるまで全自動にする必要がありません。またPowerVC 1.3.0のアップデートはIBMのDS8870ディスクアレーを使用するストレージの制御をサポートし、SANファブリックを同時に最大26ファブリックまでサポートします。
PowerVCは、OpenPowerとLC及びLクラスのPower Systemsマシーン、同じくAIX、IBM iに向けたPowerKVMハイパーバイザー上のLinux仮想マシーン、及びPowerVMハイパーバイザー上のLinux論理区画を管理できます。IBMはPowerVCのインプリメンテーションを以下のレギュラー・スケジュールにしています。
OpenStackの4月にリリースされたKiloは3年間のサポートが得られ、顧客が望めば有償でさらに2年間の延長が可能で、PowerVCの各OpenStackリリースは18ヶ月のサポートが得られます。OpenStackのイノベーションが急速に進むので各リリースの使用可能期間が比較的短期になることを余儀なくされているとIBMは説明しています。