HMC を更新する理由とその方法
COMMON など、多くのユーザー・グループに HMC に関するセッションを行いました。出席率が落ちていたので、COMMON の教育チームは、セッションをもうひと押しすることにしていました。しかし今回は、ぎゅうぎゅう詰めの部屋に入っていくと、人が椅子を持ち込んでいたり、壁ぎわで立ち見していたりしました。「朝の 8 時にどうしてみんなここにいるんだい?」と私は尋ねました。「これから HMC の更新の話をするんでしょう?」という答えが返ってきました。IBM が POWER6 サーバーを発表した時、HMC に新しいコードを要求していたのはおわかりですね。
HMC とは何だろうと思う人もいるでしょう。ですので、振り返っていくつか基本的なことを説明しましょう。HMC とは Hardware Management Console の頭字語で、主に 3 つの任務を負って設計されたクローズ Linux ベース・アプライアンスです。最初の任務は、Pete Massiello が最近話していたように、Power Systems をファームウェア・レベルで管理することです。次の任務は、パーティションの作成および管理など、サーバーの構成を管理することです。3 つ目は、これが最も重宝されている場合が多いのですが、すべてのパーティションのコンソールとして使用することです。Power Systems のコンソールには他のオプションもありますが、HMC コンソールにリモートでアクセスできることで、そのコンソールに第 2 セキュリティー・レイヤーが追加され、コンソールを共有できるようになります。
何年も前に IBM は POWER5 サーバー、それとともに HMC を配信しました。それらを一緒に設置したのですが、すぐに HMC を徹底的に無視しました。POWER5 の頃を振り返ると、HMC を使って行ったことは少なく、管理したシステムはほとんどありませんでした。現在は、HMC はますます知られるようになり、8.8.4 で HMC を仮想マシン (VM) と発表することで初めて、このトレンドが加速します。HMC は Linux をベースにしているため、他の Linux アプライアンス同様に苦しみます。検出されるさまざまな脆弱性を継続的に更新する必要がある、オープン・ソース・コンポーネントを使用しているためです。ブラウザーはほとんどの場合、ほぼ毎日更新され、問題と脆弱性を修正しています。このすべてが、最新の状態に保つ理由に加えられます。もう 1 つどうでしょう。Pete Massiello の最新の記事で、彼は、ファームウェアを最新の状態に保つことについて話し、もし HMC を更新する最も重要な理由が 1 つあるとしたら、それはファームウェアを更新するつもりがあるからだ、と話していました。おしゃべりはこれで終わりにします。
では、どこから始めましょうか。どのソフトウェア・バージョンを実行しているか見てみましょう。お使いの HMC のナビゲーション・ペイン (左側) で、「Updates」をクリックします。下の図のように、現在の HMC コード・レベルが右上に表示されます。バージョン番号、リリース番号、適用されているサービス・パックが表示されています。最後に、「Additional Info」リンクにカーソルを移動すると、適用されている追加修正 (PTF) が表示されます。ここでは 2 つの修正が SP1 に適用されていることがわかります。
どのバージョンを使用すればよいのでしょうか?私はコンサルタントなので、答えはすでにおわかりでしょう。場合によります!細かい部分が多数ありますが、最初で最も重要なものはバージョン番号です。データ・センターにまだ POWER5 サーバーがある場合、バージョン 8 にアップグレードしてはいけません。アップグレードすると、HMC によって POWER5 サーバーが永久に切断されます。これは、「サポートされていない」という状態でもありません。「動作しない」のです。ですので、これはやらないでください。逆に、POWER8 サーバーがある場合、バージョン 8 にアップグレードする必要があります。そうしないと、HMC が接続されません。POWER5 サーバーと POWER8 サーバーの両方、1 台のみの HMC を持って無人地帯で立ち往生していないことを祈ります。
それは、ここで唯一の二者択一です。その後、通常は Power Systems が許す限り、最新の HMC バージョン、7 または 8 を使用したいでしょう。私は「通常は」と言いました。特定のレベルが最新版に対応しているかは、 HMC の年代で決まる場合があるためです。どのようにわかるのでしょうか?続けましょう。 IBM は Fix Central (www.ibm.com/support/fixcentral) から HMC のアップデートまた資料を提供しています。更新している、または更新したいバージョンについては、下に示すようにドロップダウン・メニューから選択します。
ここでは、現在のバージョン 8.8.3.0 (つまりバージョン 8 リリース 8.3.0) を選択しました。そこから、下に示すようにリストを取得します。このリストはややこしいので、ちょっと見てみましょう。リストは最新のサービス・パックから始まっています。ここにサービス・パック 1 があります。その下には必須修正のツイスティーがあります。それを開けると、基本リリースが表示されます。これは、下のアイテム 2 でも表示されています。この「ダブった見え方」を理解することが重要です。リストにあるものすべてを注文している人を見たことがありますが、これは、実際に必要なものの 4 倍もダウンロードをしていることになります。
すでに 8.8.3 を使用しているなら、それを再度ダウンロードする必要はありません。サービス・パック 2 がリリースされたら、サービス・パック 1 をダウンロードする必要はありません。修正は累積されているので、最新版のみインストールする必要があります。IBM i の「CUMes」同様、サービス・パックに適用する修正があり、それは下の「Patched By」セクションに表示されています。ここでは MH01565 が表示されていることがわかります。
修正内容や必要なハードウェアについて何か質問はありますか?各アイテムの下にある「Description」リンクをクリックします。リリース・ノートについては、「HMC Recovery」下のリンクが IBM i の Memo to Users に最も近いです。これは、HMC バージョンをサポートするために追加された機能、実施された変更、必要なハードウェアを明確に説明しています。
にわとりか、卵か?待ってください。何でしょう。どちらを先に更新するでしょう、ファームウェアですか、HMC ですか?IBM はどのファームウェア・バージョンがどの HMC をサポートするか説明している表を提供していますが、ルールはこのように単純です。現在の HMC は旧ファームウェアにアクセスできますが、旧 HMC レベルは新しいファームウェアにはアクセスできません。したがって、まず HMC を更新すればトラブルは避けることができます。
もう 1 つ重要なルールがあります。複数の HMC が同じ Power システムを管理している場合、両方とも同じコード・レベルを保ってください。いったん新しい HMC コード・レベルが接続されると、Flexible Service Processor (FSP) のストレージが更新され、旧 HMC はシステムを管理できなくなります。HMC コード・レベルを同期していればこの問題を回避することができます。
HMC 自体の実際の更新プロセスは難しくありません。IBM i のように、更新前後にバックアップを作成します。バックアップは、「HMC Management」メニューの「Back Up Management Console Data」オプションから指定します。例えばバージョン 8.1 からバージョン 8.3 へアップグレードする場合、「Save Upgrade Data」オプションも指定します。バックアップが完了したら、2 つのうちいずれかの処置を行う必要があります。更新については、上記の「Update HMC」ボタンをクリックします。アップグレードについては、DVD または USB からアップグレード・メディアをブートします。リリースのカバー・レターにあるネットワーク・アップグレード・オプションを利用することもできます。私ならこれを追加しますが、これはお気に入りのアップグレード方法です。この方法で、実際に見たことのない多くの HMC をアップグレードしたことがあります。
もちろん、Power Systems の新しいハードウェアやさまざまな活用およびブラウザーの問題の修正をサポートするより、HMC アップグレードの方がもたらすものは大きいです。新機能は常に登場し、バージョン 8 では、まったく新しいインターフェースが提供されています。
ここでの結論は、HMC を、サーバー・ルームにあるもう 1 つのコンピューターのように扱う必要があるということです。実際、そうだからです。あらゆるコンピューターと同じように、ケアと供給が必要で、更新とバックアップは、その重要な部分です。次号では、HMC のセキュリティーについてお話しします。