メニューボタン
IBMi海外記事2015.12.09

OpenPowerはデータセンターを一口かじることができるか

Timothy Pricket Morgan 著

先般IBMのSystems Groupを管掌するシニア・バイスプレジデント、Tom Rosamiliaがウオール・ストリートでアナリストたちにOpenPowerに関するプレゼンテーションを行いました。内容は公表されませんでしたが、詳細は下記URLでご覧になれます。
http://www.ibm.com/investor/att/pdf/IBM-OpenPOWER-Webcast.pdf(英文)
概要はハイ・パフォーマンス・コンピューティングとそのハイパースケール市場におけるIBMの強い願望です。

プレゼンテーションでアナリストがOpenPowerプラットフォームに関してIBMはどのような種類の市場を獲得しようとしているのかを尋ねたところ、Rosamiliaは注目に値する回答を行っています。彼は、IBMのプランを伝える前向きな発言ではなく、むしろ率直、正直に質問に答え、彼自身の願望を語っています。彼が将来のプランを語れない理由は、IBMがOpenPowerのパートナーたちの活動を管理しているわけではなく、活動の結果を見るだけであり、Powerのアーキテクチャーはデータセンターのコンピューティングで他の働きをしているからです。

ハイパースケール市場については「ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)よりも容易なのはハイパースケールだと思う。理由は我々がほぼセロの位置からスタートしている立場であり、取り上げることの全て、前に進もうとする全てが市場獲得にプラスに働く。そして我々が見ているものは、出現と呼ぶには時期尚早と思うが、Googleと共同で行った仕事によって始まっている真のビジネスチャンスの出現である。我々はRackspace社とも仕事をしており、さらに他の会社とも私がコメントできない市場で仕事をしている。しかしながら、これらの会社の各々が顧客に重要なことをしたいと欲している。またこれらの会社はそれぞれのワークロードの最適化を欲している。彼らは顧客に低価格で提供するために仕事をしているが、明らかに自分たちのコスト低減の推進力になっている」Rosamiliaは述べています。

これがIBMのトップの一人の言葉です。

Rosamiliaは「それゆえ、私はどこに行き着くのか正確に予測しないが、ほぼゼロの場所からスタートしており、明らかに、私にとっての勝利とは10%から20%の範囲内に在る」と述べています。IBMが種々のPowerベースの大量の並行マシーンとSystem xクラスターによって大変高い市場占有率を握っていたHPC分野に関して、RosamiliaはIBMが同じ願望を持っていると述べています。
「再び言いますが、この分野も同じで、10%から20%の市場加入率の範囲に到達するべきであり、これが明らかな我々の目標。したがって、私は我々が到達するべき場所の予測よりもむしろ我々のゴールをお答えしている」とRosamiliaは述べています。

OpenPower コンソーシアムへのこれらの願望については異論を差し挟み難いところです。ただ、率直に言うとGoogleは決して何かを言わないので誰かが言わなければなりません。もし、OpenPowerがただ単にIntel Xeonの価格を下げるためのテコとしてPowerを使おうとしているのであれば、それは持続しません。ハイパースケールとHPCに携わる人々がARMベースのマシーンあるいは次の優れた機種が現れるまで引っ張るトリックに過ぎません。OpenPowerのパートナーたちはゴールを設定してそれを公に述べ、そして実現するべきです。

私は、Rosamiliaが立場を明確にしたことを称賛するものであり、彼が作成した戦略を信頼します。Intelがデータセンターと物流機構を支配している環境下でIBMが為し得るであろう動きです。HPCとハイパースケールのデータセンターから、及びHPCとハイパースケールのワークロードのような複雑なアナリティクスを行っている顧客から、全世界の出荷台数の10パーセントあるいは20パーセントのシェアを獲得することは極めて難題であるとRosamiliaは述べています。比較のためにひとつのデータを挙げると、1999年ドットコム・ブームの真っただ中、世界で使われていたサーバーとRISC/Unixマシーンの量は392万台で出荷台数の18パーセントでした。その16年後である今年の出荷台数は多分1千万台となり、X86以外のマシーン(non-X86)はわずか約10万台と予測されます。これらnon-X86マシーンは売上を20パーセント伸ばす可能性があります。しかしながら出荷台数は全サーバーの出荷台数の1パーセントに過ぎないでしょう。

此処でいつも持ち上がってくる疑問は、IBM iの顧客にとってそれは何なのかということです。IBMはOpenPowerのパートナーと共に、異なるクラスであるLinuxのみのマシーンを作っています。このマシーンはIBM i及びAIXを容易には稼働させることはできません。稼働させるためには両方のオペレーティングシステムをPowerKVMハイパーバイザーに移植しなければなりません。PowerKVMは1990年末にIBMロチェスターがOS/400プラットフォームに向けて作ったPowerVMハイパーバイザーとは大きく異なっています。IBMに知的所有権の収入とシステムの売上収入をもたらすことは何であれ良いことであり、その意味で我々はOpenPowerを好ましく思っています。しかしながら、我々が幾度も指摘してきたとおり、IBM iとAIXのショップはOpenPowerの取組から間接的ではなく直接に利益を得る必要があります。Powerを強化することはIBM iを長く持続させることである一方、その考えはまたIBM iをIBM自身によって強化し、125,000の顧客のワークロードに向けた導入を増やすことになります。
IBMはHPCのショップとハイパースケールで大きなビジネスを勝ち取るためにこのことを犠牲にするべきではありません。IBM の顧客ベースを維持、及び増やすための方法が有り、またそれはOpenPowerのハードウエアでIBM iとAIXに関してオープンであることを意味します。これはIBMの付加価値ですが、現段階でIBMがこれに同意する兆候は見られません。

事実はその逆です。
しかしながら、我々はこれを変えることができます。もしLinuxをPowerKVMに移植することができればIBM iとAIXもできます。それはあなた次第です。狙っていることをあなただけが撃ち当てることができます。狙いましょう。

あわせて読みたい記事

PAGE TOP