メニューボタン
IBMi海外記事2015.02.25

Power8 の廉価なエントリーマシーンExpress Editionと大容量メモリーの発表

Timothy Pricket Morgan 著

昨年11月末、IBMはIBM i関連の数多くの発表を行いました。
重要なのは、Power S814システム、廉価なExpress Editionです。このシステムはIBM iのショップが古いマシーンから新しいマシーンに移行するとき、購入する可能性が最も高いマシーンです。少し前に触れたことがありますが、Power7チップを使っているPower 720マシーンとPower7+チップを使っているPower 720 +マシーンからPower8 チップをベースにしたPower S814あるいはPower S824へのアップグレードパスは有りません。そして、廉価なExpress Editionが無いことが、Power5、Power6+をベースにした古いPower 520クラスのマシーンを使っている顧客をPower8システムに移行させるのを妨げていたと思います。その意味で、Power S814 Express Editionは、520クラスの顧客をPower8システムへ移行させるひとつの誘因になるでしょう。しかしながら、私は例えExpress Editionが無くても、顧客は何かの特典がない限りPower 720あるいはPower 720+に固執するとは思いません。

IBMの発表レター 114-196は、Power S814 IBM i Express Editionの2種類の異なるバージョンを説明しています。IBM i Express Editionの構成のフィーチャー#EU2CはPower S814システムの4コアバリアントになっています。このことは予想されていた発表の数か月前、6月に発表されました(事実、IBMはビジネスパートナーにIBM iのP05ソフトウエア・ティアによる4コアマシーンになるかは未定と伝えていました。しかし、パートナーと顧客が声を大きくして不満を訴えたことは疑う余地なく、結果IBMはこれを確定したのみならず、数か月早く実行しました)。Express Editionのライセンスに関し、顧客はプライマリーのオペレーティングシステムとしてIBM iあるいはVirtual I/O Server指定し、そのマシーンに2台のストレージ機器を装着した少なくとも16 GBベースのメインメモリー構成のマシーンを購入しなければなりません。
それらは2台のディスクドライブ、2台のSSD、2個のFibre Channel アダプター、あるいは2個のFibre Channel over Ethernet (FCoE)アダプターが可能です。(後者は10 Gb/sec Ethernetアダプター上で稼働するFibre Channel プロトコルをサポートします。)顧客が4コアのPower S814マシーンのExpress Editionを注文すれば、IBM i の5ユーザーに無償でライセンスが提供され、またIBM i Access Familyにライセンスが与えられます。またIBMはSOA Construction (5733-SOA)に向けたRational Developer for i及びIBM i 7.Xマシーン上のRational Development Studio for i (5770-WDS) あるいはIBM i 6.Xマシーン用Rational Development Studio (5761-WDS)のライセンスを値下げしてバンドルします。

6コアPower S814のP10ソフトウエア・ティアの中のフィーチャー#EU2Dについて、顧客は4コアPower S814上と同じく値下げされた価格で同じソフトウエアのアドオンが得られます。唯一の違いは、6コアPower S814マシーンはIBM i ユーザーライセンスが無償で30ランセンス含まれていることです。
Power S814 IBM i Express Editionマシーンは昨年11月25日に出荷が開始されています。

IBMはIBM i Express Edition を8コア装備のPower S814に向けては提供していません。このことは以前の生産ラインのPower 720とPower 720+ Express Editions と同じです。私はこのExpress Editionの実売価格を入手して、以前のExpress Edition及び普通の値下げされないマシーンと比較してみるつもりです。

なお、IBMは同時にこの他いくつかの項目を発表しました。第一は、大容量の128 GBメモリーカードです。このカードについてIBMは2ソケットのPower S824上で2014年12月に出荷する計画を2014年初期に明らかにしていました。ただ、この128 GBメモリーカードはPower S824システムにのみ使用できるわけではありません。Power S812、Power S812L、Power S814、Power E870及びPower E880システムでも使用可能です。
この128 GBカードはPower S824システムですでに使用されている既存の16 GB、32 GB及び64 GBカードと同じアーキテクチャーであり、メモリーカード上のバッファチップに装備されているL4キャッシュメモリーを含んでいます。新しいフィーチャー、#EM8Eメモリーカードによって、IBMは2ソケットマシーンに向けて約束していた1ソケットにつき1 TBのメモリーを提供します。これはIBMがハイエンドのPower E870とPower E880マシーンで提供している容量と同じであり、2015年早々の出荷が予想されている4ソケットのPower8システム上でも使用できることは間違いありません。このメモリーカードは1.6 GHzのスピードで稼働し、Power7+システムに使われている1.07 GHzのメモリーよりかなり高速です。

フィーチャー#EM8Eメモリーカードの価格は$10,625で、1 GBにつき$83になります。IBMの32 GBと64 GBカードの価格は1 GBにつき$53であり、それぞれ$1,700と$3,400になります。IBMは16 GBのメモリーカードに$1,250を課しており、これは1 GBにつき$78で、これらの特別メモリーカードに大変高い価格が適用されています。しかしながら、価格相応の価値が有り、Server Landにおける競合Xeon を凌駕する競争力をPower8システムは備えていると私は思います。IBMは16スロットで2 TBのDDR3メモリーを最大16コアの2ソケットマシーンに搭載することができます。最新のIntel Xeon E5-2600 v3サーバーは2ソケットマシーンに最大24メモリースロットまで有することができ、高速のDDR4メモリーを使います。Intelはその2ソケットマシーンに8コアから36コアを置くことができるものの、最大32 GBのメモリースティックによるこれら2ソケットにおいてメインメモリーを最大768 GBまでしかサポートすることができません。ここに違いがあります。Hewlett-Packardの主力製品ProLiant DL380 Gen9システムに目を向けてみると、2.13 GHzで稼働する32 GBのメモリースティックの価格は$750です。IBMは同じ容量のPower8メモリーカードに$950高いコストを設定しており、その理由は主にユニークなインターフェース、Centaurバッファチップとメモリーカードの全てがL4キャッシュメモリーを有しているからです。我々はXeon E5 v3とPower8マシーンのエンジニアリングにどのような違いが有るのかを真剣に知りたく、また価格の違いは重要です。私はワークロードと価格についてのデータをこれから集めます。サーバーのメーカーがTPC-Cオンライン・トランザクション処理のベンチマークを放棄して、他のシステムレベルのテストにゆっくり時間をかけており、この時点ではデータが極めて乏しい状態です。

あわせて読みたい記事

PAGE TOP