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IBMi海外記事2008.05.08

PHPのインストール、構成、セットアップ

アーウィン・アーリー 著

本稿では、i5/OS上でPHPをサポートしているZend製品のインストールについて、特にZend Core、PHPエンジン、Zend Studioといった、PHP用の統合開発環境(IDE: Integrated Development Environment )について説明します。

Zend Coreの概要

Zend Coreはi5/OS上でのPHPをサポートするエンジンです。Zend Coreは、ポータブル・アプリケーション・ソリューション環境(PASE: Portable Application Solutions Environment)で動作します。i5/OS上でのZend Coreのアーキテクチャを図1に示します。この図に示したアーキテクチャについて説明する前に、PHPコンテンツを含んだサンプルのウェブ・ページを紹介しましょう。

図2に示す通り、ウェブ・ブラウザーがウェブ・サーバー(この例の場合、Apacheでパワーアップしたi5/OSのHTTPサーバー)に対してリクエストを発行します。図1では、ポート番号89を指定してi5/OSのHTTPサーバーに対して送られたリクエストが、PASE環境で実行されているApacheウェブ・サーバーに転送されます(ApacheはZend Coreのインストールの際にPASE中にインストールされます)。PASEに入っているApacheのウェブ・サーバーはHTMLの中をPHPタグ(図2の<?php)が見つかるまで走査していきます。この時点で、PHPのコードはPHPエンジン(この例の場合、PASE環境のZend Core)に送られ、PHPエンジンは送られてきたコードをPHPのcloseタグ(?>)が見つかるまで処理します。PHPコードを処理した結果の出力はHTMLアウトプットとしてウェブ・サーバーに送り返され、ウェブ・ブラウザーへのレスポンスとして転送されて表示されます。図2のコード例をPHPエンジンで処理した結果を、図3に示します。

この例の場合、PHPのコードを処理すると、単にウェブ・ブラウザーに表示されるアウトプット行が生成されます。図1に示す通り、PHPはサーバー側で動作するプログラム用の言語です。つまり、サーバー上にあるPHPエンジンがPHPのコードを解釈するのです。また、PHPのコードはサーバー側のリソース(たとえば、データベース・リソース)へアクセスします。i5/OSでは、サーバー側のリソースへのアクセスはZENDサブシステム中にインストールされているI5_COMDジョブが提供します。

Zend Coreのインストールについて説明する前に、インストールされるコンポーネントについてまとめます。

  • Zend Core (PASE環境中にインストールされる)
  • Apache (PASE環境中にインストールされる)
  • I5_COMD (i5/OS中にインストールされる)
  • ZCMENU CLプログラム (ZENDCOREライブラリ中にインストールされる)

i5/OSのHTTPサーバーは、89番のポートに送られてきたリクエストをPASE環境中のApacheウェブ・サーバーに転送するように構成されます。

Zend Coreの入手

Zend Core (Zend Studioも一緒に)入手する最も簡単な方法は、Zend社のウェブ・サイト(zend.com)に登録することです。基本的な連絡先情報を入力すると、i5/OSのチャネルにアクセスできるようになり、そこからZend Core for i5/OSをダウンロードすることができます(バージョン2をダウンロードすることをお勧めします)。ダウンロードしたZIPファイルには複数のファイルが含まれています。保存ファイルをi5/OSにアップロードする必要があります。これには何通りかのやり方がありますが、通常FTPを使ってファイルを直接QGPLにアップロードします。FTPストリームの例を図4に示します。

保存ファイルをi5/OSにアップロードしたら、Restore Licensed Program (RSTLICPGM)コマンドを実行していくつかの質問に答えるだけです。コマンドのフォーマットは次のとおりです。

RSTLICPGM LICPGM(1ZCORE5) DEV(*SAVF) SAVF(QGPL/ZCORE)

このコマンドを実行するといくつかのファイルがIFSに書き出され、インストール作業の最初のプロンプトが表示されます。最初の画面はただの「ようこそ」画面なので、[Enter]キーを押してライセンス同意画面を表示させます。もう一度[Enter]キーを押してライセンス条項に同意すると、ウェブ管理コンソール用のパスワードを入力するプロンプトが表示されます。ここで入力するパスワードはユーザーが定義するパスワードで、Zend Core用のウェブ・ベースの管理ツールへのアクセスを検証する際に使用します(このツールへのアクセス方法については後述します)。

Zend Coreは、Zend Networkからアップデートを入手する機能をサポートしています。Zend Networkにアクセスするには、認証されたユーザーIDとパスワードが必要です(このユーザーIDとパスワードは、Zend製品のユーザー登録をウェブ・サイトで行ったときに定義したものです)。Zend NetworkのユーザーIDとパスワードを入力すると、インストーラーはZend Coreの環境のセットアップを完了します。

Zend Coreが正しくインストールされたかどうかを確認する最も簡単な方法はおそらく、Zend Coreのテスト・ページにアクセスしてみることでしょう。ウェブ・ブラウザーでi5/OSのポート89番を指定します。すると、簡単な「ようこそ」ページが表示されるはずです。Zend Core administrative interfaceというリンクをクリックして、ウェブ・ベースの管理用インタフェースにアクセスしてください。

Zend Core for IBM i5/OSのセットアップ・ツール

Zend Coreには、Zend CoreサーバーおよびApacheサーバーのステータスやI5_COMDジョブを操作するための5250メニューがあります。このI5_COMDジョブはi5/OS中で動作し、サーバー側のリソースに対するPHPからのリクエストに応答します。このツールにアクセスするには5250セッションで次のコマンドを発行します。

GO ZENDCORE/ZCMENU

次のメニューからは、ウェブ・ベースの管理インタフェース(このインタフェースについては後述します)にアクセスするためのパスワードをリセットしたり、Zend Coreのアップデートを入手してインストールしたり、Zend Coreに関する情報を入手してZend社からのサポートを得ることができます。また、サービス管理メニューにアクセスすることができます。このメニューでは、Zend CoreサーバーやApacheサーバーのステータスおよびI5_COMDサービスを操作することができます。

Zend Core管理インタフェース

Zend Core用に提供されているウェブ・ベースの管理インタフェースについて、簡単に説明しましょう。前述した通り、このインタフェースには、Zend Coreのテスト・ページからZend Core administrative interfaceというリンクをクリックすることでアクセスできます。また、ブラウザにhttp://systemi:89/ZendCoreというURLを指定しても、このインタフェースにアクセスすることができます。いずれの場合も、インストール時に定義したパスワードの入力を求められます。そのパスワードを入力してシステム概要ページに移動します(図5)。

概要ページには、ApacheサーバーやZend Coreのバージョン番号、ウェブ・サーバーが実行しているプロセス数やスレッド数のデータなど、さまざまな情報が掲載されています。管理インタフェースの機能で一つ興味深いのは、サーバー上でコードをデバッグすることを許可されたクライアントを構成する機能です。Zend Coreがクライアントからのデバッグを受け入れるように構成するには、Zend Studio Server SettingsのページでConfigurationを選択し、次にZend Studio Serverを選択します(図6)。

Allowed Hostsというエントリを使用して、Zend Coreサーバー上で実行しているPHPコードのリモート・デバッグの実行を許可されたネットワーク・アドレスやネットワーク・アドレスの範囲を定義します。定義が完了したら、Save Settingsを選択します。

Zend Studioのインストール

Zend Studioは、i5/OS用のPHPコードを開発するためにZend社が提供しているIDE(統合開発環境)です。Zend Studioは、Windows x86、Linux x86、Mac OS X Powerの3種類の各クライアント上で利用できます。

インストールの最初の手順は、Zend社のウェブ・サイトのi5/OSチャネルからこの製品をダウンロードすることです。ダウンロードが完了したら、そのファイルをダブルクリックしてインストール・プロセスを開始します。Zend Studioのインストールは他のWindowsアプリケーションと似ています。インストール手順を以下に要約します。

  • ライセンス条項に同意したら、インストール・オプションの選択肢が一覧表示されます。このオプションには、Zend Development Environment、PHPのマニュアル、Zend Internet Explorerツールバーなどがあり、デフォルトではこれら全てがインストールされます。
  • インストール場所のデフォルト位置は、C:\Program Files\Zend\ZendStudio_for_i5OS-5.5.0となります。
  • 新しいプログラム・グループ(デフォルト)などといった製品アイコン用の位置の数を選択できます。
  • Zend Studioに関連付けるファイルの拡張子を選択します。デフォルトは、.php、.php3、.phps、.phtmlです。

インストールは通常1分もかかりません。

Zend Studioの機能の探索

Zend Studioの機能をいくつか見てみましょう。まず、Zend Development Environmentを起動します(図7)。PHPのコードは真中の領域で記述あるいは編集し、デバッグ時のメッセージは右側のペインに出力され、左側のペインはファイル・システムを操作したり、プロジェクトを操作したり、SQLリソースを表示したりするのに使用します。この開発環境の優れた機能の1つが、開発環境からSQLリソースに直接接続して、PHPのコードが対象としているデータベースの構造を表示させることができることです。SQLビュー中で作業するには、左側のビュー表示中でSQLアイコンをまず選択します。ビューが切り替わったら、Add SQLアイコン(プラス記号のついたディスク)をクリックしてAdd SQL Serverというダイアログボックスを表示させて、新しいSQLリソースを定義することができます(図8)。

SQL接続用に必要な情報を入力してフォームを完成させてください(Server Typeドロップダウン・ボックスでは必ずDB2/400を選択してください)。定義が完了したら、OKをクリックしてSQLリソースへの接続を完了します。接続が完了したら、Zend Studioワークスペースの左側にあるSQLビューを使用して、データベース・リソースをさまざまな角度から表示させることができます(図9)。

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