IBM技術ブログ Vol.6 - ACSの基本と進化 -
はじめに
ACS(IBM i Access Client Solutions)を利用して、開発や運用業務を行っている方は多いのではないでしょうか。日々の業務の中で、5250端末を中心に活用されている方も多いと思います。
一方で、「SQLスクリプトはあまり使ったことがない」「実は基本的な機能しか触れていないかもしれない」と感じたことはないでしょうか。
ACSは、単なる接続ツールではなく、開発や運用を支える多機能なツールです。近年も機能拡張が続いており、より便利に、より使いやすく進化しています。
本記事では、ACSの基本機能を簡単に確認しながら、近年の機能拡張や活用のポイントを簡単にご紹介します。日々の業務の中で、少しでも活用の幅を広げるヒントになれば幸いです。
ACSとは
ACS(IBM i Access Client Solutions)は、IBM i Access for Windows の後継となるクライアントツールです。Javaベースで提供されており、Windows / Mac / Linuxいずれの環境でも利用できます。
ACSは、単なる5250エミュレーターではありません。以下のように、多彩な機能を備えた統合クライアントツールです。
- 5250エミュレーター
- SQLやCLの実行
- データ転送
- IFSのファイル操作
- データベース・スキーマのGUI操作
- スプールファイル操作
このように、ACSはオールインワンの管理・開発ツールとして、幅広い業務を支える存在となっています。
ACSについては、e-BELLNETにも多くの関連記事が掲載されています。入手方法から設定方法、小技集まで幅広く紹介されていますので、以下のまとめ記事もぜひご参照ください。
IBM i Access Client Solutions(ACS)の記事まとめ:2017年6月から2023年6月まで
https://www.e-bellnet.com/category/technology/2307/2307-01.html
データ転送、IFSファイル操作、スプール操作などは、すでに日常業務で活用されている方も多いと思います。これらについてはインターネット上にも多くの解説記事があります。そのため本記事では、主に近年拡張された機能の中から、ぜひ活用いただきたい機能に焦点を当ててご紹介します。
ACSの機能拡張
ACSは、ユーザーの要望やセキュリティ要件に応じて、継続的に機能拡張と改善が行われています。特に、セキュリティ関連機能やSQLスクリプト実行機能、データベース関連機能において強化が進められています。2026年2月時点での最新バージョンはACS 1.1.9.11です。
*セキュリティに関する注意事項
ACS1.1.9.8~1.1.9.10には、PDF内に細工されたXFAファイルを介して、XML外部エンティティ(XXE)インジェクションが実行される可能性のある脆弱性が報告されています。これは、Run SQL Scripts機能において、IBM i上のバイナリー列データのコンテンツタイプ判定にApache Tikaを利用していることに起因するものです。
IBMは、以下を強く推奨しています:
- ACS 1.1.9.11 へのアップグレード
- 1.1.9.8~1.1.9.10 の使用停止
参考:IBM i Access - ACS Updates ACS 1.1.9.11
https://www.ibm.com/support/pages/ibm-i-access-acs-updates
IBM i 7.6でのMFA認証(ACS 1.1.9.8)
IBM i 7.6では、MFA(多要素認証)機能が利用可能になりました。これに対応して、ACS 1.1.9.8以降ではログイン画面に変更が加えられています。
ログイン時に、従来のユーザーID・パスワードに加えて、「Additional factor(追加要素)」の入力欄が表示されるようになりました。これにより、ワンタイムパスワードなどの追加認証情報を入力できるようになっています。
SQL スクリプトの実行の改善(ACS 1.1.9.8)
ACS 1.1.9.8では、SQLスクリプト実行機能に、ちょっと便利な改善が追加されました。SQLでテーブルを確認する際、桁数の多い数値を扱うと、「これは何万?何億?」と、読みづらく感じることはありませんか。ACS 1.1.9.8以降では、SQLの実行結果を3桁区切り(カンマ区切り)で表示する設定が追加されています。
設定方法は2通りあります:
方法1:設定メニューから有効化
メニューの[編集]>[設定]>[結果]にある、「Format numeric values based on the conventions of the current locale (ja_JP)」にチェックを入れます。
方法2:結果画面から直接設定
実行結果のテーブル上で右クリックし、「Format Numeric Values」を有効にします。
これらの設定を有効にすると、下図のように数値がカンマ区切りで表示され、可読性が大きく向上します。
SQLスクリプト実行の改善(バイナリ/JSON表示)(ACS 1.1.9.8)
ACS 1.1.9.8では、BLOB、BINARY、VARBINARYといったバイナリ型の列に対して、SELECT文の実行結果からその内容を直接確認できるようになりました。
例えば、画像データをバイナリ形式で保持している場合、結果セットの該当セルを右クリックし、「View Column Data」を選択することで、画像として中身を表示できます。
これまでは、バイナリ列にデータが格納されていても内容を確認することが難しく、「何が入っているのか分からない」という場面もありました。今回の改善により、より直感的にデータ内容を確認できるようになっています。
近年、IBM i でも JSON形式のデータをSQLで扱うケースが増えてきました。従来は、JSON列の値が1行のテキストとして表示されるため、構造が分かりにくいという課題がありました。ACS 1.1.9.8以降では、JSON型の列を右クリックし、「View Column Data」を選択することで、整形されたJSONビューで表示できるようになりました。
下の図のように、キーと値が階層構造に沿って整形表示されるため、長いJSONデータでも構造を把握しやすくなります。
IFSの「お気に入り」(ACS 1.1.9.10)
日々の運用の中で、トラブルシュート時の調査や定期的なアップロード先の確認など、IFS上の特定のディレクトリーを何度も開く場面はないでしょうか。これまでは、よく使うパスをメモしておき、Directory欄に貼り付けて移動する、といった運用をされていた方も多いかもしれません。今回のバージョンでは、IFSにFavorites(お気に入り)メニューが追加されました。
ディレクトリー欄の横にある星型アイコンをクリックすることで、現在表示しているディレクトリーを「Favorites」に登録できます。
登録後は、メニューの 「Favorites」からワンクリックで該当ディレクトリーへ移動可能です。これにより、毎回パスを入力する手間がなくなり、作業効率が大きく向上します。
IFSでの「Move(移動)」アクション追加(ACS 1.1.9.10)
ACSのIFS機能において、同一システム内でファイルやディレクトリーを直接移動できる「Move」アクションが追加されました。
今回の改善により、IFS画面上でファイルやディレクトリーを選択し、右クリックまたはメニューから「Move」を選ぶことで、同一システム内の別ディレクトリーへ直接移動できるようになりました。
おわりに
本記事では、ACSの基本機能の中、近年追加・強化された機能についてご紹介しました。たくさんはみなさんからIBM ideaにあげている要望でした。
今後も機能拡張や改善が継続されることが期待されます。ぜひ最新バージョンを活用しながら、日々の業務の中で新しい機能を取り入れてみてください。拡張してほしいアイディアがあったら、ぜひIBM Idea(https://ideas.ibm.com/)にあげてださい。
執筆者紹介
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李 馥岑(り ふしん) 日本アイ・ビー・エム株式会社 2023年:IBMにPower Technical Salesとして入社 2024 ~ 2025年:中四国・九州・沖縄のお客様・BP様を担当 |

