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IBMi海外記事2025.03.26

IBM i での1番の懸念事項はサイバーセキュリティが譲らず、AIなども上昇中

Fortra社は先週、毎年恒例のIBM i 市場調査レポート、「 2025 IBM i Marketplace Survey Results 」を正式にリリースしました。これにより、IBM i コミュニティの分析の新たな10年の幕開けとなりました。「Top Concerns(最大の懸念事項)」についての調査分野をじっくり見てみると、上位4項目に、少し変動があったことが分かります(トップ項目が9年連続でサイバーセキュリティであることには変わりありませんが)。しかし、2025年で注目すべきは、リストの下位の部分での動きであり、「AI(人工知能)およびML(機械学習)」などの項目に対する関心の高まりが見て取れます。

2024年末に実施された Fortra社の毎年恒例のIBM i 市場調査には、世界各地から、総勢250名のIBM i ユーザーが参加しました。調査参加者は、保有するIBM i サーバーの台数や種類、使用するプログラミング言語、そして様々な領域にわたる、IBM i 環境に関する何十もの質問に回答しています。

「Top Concerns(最大の懸念事項)」の調査分野では、調査回答者は、最も優先的に取り組むべき懸念事項として、14項目(「その他」を含めれば15項目)から成るリストから、5つの項目を選ぶよう求められます。「サイバーセキュリティ」(旧Help/Systems社時代の用語では単に「セキュリティ」でした)は、2017年以降変わらず、1番の懸念事項であり続けています。昨年、「サイバーセキュリティ」は、調査回答者の79%が最大の懸念事項に選び、これは過去最高値でした(対前年比で11パーセント ポイント増)。

セキュリティに関する懸念は、今年はわずかに減少し、77%となっています。それでも、「IBM i スキル」に対して余裕のリードを保っています。「IBM i スキル」は、2024年と比べて5パーセント ポイント減少したものの、60%で第2位に入りました。第3位は57%の「アプリケーションのモダナイゼーション」で、これは昨年から大きく15パーセント ポイントも減少しています。トップ4の最後を締め括ったのは、49%の「ハイ アベイラビリティ(HA)/ディザスター リカバリー(DR)」でした(14パーセント ポイント減)。

IT環境を計画する上での懸念事項はどのようなことですか。5つ選んでください。
Fortra社 「2025 IBM i Marketplace Survey Results」

実のところ、上位4つの懸念事項それぞれのポイント数は、いずれも昨年に比べて今年は減少しています。2024年版レポートでは、上位4つの懸念事項はいずれも前年と比べて増加しており、2023年版でも、上位4項目のうち3項目は対前年比で増加していました。

上位4項目での大幅な減少は、他の10項目のうちのいくつかの項目での増加と符合することが調査結果から見て取れます。特に4つの項目が、実に大幅な伸びを示しています。

具体的に言えば、「人工知能および機械学習(AI/ML)」は、2023年の10%および2024年の18%から、今年は30%へと飛躍的に伸びています。「コンプライアンスおよび規制」も、2023年の20%および2024年の29%から、今年は38%へと大幅増です。また、「アナリティクス / ビジネス インテリジェンス(BI)」も、この2年間、着実な伸びを示し、2023年の22%から、今年は31%へと増加しています。突如として現れたように思われる「キャパシティー プランニング」は、過去2年間は10%で横ばいでしたが、今年は24%へと増加しています。

リストの下位項目のうち、2025年版レポートでIBM i のショップの関心がいくぶん低下したと思われるものは、「クラウドへのアプリケーションの移行」(2024年の23%に対して2025年は17%)、「データの増加」(28%に対して20%)、「ITおよびビジネス オートメーション」(44%に対して31%)、「リモートの人員のサポート」(19%に対して11%)、および「ドキュメント管理」(13%に対して10%)でした。「IT支出の削減」は32%で、昨年の33%からわずかな減少です。

IBM i CTO(最高技術責任者)のSteve Will氏は、「2025 IBM i Marketplace Survey」の調査結果をテーマに討論を行う Fortra社のウェビナー の中で、最大の懸念事項のリストにおける変化、具体的には、「Top Concerns(最大の懸念事項)」リストの毎年変わらない上位4項目と、それら以外の項目とに分岐していることについてコメントしています。

「トップ4は、依然としてトップ4でした」と、IBM i チーフ アーキテクトとIBM DE(ディスティングイッシュド エンジニア)の肩書きも併せ持つ、Will氏は述べています。「懸念事項は5つ選択することになっているかと思います。5つ目の項目には、何を選んでいるのでしょうか。ようやく、「AI(人工知能)」が30%まで伸びてきました。つまり、これまで選ばれていなかった「AI(人工知能)」を、30%が選ぶようになっているということです。」

IBM i における最大の懸念事項の推移(2020年~2025年)
データ出典:Fortra社のIBM i 市場調査レポート

セキュリティ脅威については常に耳にしているため、警戒体制は緩まないとWill氏は述べています。そのため、このレポートではセキュリティが常に1番の懸念事項となる可能性があるとWill氏は述べます。

「セキュリティは、おそらくトップであり続けることになりそうです。なぜなら、今日現在としては適切なソリューションを備えた気になっていたとしても、明日は何が起こるか分からない、日に日に危険性は高まっていると常々言い聞かされているからです」と彼は述べています。「しかし、そうしたIBM i スキルや、AIの重要性が高まっていることは、注意を払うべきトレンドであると思います。」

同じく「 IBM i Marketplace 」ウェビナーでパネリストを務めた、小誌『IT Jungle 』編集長のTimothy Prickett Morgan(以下、「TPM」)は、心配だと口で言っていることと、実際に資金を投じていることとの間にはズレがあることを指摘しようとしています。

「魔法のスプレッドシートがあったら、それを使って、予算の割り振られ方と抱いている懸念がどう対応しているのか、見比べてみたいものです」とTPMは述べています。「どのようなことが心配なのか、どのようなことに対して支出しているのか、私たちには分かりません。心配だと口で言っていることに対して、本当に資金を投じているのか、私には分かりません。」

セキュリティについて心配することに時間を費やし過ぎていて、実際にその対策を行うのには十分な時間を費やしていないような気がするとTPMは述べています。しかし、AIに関して言えば、IBM i のショップは、すぐに手の届くビジネス チャンスを見出せるかもしれません。ただし、そのチャンスを掴み取るために、それなりの資金を投入すればですが。

画像をクリックすると、Fortra社 「2025 IBM i Marketplace Survey Results」レポートのダウンロード ページに移動できます。

「AIには、いくぶん多めに資金を投じていると思います。ビジネス チャンスと考えるからです」とTPMは述べています。「昨年は18%で、一昨年は10%くらいだったでしょうか。来年か再来年には、トップ5に入って来ると思われ、30%台後半から40%台前半にまでは伸びるでしょう。さらに、AIの利用を支援するツールがIBMから提供されることから、ゆくゆくはトップ3に入ると思います。そうすれば、実際に何かを行い始めることができます。そして、それは単なる関心事ではなく、実際に行っていることにもなります。」

IBMがIBM i プラットフォーム向けの生成AIテクノロジーに投資しているのは言うまでもありません。IBM i 開発チームは、現在、RPG Code Assistに取り組んでいます。これは、顧客から提供してもらった大量のRPGコードでトレーニングされたIBM Granite基盤モデルを使用する、VS Codeプラグインとして利用可能なコーディング コパイロットです。RPG Code Assistは、提供開始となったら(Will氏は先日、おそらく 今年後半になりそうだと述べていました)、コード説明、コード生成、およびテスト ケース生成に活用されることになるでしょう。

IBM i のショップにとっては、「アナリティクス / ビジネス インテリジェンス(BI)」も大きな関心事となっています。これは、2023年10月に、IBMと TIBCO 社が突然Db2 Web QueryについてのOEM関係(当初の提携相手はInformation Builders社)を終了したことで、何百ものIBM i のショップが 見捨てられた状況となった ことと関連があるかもしれません。

「コンプライアンスおよび規制」に関する懸念について言えば、その増加を促しているかもしれない環境の変化がいくつかあるようです。DORA(Digital Operational Resilience Act)やAI規制法(AI Act)などによって、EU(欧州連合)は、この領域での強力な推進役となっています。米国では、先週、ドナルド・トランプ大統領が、2023年10月にジョー・バイデン前大統領によって制定された新たなAI規制を撤回しています。

「キャパシティー プランニング」は、突如として14パーセント ポイントもの伸びを示しました。これは、目下進行中のクラウドへの移行の動きに伴い、IBM iプロフェッショナルがCPWの計画を適切に行うように促されているということなのかもしれません。あるいは、2025年には姿を現そうとしているPower11チップを見据えてのことかもしれません。しかし、2021年のPower10の発表時には、目に見えるデータの急上昇はなかったため、今回の急上昇に対しては、さらなる説明が求められます。

「 2025 IBM i Marketplace Survey Results 」レポートのダウンロード、およびFortra社のウェビナーの動画の視聴は、 こちらのリンクから行えます。

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