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IBMi海外記事2025.03.12

RPGコーディング アシスタント、ベータ版は25年第2四半期の見込み

Alex Woodie 著

IBMは、AIベースのRPG Code Assistの開発の取り組みを強化しており、第1四半期末までにテスト用にワーキング プロトタイプを用意する予定だと、IBM i CTO(最高技術責任者)のSteve Will氏は先月のウェビナーで述べています。目標としては、第2四半期中にベータ版を用意し、できれば今年後半にはGA(一般利用可能)としたいと彼は付け加えます。

OpenAI社のGPTやGoogle社のGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)が世界を席巻し、企業は競争力を得るために、あるいは単に競合他社に後れまいと、この生まれたばかりの技術に何百億ドルも投資しています。主に自然言語を用いてやり取りが行われるどのような仕事にも、LLMの進歩によって影響が及ぶ可能性があります。つまり、ソフトウェア エンジニアがコーディング コパイロットを使用して生産性を高める一方で、カスタマー サービス担当者は、高機能のチャット ボットによって置き換えられる(あるいはスキルが増強される)可能性があるということです。ジャーナリズムの仕事でさえ、一部はロボットのライターに置き換えられつつあります。

RPG Code Assistは、生成AI(GenAI)ツールの中でも人気のコーディング コパイロットというカテゴリーに分類されます。2021年10月に公開したGitHub Copilotにより、Microsoft社には、このカテゴリーでの先発者優位性があるようです。これは、OpenAI社が2022年11月末にChatGPTを世界に投じた1年以上前のことです。

昨年5月にテキサス州フォートワースで開催された、 COMMON POWERUpカンファレンスで Will氏が明らかにした Code Assist for RPGが大まかにベースにしたのは、IBMが2023年10月に発表したCode Assistant for Zでした。このオファリングは、IBM社内開発のGranite AIモデルを使用して、主要機能(COBOLコードのJavaへの変換)を実現しています。

ロチェスターのコパイロットは、いくつかの点で似ていますが、異なる点もあります。こちらもIBMのGranite基盤AIモデルを使用する(他にも使用の可能性あり)一方で、Will氏は、RPGからJavaへの変換機能はないこと、そしてきちんとした非AIのコード コンバーターがすでにあることを明確にしています。

IBMは、Code Assist for RPG製品の開発では紆余曲折を経ています(画像提供:IBM)。

代わりに、Code Assist for RPGでは、コード説明、コード生成、およびテスト ケース生成(すべてRPG向け)という、3つの主要目標があります。「私たちが作成したいのは、プログラマーが既存のRPGで作業するのを支援するツールです」と、コーディング アシスタントをテーマとする 12月のIBM i Guided Tour でWill氏は述べています。

Code Assist for RPGチームにとっての最優先事項は、RPG説明機能を開発することです(Will氏はたびたびこの機能を「Explain」と呼んでいます)。チームは現在、この新ツールのアルファ版リリース(現時点では4月1日以前の予定)での、その機能の提供に注力しています。他の2つの機能(コード生成およびテスト ケース生成)については、進行状況次第で、IBMが7月1日以前にリリースしたいとしているベータ版に組み込まれるかもしれませんし、組み込まれないかもしれません(あるいは、Will氏が2025年後半と述べている最終製品のGAになるかもしれません)。

「2025年後半頃にはExplainを製品に組み込める自信はかなりあります」とWill氏は述べています。「私たちはそうなることを目指しています。」

新ツールに関しては、確定している点もいくつかあります。まず、このツールは、VS Code(IBM i プログラマーの間で大人気のWebベースのIDE)向けのプラグインとして提供されることになります。IBMは、コーディング アシスタントのEclipseバージョンを提供するかもしれません。そうなれば、Rational Developer for i(RDi)ユーザーは恩恵を受けられることになりますが、最初の段階ではなさそうです。

「まず何かを優先して開発しなければなりません」とWill氏は述べています。「VS Codeは、作業を軽快に行えるだけでなく、IBM内外のオープンソースのAI業界でひときわ多くの支持を集めているため、RDiのサポートは、今後行う必要はあるものの、優先順位としては他のものと同様と見なさなければならないでしょう。」

また、Will氏は、コーディング アシスタントが最初はIBM Cloudでの稼働だということも明らかにしています。IBM i 顧客は、オンプレミスで稼働する生成AI製品バージョンを求めていますが、それは現時点で優先事項ではないとWill氏は述べています。「それが必要なものであることは承知しています」と彼は述べます。「しかし、最初の段階で、オンプレミス バージョンを提供できるかは確信が持てません。」

Code Assist for RPGは、最初から英語をサポートしますが、問題は、他の言語のサポートがどうなるかです。当初の段階では、最初は英語のみとするしかなかったとWill氏は述べています。しかし、IBMは、実際には彼が当初考えていたよりも早く、他の言語のサポートを追加できるかもしれないことが最近になって分かってきたと彼は述べます。これは、日本語を使うロチェスターのクライアントにとっては朗報かもしれません。

ロチェスターは、IBM GraniteモデルをベースにしてCode Assist for RPGを構築しています(画像提供:IBM)。

LLMをベースにして生成AIツールを開発することは、Will氏が率いるロチェスターのチームや他のIBMラボのエンジニアのチームにとってまったく新しい職務であり、慣れるまでには多少時間が掛かりました。

「ひとつ、言わせていただきたいのは、大規模言語モデルを作成してトレーニングし、それをベースにコード アシスタントを開発することは、オペレーティング システムの開発とはまったく別物なのです」と、IBM i チーフ アーキテクトとDE(ディスティングイッシュド エンジニア)の肩書きも併せ持つWill氏は述べています。「したがって、この職務を遂行できるようになるためには、多くのことを学ばなければなりませんでした。非常に刺激的でした。この9か月間では、過去数年間で学んできたよりも多くのことを学んだ気がします。学ばなければならないことが非常に多く、ワクワクする9か月間でした。」

Will氏および彼のエンジニア チームは、Code Assistant for Zを開発したIBM Zチームを大いに頼りにしました。また、彼は、LLMやAIにより精通しているIBM外部のAI専門家からもアドバイスを求めました。それは、ロチェスター チームが、AI開発にまつわる浮き沈みを乗り越える助けになりました。

「大規模言語モデルのトレーニングの経験がある多くの方々から話を伺いました。印象的だったのは、より多くのコードでモデルをトレーニングし始めた後で気付くのは、思ったほど終わりに近付いていないことだ、という話です」とWill氏は述べています。「モデルを評価して、こう言うことになるでしょう。「もっと多くのコードでトレーニングしたところで、どれくらい終わりに近付いたか、出力の品質がどの程度かを評価してみるとわかります」と。そして、実際、思ったほど近付いていないのです。」

しかし、コパイロットの将来性は極めて高いため、IBMもチャンスを見逃すわけには行きません。たとえば、Amazon社CEOのAndy Jassy氏は8月に、Amazon Qを使用して、機械的なJavaコーディングおよびメンテナンス タスクの多くを自動化することによって、4,500人時を節減できたと述べています。「私たちの開発者は、自動生成されたコード レビューの79%をまったく追加の変更なしで提供しました」とJassy氏は述べます。「これは、Amazon Qを利用することによって、大企業がどのようにして基礎的なソフトウェア保全作業の効率性を大幅に向上できるかを示す良い例です。」

しかし、Code Assist for RPGについては、行うべき作業はかなりたくさんあり、Will氏はいくつかの面で支援を求めています。まず、彼は、エンジニア チームを拡充して、AIモデルのトレーニングを増強しようとしています。「そうすれば、ご提供いただいている、こうしたコードをすべて、モデルをトレーニングする素材にすることができます。」

IBMは、まだこれから、ユーザー インターフェースを設計し、IDEに接続し、ホスティングの方法や提供方法を検討する必要があります。「やるべきことがまだまだたくさんあります。そのため、話題に上る日付については、どれも確約することはできないのです。まずはチームを増強しなければならないからです」とWill氏は述べています。「トレーニングをもっと行う必要がありますし、評価をもっと行う必要があるのです。」

そうは言っても、Will氏は、Code Assist for RPGについてIBM i コミュニティのメンバーから積極的に話を聞こうとしています。IBMは、スポンサーであれ、アドバイザーであれ、コード提供者であれ、IBM i コミュニティのメンバーが参画してくれることを大歓迎しています。また、IBMは、RPGコードの提供も引き続き受け付けています。Will氏によれば、RPGコパイロットの次のアップデートは2月の予定ということです。

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