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IBMi海外記事2022.03.09

IBMとSamsung、チップのトランジスタ集積度向上を目指して垂直方向へ向かう

Alex Woodie 著

IBMは、何年も前にIBM Microelectronicsチップ製造事業をGlobalFoundries社に売却したかもしれませんが、そのことは、IBMがチップ製造技術に関する膨大な量の基礎研究を続けていないということを意味するわけではありません。トランジスタ、チップ、およびパッケージングの研究開発は、IBMの特許ポートフォリオの大きな部分を占めており、今後もそうであり続けます。これは、IBMには研究開発に取り組んでいる地球上で最も賢いコンピューター マニアが何人もいるからであり、IBMは、将来のPowerおよびSystem zプロセッサーのロードマップの存在を、今のうちから確実なものにしておきたいからでもあり、また、同社が作り出す技術を世界中のファブにライセンス供与することで収益を上げられるからでもあります。

12月中旬、『IT Jungle』が年末年始の休暇に入った直後に、IBMとSamsungは、VTFET(Vertical Transport Field Effect Transistor)と呼ばれる新たなチップ製造技術の開発に協働して取り組んできたことを発表しました。これは、 IBMが昨年5月にその開発について誇らしげに発表した、2ナノメートルのナノシート トランジスタ技術 とは別個の技術です。

5月発表のナノシート積層トランジスタ技術と、12月発表のVTFET技術は、どちらも、過去数世代のプロセッサーおよびネットワーキング チップ(概して言えば、16ナノメートルおよび14ナノメートル ノードに始まる)で使用されてきた、FinFET 3Dトランジスタ技術の後続技術です。FinFET 3Dトランジスタ技術は、従来の2Dプレーナ トランジスタ製造技術と比較して、より効率的なトランジスタを可能にし、それ故に、それらのジオメトリーと、結果的にそれらのコストを縮小させ続けることを可能にしてきました。

5月発表のナノシート積層トランジスタ技術と、12月発表のVTFET技術は、どちらも、過去数世代のプロセッサーおよびネットワーキング チップ(概して言えば、16ナノメートルおよび14ナノメートル ノードに始まる)で使用されてきた、FinFET 3Dトランジスタ技術の後続技術です。FinFET 3Dトランジスタ技術は、従来の2Dプレーナ トランジスタ製造技術と比較して、より効率的なトランジスタを可能にし、それ故に、それらのジオメトリーと、結果的にそれらのコストを縮小させ続けることを可能にしてきました。

ニューヨーク州北部のAlbany Nanotech Complexでの共同開発を通じてIBMとSamsung社が成し遂げた技術的な進歩の内容はまったく恐るべきものですが、先月のIEDM 2021カンファレンスで示されたカンファレンス ペーパーの謝辞によれば、実際には、2018年より前にGlobalFoundries社との協力を通じて実現されたということです。そのカンファレンス ペーパーは こちらで参照できます が、 こちらのブログ記事 には、より詳しい説明が記されています。

しかし、考え方としてはこのような感じです。シリコン ウエハー上に積層されたマテリアルの層からトランジスタを形成するのではなく、トランジスタ設計を90度回転させて、ウエハーから立ち上げ、コンポーネントは垂直方向に形成します(レイヤー ケーキを、側面が底になるように横に倒して、ケーキとアイシングの縞模様が横縞ではなく、縦縞になったところを思い浮かべてみてください)。以下に、実際にどのように見えるかを表した模式図を示します。左側がVTFETで、右側がFinFETです。

このような単純な変更を行うことによって、トランジスタのゲート長、スペーサーの厚さ、およびトランジスタ素子間の接点サイズの物理的制約を緩和することができるため、高パフォーマンス(より厚く、電力消費が多い)、または低消費電力(より薄いが、リーク電流が多い)に合わせて最適化することも可能です。

IBMおよびSamsung社の最初のテスト チップは、FinFETプロセスを使用して作成されたトランジスタの2倍のパフォーマンス、または、それらのトランジスタで使用される電力の85%削減を可能にします(これらの比較がどのようなノード レベルで行われたかは不明です)。昨年5月にIBMが2ナノメートル チップ製造の研究開発を発表していた時点では、IBMが検討していたナノシート積層トランジスタ技術は、7ナノメートルFinFETデバイスと比較して、45%のパフォーマンス向上または75%の電力消費削減を実現したということです。ナノシート積層トランジスタ技術とVTFET技術が、たがいに組み合わせることが可能かどうかは不明ですが、もしそうでないなら、もう少しトランジスタ集積度を向上させ、結果的にもう少しムーアの法則を延命させるための2つの方法があるということになります。

もちろん、これは、将来のPower11、Power12、およびPower13プロセッサーにとって素晴らしいことです。

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