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IBMi海外記事2021.11.10

ACSのアップデートと「SQLスクリプトの実行」の機能強化

Alex Woodie 著

ここ何年かの間に、Access Client Solutions(ACS)は、IBM i に関する広範囲のタスクに欠くことのできないユーティリティとなっています。そのように広く使用されるようになった理由の1つは、「SQLスクリプトの実行」が導入されたことだと言えます。最新のIBM i 7.3および7.4向けのテクノロジー リフレッシュにおいても、このコンポーネントに対して、さらに機能強化が図られているようです。

ACSは、 IBM が2012年に初めて発表し、専用Windowsユーティリティを含め、他のClient Accessバージョンを置き換えたJavaベース製品です。Windowsであれ、Linuxであれ、Macであれ、どのようなタイプのコンピューターまたはデバイスを使用してIBM i サーバーとともに作業している場合でも、ACSを使用してIBM i サーバーにアクセスすることができます。

このユーティリティには、5250エミュレーター、5250プリンター エミュレーション、データ転送機能、IFSファイル表示機能、スプール ファイル管理、LANおよびHMC管理のための仮想コンソールなど、IBM i 環境での作業に必須の数々のツールが組み込まれています。「SQLスクリプトの実行」も幅広く使用されているユーティリティですが、ACSは、IBM i でYUMを経由してオープンソース ソフトウェアを更新するのにも使用されます。

IBMは、9月8日に、IBM i 7.3 TR11およびIBM i 7.4 TR5の発表とともに、ACSバージョン1.1.8.8を発表しました。このリリースによって、ACSにいくつかの機能強化がもたらされましたが、その多くは「SQLスクリプトの実行」を対象としたものでした。「SQLスクリプトの実行」は、ユーザーが、作成済みのSQLコード スニペット(すなわち、SQLスクリプト)を実行することを可能にするユーティリティです。

ACS 1.1.8.8での「SQLスクリプトの実行」の最大の機能強化の1つは、ツールバーに「コミット」および「ロールバック」ボタンが導入されたことです。これについては、すでに 9月13日の記事で触れたところです。IBM i チーフ アーキテクトのSteve Will氏によれば、新たな「コミット」および「ロールバック」ボタンは、ユーザーが、変更を行う前に誤ってACSセッションを終了してしまうのを防いでくれるということです。

「現在ACSで行っている作業と関連がある、コミットされていない変更がある場合、ACSフレームワークのコンポーネントである「SQLスクリプトの実行」画面の右下に警告が表示されるようになりました」と、新リリースを発表する COMMON のウェビナーでWill氏は述べています。「それまでに行った処理をロールバックするか、またはコミットすることができます。いずれかを行うと、再びACSから、いずれかが行われたことの通知がなされます。」

開発者が、システムとの対話処理を「SQLスクリプトの実行」や、IBM i サーバーで作業を行う際に使用が推奨されるようになっている数々のSQLサービスを通じて行う状況において、ACSが担う役割が広がっていることを踏まえると、この機能は特に有用となって行くでしょう。Will氏によれば、コミットおよびロールバック機能によって、変更のコミットを忘れてはならないという心理的な負担が軽減されるということです。

「この種の作業を行っているほとんどの人は、まだ途中にしていたことがあったのではと、頭の中で常に把握しておく必要に迫られています」と彼は述べます。「行おうとしていたコミット/ロールバックを視覚的に確認してから完了できるようにする手助けとなるわけです。」

ユーザーがタイプミスをして、変更をコミットしないうちに、うっかりセッションを終了しようとしている場合にも、「SQLスクリプトの実行」コンポーネントは、転ばぬ先の杖となります。「「このセッションには、コミットされていない変更があります。それらをコミットしますか」と注意を促すからです」とWill氏は述べます。「もちろん、コミットするかどうかの判断はユーザーにお任せします。コミットすることを促しているのではありません。ただ、何か途中にしていることがあることに気付く機会を提供するだけです。」

このような「SQLスクリプトの実行」の機能は、ユーザーからの要望を受ける形で追加されたものであり、ユーザーからは数多くのRFE(機能拡張の要望)が提出されています(IBMがユーザーの声に耳を傾けているのかどうか疑念を抱いているとしたら、それが答えです。IBMは耳を傾けているのです)。

ACS 1.1.8.8では、他にも数多くの機能強化がもたらされています。たとえば、メモリー管理の改善です。これは、複数の「SQLスクリプトの実行」ウィンドウを開いているユーザーにとってメリットとなります。また、ジョブ ログの検索や、複数のRSSウィンドウがあるときに最近使用したファイルを同期する機能もサポートされるようになりました。IBMによれば、「SQLスクリプトの実行」のアップロード結果パネルには、スキーマおよび表それぞれにフィールドが設けられ、表置換オプションも追加されたとのことです。

「SQLスクリプトの実行」以外のACSのコンポーネントに対しても、いくつか修正が加えられています。やはり、これらの多くも、RFEを受けてのものです。たとえば、 2017年のアップデートで追加された、ACSのスキーマ コンポーネントのジャーナル ビューアーに、「Previous」および「Next」ボタンが追加されました。また、スキーマの関数リストに「Deterministic」および「Inline」列が追加されたとIBMは述べています。

ACSのSQL Performance Centerコンポーネントでは、IBMは、メイン ウィンドウおよび「Analyze reports」機能に検索機能を追加しています。また、メイン ウィンドウには、ユーザーにより多くの表示オプションを提供する新たなボタンが追加されています。

また、ACSの「データ転送」コンポーネントも強化されています。今回のリリースでは、アクティブなExcelスプレッドシートへの接続時に、出力装置または入力装置のいずれかとして特定のExcelスプレッドシートを選択する機能のサポートが追加されました。

ACSについてのIBM Wikiによれば、様々な修正も、今回のリリースに組み込まれているということです。また、ACSについてのIBM Wikiには、2つの注記(Special note)が記載されています。1つは、新たなIBM Navigator for IBM i をACSから起動するユーザーに向けてのものです(2件のPTFが必要)。もうひとつは、バージョン1.1.8.4以前のACS上で、このアップデートを適用するMacユーザーに向けてのものです。

ACS 1.1.8.8リリースでは、Java 11以上が必要です。ACS 1.1.8.8は、 こちらからダウンロードすることができます。または、最新のHTTP PTF Groupをインストールすることによって入手することができます。詳細については、 www.ibm.com/support/pages/ibm-i-access-acs-updatesを参照してください。

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