IBM、ACSのデータベースおよび管理機能を強化
IBMがIBM i 7.4およびIBM i 7.3 TR6で提供した数多くの機能強化の1つに、Access Client Solutions(ACS)の新リリースがあります。ACSは、多くのIBM i プロフェッショナルが様々なタスクのためにこのシステムにアクセスするのに使用する定番のクライアント インターフェースとなっています。今回のリリースで得るところが多いのは、データベース エンジニアとシステム管理者のようです。
IBMが、IBM i 7.4およびその仲間のIBM i 7.3 TR6で提供したリリースが、超大型リリースであったことは否定のしようがなさそうです。Db2 Mirrorおよび権限収集の機能強化での可用性およびセキュリティの向上を始めとして、『IT Jungle』のニュース担当チームは、非常に多くのニュースで大わらわでした。なかなかACSバージョン1.1.8.2まで手が回らず、ようやく本記事にて、新バージョンの紹介を行える運びとなった次第です。
念のために説明すると、ACSというのは、IBM i にアクセスするためのIBMの戦略的なデスクトップ クライアントです。IBMが2012年8月に発表したこのJavaベースの製品には、5250エミュレーター、5250プリンター エミュレーション、データ転送機能、IFSファイル表示機能、スプール ファイル管理、およびLANおよびHMC管理のための仮想コンソールなど、数々の便利なコンポーネントが組み込まれています。
4月30日にIBM i Access for Windowsの販売が終了したため、ACSに関する情報を把握することは、さらにいっそう重要になっています。それでは、ACSバージョン1.1.8.2での機能強化について、機能分野ごとに見て行きましょう。まずは、ユーザーがDb2 for iに対してSQL照会を実行できるようにする、ACSの最もポピュラーな機能のうちの1つ、SQLスクリプトの実行(Run SQL Scripts)からです。
まず、ユーザーは、IFSおよびストリーム ファイルでSQLスクリプトを開き、保存できるようになりました。IBMでは、「スクリプトを管理および使用する方法の選択肢が広がります」と述べています。また、このソフトウェアは、どのデータベースでの作業が多いか記憶し、iASP接続を保持するようになりました。そのどちらも、作業時間の短縮につながります。
IBMでは、このソフトウェアでユーザーが使用できるSQLスクリプトの例を数多く提供しています。今後、「例から挿入」機能に新たなSQLの例がいくつか追加されます。また、IBMによれば「SQL構文を理解できるようにする」という、新たに設計し直されたSQLフォーマッターにより、より簡単にSQL構文を最適化できるようになります。SQL構文に関して問題がある場合、新たなフォーマッターはエラーをハイライトし、行番号と問題点を報告します。
また、権限のあるユーザーが、「SQLスクリプトの実行」インターフェース内から直接、Db2 for iのフィールドのデータ値のアクセスおよび更新を行えるようになりました。これは、時間の短縮に役立ち、セキュリティが適切に設定されていない場合にセキュリティを確保できる強力な機能です。最後に、「JDBC Connection」ダイアログに、代替サーバー名およびその他の属性を割り当てる機能が追加されます。
ACSには、ユーザーがACSから直接印刷できるようにする、プリンター エミュレーション機能があります。通常、プリンター出力にはシステム名が含まれますが、バージョン1.1.8.2では、管理者はプリンター出力ダウンロード パスからシステム名を削除するオプションを選択できるようになり、すっきりした見た目にすることができます。
上述の「SQLスクリプトの実行」のIFSに関連する新機能の他に、今回のリリースでIBMは、2つのIFSのアップデートを追加しています。1つ目は、コンピューター(PC、MacOS、Linux、JVM互換システム)にIFSの新たなコピーをダウンロードするときに、ターゲットPC上の現行のIFSダウンロード先の場所をユーザーにプロンプトする機能です。
2つ目は、ACSを介してIFSに保存されているデータを照会するときに、「include」フィルターを使用できるようになりました。「多数のファイルがあるディレクトリーを表示するときに、サーバーから返されるデータを制限することでパフォーマンスが向上する」とIBMは述べています。
ACSは、システム管理者に加え、データベース エンジニアも使用しています。データベース エンジニア向けの有用なACSの新機能としては、新たなプロジェクトを作成するときにデータベース スキーマをコピー&ペーストする機能があります。
また、ACSに組み込まれているODBCドライバーに関しても大きな機能強化がありました。IBMは、IBM i Access ODBCドライバーを移植しました。これにより、標準ODBCクライアントが、IBM i上のローカル データベースに接続できるようになるとIBMは述べています。また、アプリケーションをWindowsまたはLinux向けのIBM i Access ODBCドライバーを使用して開発し、同じODBCドライバーを使用してIBM i に導入できるようになるとも述べています。
時間とキーストロークの節約につながるいくつかのショートカットなど、ACSのシステム構成に関する一般的な機能強化についても、様々なものがあります。
まず、「システム構成」画面を、ACSでの作業を開始する最初の場所として設定することができるようになりました。また、メニュー オプションにキーボード ショートカットが追加され、キーボード派のユーザーにとって操作性が向上します。また、「システム構成」パネルで右クリックすると、コンテキスト メニューのオプションが表示されるようになり、マウス派のユーザーにとっても便利になります。
ハードウェア管理インターフェース(Hardware Management Interface)に、いくつかの新機能が加わりました。IBMは、カスタマイズされた使用可能なインターフェースのリストが画面に追加されたと述べています。また、3つ以上のオプションを指定できるようになったともIBMは述べています。さらに、メインのACSパネルに表示される情報が、選択されたシステム向けに構成されたハードウェア管理インターフェースを反映するようになったとのことです。
今回のリリースでは、ACS構成をターゲット マシンへインポートするときにACSコンポーネントを除外する機能など、他の様々な管理機能についても機能強化が行われました。また、既存のACS構成のインポート時に、その構成と関連付けられているユーザー プロファイルがターゲット上でロードされている必要がなくなりました。
また、ACSは、5月1日に始まった日本の新元号をサポートする日付と時刻サービスが反映されるように更新されています。旧元号は平成で、新元号は令和です。
最後に、Entitled System Support(ESS)配布方式を利用時の、ACSを検索およびダウンロードする方法が改善されました。今後、ESS WebサイトからACSをダウンロードするユーザーの場合、デフォルトでフィーチャー6290が自動的に選択されるようになります。フィーチャー6290は、6月11日から利用可能になります。