IBM i 7.1とPowerHA 7.1のサービス延長概要
オペレーティング システム サプライヤーは、同時にコードの多数のリリースをサポートすることを好みません。ソフトウェア サポートのコストの基盤となるのは人件費であるため、それは理にかなったことと言えます。人件費は高くなる一方です。また、オペレーティング システムを開発している企業は、顧客に移行してもらいたいと思っている、より多くの機能と、より優れたセキュリティおよび信頼性を備えた新しいコードを用意しているものです。
IBM i7.1は、IBMの高く評価されてきたプロプライエタリなミッドレンジ オペレーティング システムであり、おそらく1979年8月のSystem/38向けのControl Program Facility(CPF)の最初のリリースにまで遡ることができます。IBM i 7.1は2010年4月13日に発表され、その10日後に出荷開始されました。AS/400およびその後継の歴史において、すべてのIBM iミッドレンジ プラットフォームの中で最も長期間サポートされたリリースということになります。実際、非常に長命となりました。今年の4月11日、発表レター917-080で、IBMは顧客に対して、IBM i7.1の営業活動を終了し、そのサポートを2018年4月30日に終了することを通知しました。小誌では、ひっそりと行われたこの発表が広く知られるようになった5月に、その件についてこちらの記事で取り上げています。
その時点では、IBM i 7.1の延長サポートの内容やスケジュールがどのようになるかは明らかにされていませんでしたが、この数週の間にIBMは、IBM i 7.1の延長サポートのスケジュールに関して、いくつかの発表を行っています。また、PowerHA 7.1ハイ アベイラビリティー クラスタリング ソフトウェアの延長サポートについても発表がなされ、さらに、通常、IBM i 7.1とともにインストールされる一部のWebSphere Application Serverミドルウェアの終了についての発表も行われました(詳細については後述します)。
以下は、延長サポートについて述べるときに必ずお伝えしている注意事項です。Power Systemsおよびその前身のSystem i、iSeries、およびAS/400ハードウェアに関連するハードウェア メンテナンスは、この、または他のいかなるIBM iまたはOS/400オペレーティング システム リリースのサポート終了によっても影響を受けません。IBMは、ハードウェアのメンテナンスで収益を得るのでよいのですが、他のオペレーティング システム サプライヤーと同様に、ソフトウェアのサポートに終了日を設けています。これは、新製品のリリースがもう間もなくだというときに、旧製品のサポートのための専門家を確保しておくことはできないためです。今回のケースについて言えば、iNextあるいは多くの人々がIBM i 8.1と呼んでいるものは、おそらく2018年初めの商用グレードのPower9システムの発売と同時にリリースと見られています。
IBMは発表レター617-024で、延長サポートの期間について発表しましたが、これまでのパターンから予想していたより7か月長い期間となるようです。IBM i 7.1の延長サポートの期限は2020年9月30日までとなるだろうと予想されていましたが、IBMはこのリリースの延長サポートを2021年4月30日まで提供する予定であるとのことです。IBMでは延長サポートの料金設定を公表していませんが、IBM i 5.4(V5R4)やIBM i 6.1および6.1.1では、Program Service Extension(PSE)有償付加サービスは、通常のソフトウェア メンテナンス(SWMA)と比べて60%高い料金設定となっていました。IBM i 7.1のPSEについても同じくらいの料金設定になるのでないかと思われます。また、いずれかのIBM iリリースのサポートが終了になると、そのリリースと連携されているライセンス プログラム製品もすべて終了となり、それらは延長サポートによってカバーされることになる点についても留意が必要です。
延長サポート サービスは、SWMAとまったく同じというわけではありません。この延長サポートに累積PTFアップデートが含まれるかどうかについては、いまのところ定かではありません。というのも、通常のSWMAの対象外のリリースに対しては新たなバグ修正をIBMは行わないと聞いているからです。もっとも、以前の発表レターでは、PSE下でも新たな問題に対する新たな修正プログラムが発表されたことは何度かありました。使用サポート、すなわち顧客が試してみて正しく機能しない場合、あるいは理解に援助が必要な場合のサポートは、通常営業時間内に限り、PSEの一部として含まれています。IBMは、IBM i 7.1の新しいフィーチャー開発はPSEの一部としては行いません。
IBM i 7.1およびPowerHA 7.1のサービス延長でカバーされるとIBMが述べていることは、具体的に言うと次のようになるかと思われます。
- 使用サポートおよび既知の問題サポート。IBM i7.1およびPowerHA 7.1の使用法についての質問対応、問題判別、IBM i 7.1およびPowerHA 7.1に関する問題の特定およびそれに対する既存の修復プログラム入手の支援などについてのIBMによるサポートは、通常営業時間内には利用可能。
- 新たな修正プログラム。新たな問題に対する修正プログラムは提供される。
IBM i 6.1以降、PSEはサブキャパシティー料金設定で提供されているため、論理区画で複数のリリースを稼働している場合、システムでIBM i 7.1がいくつのコアを稼働しているかに応じて料金が割り当てられます。
公式のIBM iサポート ライフサイクルおよびアップグレード プランのページはここから参照できます。また、IBM i 6.1および7.1リリースのサービス延長についての概要が記されたドキュメントもここで参照できます。そこのデータおよび他のデータを基にして、バージョンおよびリリースごとに、ライフサイクルの段階間の日数を計算する表を作成してみました。次の表がそれです。
この表から見て取れるように、OS/400およびIBM iリリースの発表と出荷開始との間のタイムラグは、リリースの寿命が長くなるのに対して、短くなっています。2000年代にこのように期間が長くなったのは、プラットフォームの販売低迷とソフトウェア スタックの成熱によるものでしたが、最近のリリースに関しては、IBM iのリリースの寿命が延びているのは、テクノロジー・リフレッシュのアップデート プロセスのおかげと言えるでしょう。これはアップデートされることが前提である設計になったためです。このことは、IBMとIBM i顧客の双方にとってプラスでした。しかし、IBM i 8.1の登場により、IBMはIBM i 7.1をサポートすることができなくなります。同時リリースは3つでもう十分であり、これは多くのオペレーティング システムのベンダーより多い数です。
ついでに言えば、IBM i7.2についてのカウントダウンが始まったということでもあります。
以前に指摘したように、IBM i 7.1またはIBM i 7.2からIBM i 8.1への直接ジャンプができるとしたらそれは素晴らしいでしょう。すなわち、2018年後半までは高価で品数的にも入手しづらいであろう、Power9ハードウェアへの移行を必要としないIBM i 8.1への直接ジャンプです。
関連事項として、IBMはWebSphere Application Server for IBM iのサポートに関するFAQを更新しています。詳細についてはこのドキュメントを参照してください。各WebSphereリリースのサポート終了日は、次のようになります。
- WebSphere Application Server V7.0 - 2018年4月30日
- WebSphere Application Server V8.0 - 2018年4月30日
- Java 6 in traditional WAS V8.5 - 2017年12月31日
- Java 7 in traditional WAS V8.5 - 2019年9月30日
- Java 6 in Liberty - 2017年9月30日
- Java 7 in Liberty - 2019年9月30日
IBMは、この件に関して次のように述べています。
「去る9月、IBMは、WebSphere Application Server V7.0およびWebSphere Application Server V8.0のサービス終了日を2018年4月と発表しました。WAS V8.5およびV9.0は、現在、アクティブなサブスクリプションおよびサポートを持つWASクライアントに対して追加料金なしで利用可能です。WAS V8.5ユーザーについては、traditional WASでのJava 6のサポートは2017年12月31日に終了し、LibertyでのJava 6のサポートは2017年9月30日に終了します。traditional WASおよびLibertyでのJava 7のサポートは、いずれも2019年9月以後は終了となります。WAS V8.5では、Java 6、Java 7、またはJava 8を使用するためのオプションが提供されています。WAS V8.5をご使用の場合は、Java 8への移行をお勧めします。」
IBMでは、詳細についてはこちらのリンクおよびこちらのリンクを参照するよう推奨しています。