IBM、ACSに新しい芸を教え込む
先月のIBM i 7.2および7.3向けのテクノロジー・リフレッシュは、オペレーティング システムとデータベースに数多くの機能強化をもたらしました。特に、5250エミュレーターの変更、データベース アクセス向けの拡張機能、およびセキュリティ強化といった、IBM i Access Client Solutions(ACS)にもたらされる新たな機能強化は注目に値します。
ACSとは、管理者、開発者、エンジニア、およびパワー ユーザーが同じように様々なIBM iのタスクを処理するのに使用できる、頼りになる新しいクライアント インターフェースです。2012年8月にIBMが発表したこのJavaベース製品は、5250エミュレーター、5250プリンター エミュレーション、データ転送機能、IFSファイル表示機能、スプール ファイル管理、およびLANおよびHMC管理のための仮想コンソールといった、数多くの有用な機能を1つの製品にバンドルしたものとなっています。
IBMは、IBM i 7.2 TR7およびIBM i 7.3 TR3が中心となった10月のアナウンスメントとともに、ACSの機能強化を行いました。IBMは、ACSバージョン1.1.7.1の際に、IBM iユーザー コミュニティから「要求された多数のアップデートと機能強化」を追加したと述べています。
大きな変更点として、セキュリティに関する変更が挙げられます。まずは、「信頼できる」署名者をエンド ユーザーが許可できないようにするオプションを追加したとIBMは述べています。また、SSLをデフォルトで有効にするオプションもあります(そして、これはSSLの後継であるTLSにもおそらく適用されます)。また、5250シェルから作業しているユーザーは、アップデートをチェックする新たなオプションも使用できるようになります。
また、今回のリリースで、新たなSSHクライアント エミュレーターが加わります。これにより、Secure Shell(SSH)暗号化がすでに標準となっている業界で作業しているクライアントのセキュリティが向上されるはずです。顧客がすでにコンピューターにSSHクライアントをインストールしてある場合、ACSは自動的に検出して使用します。
5250エミュレーターは、顧客がScreen Historyリポジトリに画面キャプチャーを無制限に保存できるように機能強化されました。多くのIBM iの顧客は、問題解決に役立てるため、後のドキュメンテーション用に画面をキャプチャーするため、または監査の一部として、Screen Historyを使用してユーザーがACSセッション時に表示する各画面を記録しています。いずれにしても、無制限の画面キャプチャーは重宝する機能となるでしょう。
データベース アクセスも、今回のACSのリリースで機能強化されています。IBMによれば、今年初めに導入されたスキーマ ダイアログは、データベース ヘルス センターを表示する機能や、データおよび監査ジャーナルを表示する機能など、いくつかの点で機能拡張されています。
また、ユーザーは、Run SQL Scriptsの新機能も利用できるようになります。たとえば、ビルトイン サンプルでの作業で使用する、新たな「直接起動ボタン」などが利用できます(残念ながら、IBMのdeveloperWorksサイトのドキュメンテーションは、この機能の説明についてあまり明快ではないようです)。また、IBMによれば、このソフトウェアでは、大きな赤い線の枠が用いられることによって、ACSが対話しているシステムを確認しやすくなっています。
また、IBMは、「Navigator for iをクロス起動しなくて済むようにする」ために、ACSのSQL Performance Centerコンポーネントを機能強化したと述べています。データベース メンテナンスは「現在、ACSのSchemaの下で行われて」います。そしてこのことは、IBMがデータベース メンテナンス セクションを、2月に導入されたそのスキーマ管理機能と連結させたということを意味していると考えられます。
最後に大事なこととして、今回のリリースでは、ACSのプリンター出力機能が改善された点を挙げることができます。日付と時間が1つの列に組み合わせられ、より正確なソートおよびフィルター機能が利用可能になっているとIBMは述べています。
IBMは、7月にACSバージョン1.1.7.1を実際に提供し、その後、同製品の次の新リリースについて発表しました。10月のACSバージョン1.1.7.2のリリースでは、新しいSSH Terminal、データ転送機能、スキーマおよびRun SQL Scripts機能に対する様々な機能強化など、さらに多くの機能強化がもたらされます。 ACSは、Windows、Linux、およびMac OS環境で稼働します。詳細およびダウンロードについては、 www-03.ibm.com/systems/power/software/i/access/solutions.htmlを参照してください。