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IBMi海外記事2017.09.14

Sibley氏が語る、ILEコンパイラーの移管による「シナジー効果」

Alex Woodie 著

1か月前、 IBM Cognitive Systemsのバイスプレジデント兼ビジネスライン エグゼクティブのSteve Sibley氏は、同社のRPGコンパイラーの開発を、RationalグループからIBM i開発組織の直下へ移管すると発表しました。移管の主な理由として彼は、「シナジー効果」の増大を挙げています。先週、『 IT Jungle 』ではSibley氏にインタビューを行い、詳しい話を聞かせてもらうことができました。

6月9日付けの、IBM iの顧客およびパートナーに宛てたオープン レターでSibley氏は、IBM i向けRationalプログラミング ツールと、ILE RPGおよびILE COBOLコンパイラー本体の開発を、ミネソタ州ロチェスターのIBMラボのIBM i開発組織へ移管すると発表しました。ただし、移管は報告系統上のものであり、一部で言われていたような物理的な移動を伴うものではありませんでした。つまり、Rationalおよびコンパイラー チームは、System 3/xの時代から拠点としてきたカナダのトロントに留まります。

Sibley氏は、移管の背後にある主な動機としてシナジー効果を挙げていました。この点について尋ねたところ、Sibley氏は次のように詳しく説明してくれました。

「IBM iコンパイラーおよびツールの開発ツール チームは、常にロチェスターのIBM i開発チームと緊密に連携を取ってきましたが、チームを同じ組織内に組み入れることで、IBM iの優先事項に対して、より効率的な形で注力することが可能になります。」

「コンパイラーおよびツールをIBM i開発の配下へ移管することにより、クライアントからの機能拡張および機能追加の要望を、別組織のRationalによってサポートされていた顧客層である幅広いIBMのクライアント全体ではなく、IBM iのクライアント ベースとの関連において検討できるようになります。」 (著者補足: IBM iのショップ特有のニーズが、IBM RationalのLinux、AIX、およびWindowsの顧客からの大きな叫び声で、かき消されてしまわなくなるわけですから、これは結構なことだと言えるでしょう)。

製品情報03

Sibley氏は、移管はすでに、次のような新機能という形で実を結び始めていると述べます。 「IBM iにおけるオープンソース環境の強化および拡張の推進は、すでに、GitのRDiツールへの統合を手始めに反映されて来ています。GitプラグインはRDi内でサポートされ、現在は、IFSに格納されたRPGコードと共に稼働できます。このような方向性は継続されて行くと思われます。

「IBM iのクライアントは、長い間、Access Client Solutionsなどの他のデスクトップ システム ツールをRDiへ統合するよう要求してきました。昨年の10月、最新バージョンのRDiで、そうしたVisual Explainとの統合が開始されることが発表されました。

「Mac OSのサポートは、長い間、IBM i開発者から要望されてきたことでした。Mac OSのサポートは昨年9月に提供されることとなりました。」 Rationalツールおよびコンパイラーの背後にあるチームの新たな報告系統は、 昨年IBMが実装した 新たなWebベースのRequest for Enhancements(RFE)要件プロセスおよび COMMON Requirementsプロセスと連携する形で、IBM iの顧客の現実的な業務要件を満たす機能強化を、IBMがより迅速に提供できるようにするのに役立つでしょうとSibley氏は述べます。

「IBM iのクライアントからは、COMMON Requirementsプロセスや新たなRFEプロセスを通じて要望を頂いてきましたし、我々の側でも、コンパイラーやツールに実装したいと考えているものは数多くあります。たとえば、オープンソース製品とのさらなる統合や、Access Client SolutionsおよびNavigatorなどのIBM iツールとのより緊密な統合などがその例です」とSibley氏は記しています。「我々は資源の割り振りを決めることができ、IBM iのクライアントにとって最良の戦略を選ぶことができるのです。」

IBM経営陣がIBM iの顧客と開発ツールのスタッフとの間に築いているこのような強化されたフィードバック ループが、どのように実を結ぶのか、見るのが楽しみです。今日、IBM i開発サークルでは、オープンソース技術をいかに活用するかという点を中心にして物事が動いている一方で、非ネイティブなアプローチ(すなわちPASE AIXランタイム下で稼働するすべて)に対する反発も広がりつつあります。

近頃のアプリケーション開発における最も刺激的な発展の多くは、オープンソースに由来するものです。たとえば、2015年、IBMは、IBM iの領域へ GNU Compiler Collection(GCC)を取り入れる ことを発表しました。これにより、すでにNode.js、Python、およびPHPをサポートしていたこのプラットフォームに多数のコンパイラーがもたらされました。明らかにIBMは、オープンソース ソフトウェアを、IBM iコミュニティに若い人材を取り込み、新機能の提供によって既存のIBM iのショップの投資を拡張するための手段として見ているようです。PHP、Python、Node.js、および関連する言語での仕事はすべて、オープン ソースに由来するものです。

けれども、6月9日のオープン レターでSibley氏は、過去10年間で最大とされるRPGに対する2つの機能強化についても言及しています。それはRPG Open AccessとFree Format RPGであり、これらの機能強化は、その大部分が、長年に渡ってRPGコンパイラーの開発を主導してきたBarbara Morris氏による仕事の成果でした。Morris氏に、これらの新機能と同じくらい規模の大きい、新たなコンパイラーの機能強化に取り組ませるプランをIBMが描いているということはあり得るでしょうか。IBMではそう言っていませんが、もしそのようなプランがあるのなら、イライラを募らせているネイティブなユーザーたちを落ち着かせるのに役立つかもしれません。

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