IBM iスキルの不足がデジタル トランスフォーメーションへの障壁になる
ちょっと質問があるのですが、あなたのショップにおいて、デジタル トランスフォーメーションを実現する上で1番の妨げになっているものは何でしょうか? もし「IBM iスキル」と答えたのだとしたら、あなたはよい会社にお勤めです。最近、SoftLanding Systems社が実施した調査において、IBM iの専門家の大多数が、Webおよびモバイル インターフェースの開発や、電子ドキュメント管理といったプロジェクトの実装を妨げる1番の障害として、IBM iスキル(特に、RPGプログラミングの専門知識)の不足を挙げました。
SoftLanding社のオペレーション マネージャー、Jim Fisher氏は、デジタル トランスフォーメーションに対する障壁についての質問で、IBM iスキルの不足が1番の回答となるとは予想していなかったと述べます。Fisher氏は、驚かされたことについて『IT Jungle』が尋ねたのに対して、「正直に言って、まったく同じことが思い浮かびました。」と述べました。「PHPやJavaといったWebベースの開発の言語が1番の回答になるだろうと思っていました。人々が「IBM iスキル」と口にすることには、ちょっとしたためらいがあったはずです。だからこそ驚きでした。」
IBM iスキルやRPGプログラミングの専門知識の不足が、大きく取り上げられたのは初めてではありません。16か月前、長年IBMに努め、OS/400やIBM iに精通している、Computer Sciences Corp社CEOのMike Lawrie氏は、RPGプログラマの不足のせいでCSC社の1四半期分の収益が失われてしまったと述べています。「RPGは今日多くの人々が学んでいるプログラミング言語ではなくなっているため、プログラマの供給は限られています」とLawrie氏は電話会議で述べました。「その四半期に請け負っていたすべての業務に間に合わせられるように、そうした人材を採用し、手配することができなかったのです。」
こうして見ると、デジタル トランスフォーメーションへの1番の障壁としてIBM iスキルの不足を指摘することは、Fisher氏によれば、当然なことのようです。「モダナイゼーションの取り組みを支援するために変更が必要となる、コアとなっているIBM iアプリケーションがたくさんある場合、」とFisher氏は述べます。「引退した、または引退する予定の人々とともに、長年に渡ってそうしたIBM iスキルを失ってきているのだとしたら、そういう意味ではもっともだと思えます。」
UNICOM Global社の子会社が実施した今回の調査は、International i-Power 2016とCommon Europe Congressという、欧州におけるIBM iをテーマとした2つのイベントに参加した52名によるフォーカス グループ方式での調査でした。また、「IBM i」スキルが何を意味するかについても、明示されていたわけではありませんでした。しかし、Fisher氏によれば、RPGのコーディング スキルの不足がデジタル化進展の障害となっていることは明らかなようです。
「多くの企業には、長年稼働させてきたコアとなる業務システムがあります。非常に複雑なコードが用いられ、システム周りは複雑なものになっています」とFisher氏は述べます。「それぞれの環境において、RPG開発者の数は何年も経て減少してきたため、開発者がそうしたシステムについて詳しく学べる時間はますます少なくなっているのかもしれません。彼らは日常的な業務要件をこなすだけで手いっぱいで、非常に複雑なアプリケーションをじっくり勉強する時間を見つけることは、難しいことなのかもしれません。」
ある種のモダナイゼーションの取り組みでは、深いRPGスキルが求められることがあります。すなわち、Webモダナイゼーションの取り組みの場合にそうですが、これは避けがたいことです。ただし、すべてのデジタル化のプロジェクトにおいてそうだというわけではありません。
「別のソリューション、たとえば、ECM(エンタープライズ コンテンツ管理)などを利用することもできます。そうすれば、ドキュメントに関して、場合によってはデータに関して、そうしたデジタル機能を利用できるようになります。しかもバックエンド アプリケーションの修正や変更の必要もありません」とFisher氏は述べます。「しかし、たとえば、サプライヤがデータ入力できるように既存のアプリケーションにWebベースのインターフェースを付け加えようとした場合、必要となる変更作業を行うには、RPGスキルが必要となることは明らかです。」
SoftLanding社のフォーカス グループ調査によれば、重要と考えられるデジタル トランスフォーメーションとしては、以下のものが挙げられるようです。
- IBM iアプリケーションへのウェブ インターフェースの追加:84%
- 紙の文書からデジタル文書への切り替え(電子インボイス、電子的な取引明細書の提示):81%
- マルチチャンネルでの顧客コミュニケーション(Eメール、ウェブ、SMS、印刷物、ソーシャル メディアなど):71%
- IBM iアプリケーションへのモバイル インターフェースの追加:48%
- レガシー アプリケーションの廃棄:26%
IBM iにおけるデジタル トランスフォーメーションへの主な障壁としては、以下のものが挙げられています。
- IBM iスキルの不足:50%
- コスト面の考慮:46%
- コア業務システムを変更するリスク:42%
- 技術的または業務上の他の優先事項:39%
- 社内のウェブおよびモバイル スキルの不足:35%
- 事業におけるIBM iプラットフォームの不確かな将来性:25%
- IBM iアプリケーションをウェブおよびモバイルへ適応させる難しさ:21%
調査結果のうち、IBM iスキルの不足のほかにFisher氏が驚いたもうひとつのことは、IBM iプラットフォームの将来性に関しての前向きな見通しでした。
「イベントの際、参加者の方々と一般的な話をするなかで私の心に大きく響いたことは、現在、彼らがIBM iシステムおよびPowerプラットフォームに対して抱いている信頼の大きさでした」とFisher氏は述べます。「2027年に至るまでのロードマップがあることが、多くの人々に安心感を与えてきたのだと思います。これらのショーに参加した財務担当執行役員が、そこで得た情報によって信頼を高めることができた、という話を耳にしました。私にとっては、それこそが一番の収穫でした。そのような話を聞けて本当にうれしく思います。」
皆が皆、IBM iの未来は明るいと確信しているわけではありませんが、Fisher氏は、IBMが、マーケティングに投資するとまではいかないとしても、IBM iを顧客にとって適切なシステムに維持してくれ、互いの認識がぐらつかないようにしてくれるものと信じています。
「この2年間で私が参加したイベントでは、iSeriesではなく、IBM iシステムであるという事実を強く印象付けることに重点が置かれていました」と彼は述べます。「それが本当に重要な点なのです。システムやOSの機能、オープン ソース ソリューションの稼働、サポート可能な言語の数、ウェブおよびモバイル開発の組み込みサポートといったことについて、多くのことが語られています。したがって、その点において、IBMは実にうまくやっている、と私は思います。」