Rocket社、モバイル アプリのDevOpsをIBM iへ導入
Rocket Software社は、モバイル アプリケーションのソース コードの管理および配布を簡素化する新たなツールを発表しました。Rocket Lifecycle Manager for Mobileと呼ばれるこの新たなソフトウェアは、集中的に管理されるサーバーだけでなく、広範囲に分散しているスマートフォンも含め、今日の最新アプリケーションのDevOpsライフサイクルの管理を、IBM iのショップで容易に行えるように設計されています。
スマートフォンがプライベートや仕事の場面に浸透していくのにつれて、モバイル アプリケーションの開発は、IBM iの世界におけるホットなトレンドであり続けています。HelpSystems社の「2016 IBM i Marketplace Survey」によると、IBM iショップの約2割がモバイル コンピューティングへの取り組みを行っており、その数は2015年に比べて10%増加しているとのことです。
スマートフォンが普及し、企業が注目するのもまったく意外なことではありません。けれども、驚くのは、どのようにして企業がモバイル デバイス向けのアプリケーションを開発することを決めているかという点です。調査会社のGartnerによると、大多数の企業が、Webベースのアプリケーションではなく、スマートフォン プラットフォーム向けのネイティブまたはハイブリッドアプリを開発することを選んでいます。
iOS、Android、またはWindows Phoneプラットフォーム向けのネイティブ アプリの開発では、GPS、アクセラレーター、電話といった、スマートフォン上のすべての機能を利用できるなど、有利な点がいくつかあります。Apache Cordova (すなわち、Phonegap)などのハイブリッド アーキテクチャでも同様な機能が提供されます。
ネイティブおよびハイブリッド アプリの開発にはメリットがありますが、個々のスマートフォンでのコードのデプロイや管理が必要になるといった、IT部門が考慮しなければならない追加的なコストも発生します。こうした動きは、企業がクライアント-サーバー革命の際に直面したものと似ているものの、今回はずっと複雑だ、とRocket Software社のIBM iソリューション担当チーフ テクノロジスト、Dan Magid氏は述べます。
「レスポンシブなWebアプリをビルドしているなら、ほとんど同じような状況でしょう」と彼は述べます。「しかし、(ネイティブおよびモバイル アプリについて)現在抱えている問題は、アプリケーション コンポーネントを、自分が管理も操作もしないデバイスへ送り出す必要があるという点です。自分のネットワーク上のサーバーのようにはいきません。人々が持ち歩くのがそうしたデバイスなのです。」
Rocket社は、新製品Lifecycle Manager for Mobileを通じて、そうした問題の解決を目指しています。この製品は、同社の Lifecycle Manager for IBM iのプラグインとして機能します。また、オープン プラットフォーム版についても同様です。「弊社が行っているのは、どのようなライフサイクルが設定されていても、標準ライフサイクルを通してそのコードを取得し、コードをデバイスへ送り出し、デバイス上で処理するまでのプロセスを管理することです」とMagid氏は述べます。
一般に、ネイティブ アプリのデプロイには、iOS、Android、またはWindows Phoneのアプリ ストアを利用、独自のアプリ ストアを通じて、または一括購入プラン(VPP)を通じて、という3通りの方法が用いられています。Rocketはこれら3通りの方法をいずれもサポートしています。
また、Lifecycle Manager for Mobileはハイブリッド モバイル アプリ向けにApache Cordovaもサポートしています。この種のアプリの場合、Rocketソフトウェアはコードを自動でCordovaへ送信します。次いでビルドを実行し、モバイル デバイスへの配布に向けて、ビルドされたものが送り返されます。
このようなコンピューティング環境では、Rocketはモバイル デバイスと親密であることが求められます。「誰かがいつデバイスにサインオンしたのか、また、適切なバージョンを実行しているかどうかを確認するコードがあります。適切なバージョンでない場合は、使用権限があれば、自動でそのアプリの適切なバージョンがデバイスへダウンロードされます」とMagid氏は述べます。
ネイティブおよびハイブリッド アプリの利点の1つは、インターネット接続がないときにオフライン モードで動作することです。Rocket社では、Rocket Mobile for iという開発ツールを通じてそのようなアプリの開発を支援しています。しかし、新しいLifecycle Manager for Mobile製品は、データベース連携型のモバイル アプリの重要な側面をサポートします。
「たとえば、誰かが機内にiPadを置き忘れ、その中に取締役会議の書類が入っていたとします」とMagid氏は述べます。「Lifecycle Manager for Mobileを使うことで、外出先から、リモートでデータをデバイスから消去できます。」
Lifecycle Managerでコードの管理およびデプロイを一元的に行うことにより、開発チームは、IBM iのパート、Webサーバーのパート、およびモバイルのパートなど、今日の最新のN層アプリケーションへ組み込まれるすべての構成要素をトラッキングすることができます。今日、どれだけ多くのIBM iのショップがこれらすべてのプラットフォームを管理しているかということからすると、かなりの時間節約になります」とMagid氏は述べます。
「数人の顧客から聞いた話では、現在、IBM iのピースと、Webのピースおよびモバイルのピースとを同期させようとするときは、すべてのピースの状態をいっしょに遷移できるかの確認のために、大勢の人々と、2~4時間、電話会議になるのだそうです」と彼は述べます。「このモジュールを使えば、IBM iピース、Webピース、およびモバイル ピースの入った1つのパッケージを作成し、ライフサイクルを通してそれらの状態をいっしょに遷移させることができます。」
また、この新製品は、データ分析機能もサポートしています。Gartner社の専門家によれば、アプリケーションからのデータで行動の遠隔測定を行いたい企業にとっては、なくてはならない機能です。「弊社のMobile Builder (別製品)を使用すれば、自動で分析コードをアプリに挿入し、どのようにアプリを使用しているかを正確にトラッキングすることも可能です」とMagid氏は述べます。
Lifecycle Manager for Mobileは、近日中に利用可能になる予定です。