DB2 Web Query For i、新たに外部データベースをサポート
IBM i 7.3のリリースの目玉機能として、DB2の新しいOLAPおよびテンポラル データ機能が大きく取り上げられています。しかし、先週、IBMからリリースされたアナリティクス機能は、それらがすべてというわけではありません。DB2 Web Query for iの新規リリースについても要注目です。新バージョンのDB2 Web Query for iでは、外部のデータベースからIBM iベースのデータ ウェアハウスへのデータの取り込みが行いやすくなっています。
IBMは、DB2 Web Query for i Standard Editionバージョン2.2に、PostgreSQL、MariaDB、およびMySQLをサポートする新たなデータ アダプターを追加しています。また、今回の新リリースには、汎用タイプ4 JDBCドライバのサポートも含まれています。これにより、Oracle社製のデータベースから、より簡単にデータを取り出せるようになります。
この10年の間、オープン ソースのPostgreSQLおよびMySQLデータベースが根強い人気を集めています。これは、IBMやMicrosoftやOracleの高価でプロプライエタリなデータベースの代わりとなるものが求められるようになっているためです。最近では、MySQL完全互換のMariaDBが、Oracle配下にあるMySQLの、オープン ソースでの後継者として台頭してきています。
DB2 Web Queryバージョン 2.2では、操作画面の見た目や操作感も一新されました。たとえば、BIポータルのサインオン画面は、すっきりとした画面に変わっています。また、今回の新リリースでは、Developer Workbenchツールに対しても機能強化が図られています。これにより、クライアント デバイスに向けてのHTMLレポートおよびダッシュボードの作成作業が行いやすくなっています。テスト機能が改善されたことで、ダッシュボードやレポートをさまざまなWebブラウザで表示しても、その表示のされ方に「ビックリすることがなくなる」とIBMは言っています。また、HTMLベースのレポートで自動サイズ調整がサポートされるようになりました。
またIBMは、DataMigrator ETL Extensionについても、バージョン2.2をリリースしました。DataMigrator ETL Extensionは、1年前にIBMがリリースした抽出、変換、およびロード機能を提供するコンパニオン製品です。新しいDataMigratorのバージョン2.2リリースは、DB2 Web Query for i Standard Editionバージョン2.2とともに使用することで、PostgreSQL、MySQL、およびMariaDBデータベースから、また、タイプ4 JDBCドライバを介してOracleから、データを取り込むことができます。
DB2 Web Queryは、これらのデータベースに直接アクセスできますが、ビヘイビアデータを扱うニーズがある場合は、DataMigratorを使用するほうがよいかもしれません。DataMigratorでは、データの一括ロード、変換、およびインクリメンタル更新(ジャーナリングまたはSQLプロセスを介して)が行えるため、IBM iサーバー上でデータマートまたはデータウェアハウスを構築している場合は、より強力なオプションとなります。
またDataMigratorは、CLから直接のデータフローの実行もサポートするようになりました。このため、データフローの実行およびスケジューリングが既存のビジネスプロセスと統合できるようになると、IBMは述べます。さらに、IBMでは、直接結合のサポートなど、ジャーナリングベースの変更データ・キャプチャ(CDC)機能に対しても、さまざまな機能強化を行っています。
IBMはIBM iのアナリティクス機能の強化を図っています。このことは、IBMがDB2 for iデータベースに新しいOLAPおよびテンポラル機能を追加していることにも表れています。IBMでは、DB2 for iと、エンタープライズBIツール スイートのCognosとが、なんとかうまい具合に連携できるようにすることに腐心しています。これは予測分析を行う上ではきわめて重要な点です。もっとも、あまり予算をかけられない顧客の場合(これにはインストール ベースの95%が該当します)には、DB2 Web Queryでも、そうしたBIのニーズに応えることができます。
IBMでは今、DB2 Web Queryについての情報を広めることに努めている、とDB2 for iチームのビジネス アーキテクト兼SQL開発リーダー、Scott Forstie氏は述べます。「この2~3年の間、DB2 Web Queryに関していくつか機能強化を行ってきましたが、あまり広く知られているようではありません」とForstie氏は『IT Jungle』に語ります。「分析機能の面でこのように大きくステップ アップを遂げた今、どんなツールがどんな場面で使えるのかということを、広く知らせていくことが我々のチームの課題となっています。」
DB2 Web Query for iバージョン2.2は、IBM iバージョン7.1、7.2、および7.3上で稼働します。ただし、IBM i 7.3へと移行する場合は、新しいバージョン2.2のDB2 Web Query for iを使用する必要があります。ついでに言っておくべきこととして、新しい外部データベース機能はDB2 Web Query Standard Edition (5733-WQS)でサポートされていますが、Express Edition (5733-WQE)を使用している場合は、DB2製品ファミリーの他の製品からデータをレプリケートできます。
詳細については、「IBM United States Software Announcement 216-134」を参照してください。