IBM、さらなるPower8製品の追加を準備
IBMはPower8システムラインアップの追加に向かって準備を進めており、そのペースがやや早まっている感があります。IBMは6月にPower S814単一ソケット、4コアのサーバーを発表しました。このマシーンは第3四半期に出荷されることが単に暫定的に予定されていただけで、アナリストや顧客への説明はありませんでした。IBMはPower8のさらなる大規模システムの計画についてはほとんど触れていません。
事実、私が入手したロードマップは、このエントリーレベルの4コアマシーンを例外として、2014年には新たなPower8製品の出荷プランは無いことを示しています。このエントリーレベルの4コアマシーンは主にIBM iのショップに向けて設計されています。IBM iのショップはPower8チップで6コア、8コア、あるいは12コアをすべてアクティブにするまでの高い処理能力は必要としておらず、殆どが最も低いP05ソフトウエア層のマシーンで十分です。
Power Systemsのこのロードマップをあまりにも文字通りに読み過ぎているかもしれません。私は、「来年及びそれ以降に発表する」という表現を、Power8チップをベースにしたさらなるマシーンが2014年に計画されているとは解釈せず、むしろ2015年に計画されていると解釈します。しかしながら、人々は単に語句の選択を誤って「今年及びそれ以降に発表する」と理解した可能性があります。これは難しいことです。しかしながら、私がIBMの消息筋から得た情報では、次のエントリーPower8マシーンはPower8ハードウエアから構築されるスケールアウト型のクラスターに力を入れて重点的に取組んだマシーンであり、スケールアップのマシーンは急いでいないということでした。しかしながらIBMのCFO、Martin SchroeterはさらなるPower8マシーンが今年中に出ることを極めて明確にして、ウオール街のアナリストに向けた第2四半期の業績報告のなかで「我々はエントリーレベルあるいはスケールアウトのPower8を6月に発表して、前のサイクルに比べると良いスタートを切った」「留意して欲しいのは、エントリーレベルはPowerビジネスの小さな部分であること。Power8が今年後半にミッドレンジとハイエンドの分野に導入される」と述べています。
私の推測ですが、Power8チップに使われた22ナノメートル・プロセスが優れたパフォーマンスを発揮しなかったので、IBMはエントリーマシーンが発表されたとき今年出荷される可能性のあるPower8のミッドレンジ及びハイエンドのマシーンには触れなかったのではないでしょうか。この推測を裏付ける事実は、最初のPower8マシーンはチップがフルに12個コアではなく、1チップあたりを半分の6コア構成として1ソケットに2つのチップを搭載していることです。これはデュアルチップ・モジュールと呼ばれています。
IBMは、Power7+のチップをエッチングする32ナノメートル・プロセスにも同じくそのパフォーマンスに課題を抱えていたと思われます。理由はこれらのチップにも同じ取組み方をしていたからです。私の考え方に立てば、IBMは必要とされるパフォーマンスを確保するために十分なボリュームの大型単体チップを持っていないために手ごろな価格で入手できる12個コアの統合大型プロセッサーにしているのでしょう。
IBMはPowwer8チップのパフォーマンスを高めて、このようなDCMに頼る必要はないのです。しかしながら、多分それができないのかもしれません。もしこれが可能であれば、IBMは最初から6コアのPower8を設計していたはずで、チップから役立たない部分を削除するようなことはなくそれらを直接明確に接続していたはずです。Power750+とPower760+のPower7+のバージョンはこれらのDCMを採用していました。そして、将来の4ソケットマシーン、これは4ソケットによるスケールアウトマシーンであるため多分Power S845と呼ばれるでしょうが、DCMを使用する可能性があります。Power7マシーンは4Uエンクロージャーに4コアを有しており、Power7+
は750クラスのボックス用の5Uエンクロージャーに4ソケットを有していました。Power760+は同様のマシーンでしたがコアの数が多いDCMでした。
もし、Power770+タイプのマシーンが出れば、多分同様の相互接続を行って、単一システム・イメージに16ソケットを置くために拡張されたオン・チップNUMAクラスタリングを使うと思われます。このマシーンは多分4ソケット、5Uボックスのクラスターから構築されるでしょう。理由は、これらの大型マシーンでは密度はそれほど重要ではなく、ディスク容量の拡張が重要になるからです。したがって、このボックスは合計16ソケットによる4ノードを有することになり、もしIBMの命名法に従えばS81620となるでしょう。しかしながら、IBMはSを削除する可能性があります。そのマシーンはスケールアウトではなく、スケールアップであり、ソケット全体にNUMAを使った単一の共有メモリー・スペースを有していることを意味します。
IBMは現行Power 795の後継機については多くを明らかにはしていません。795はいま4歳で、Power7プロセッサーでずいぶん高齢になっています。IBMは間違いなく大変大型のNUMAマシーンを構築するでしょう。32あるいは64ソケット、384から768コア、32 TBあるいは64 TBのメインメモリーが予測されます。
IBMが何を行うかはPower Systemsの顧客がスケールアップマシーンに何を求めているかに大きく依存します。IBMは顧客ベースの多くのニーズで16ソケットのマシーンに取り組む可能性があります。32コアのパーティションを2区画有する最上級のPower 795は1コアにつき4スレッドの4 GHz Power7プロセッサーを使ってIBMがIBM iのワークロード上で相対的パフォーマンスを計るのに使用するCommercial Workload Performanceベンチマークテストで399,200を達成することができます。したがって最大256コアのマシーンは理論的に約160万CPWになります。コアが50パーセント多い16ソケットのPower8マシーンは名目4GHzのクロック・スピードで2倍から2.5倍のパフォーマンスを発揮します。2倍と言うことは簡単です。すべてのコアをアクティブにしたPower8マシーンは192コアを有して250万といったCPWを達成します。
IBMが何かを必要とするのであれば、IntelのXeon E7プロセッサーと有利に競り合うための大容量メモリーの4ソケット及び8ソケットのマシーンでしょう。Xeon E7プロセッサーのマシーンは多数のコアと大容量のメインメモリーを搭載しています。
もしOracleが、32ソケットを有し32 TBのメモリーをサポートするSparc M6-32マシーンを真剣に販売するのであれば、このクラスのボックスが必要です。もしIBMがソフトウエアP10 からP50の価格を見直すとすれば喜ばしいことです。私は常にソフトウエアのコストが低いことを望んでいます。実際にコストの負担が重いのはソフトウエアの部分で、誰もが気付いていることですがIBMは決してこの価格を下げません。
IBM i のクローンが無いので、価格を下げるための選択肢がありません。
IBMが何をするかを注視しているつもりです。しかしながら、IBM iの数百の大規模なショップを除いて、大型のハードウエアが重要なのはAIXのショップだけだと思います。IBM iを稼働させているショップにとってはミッドレンジの4ソケットマシーンがはるかに重要なのです。顧客たちがたとえそのような4ソケットマシーンの力を必要としていなくても、自分たちのアプリケーションとデータベースが2ソケットのPower8マシーンの性能を越えて増大したとき使えるか否かを知りたがっています。
私は4ソケットあるいは8ソケットマシーンで、メインメモリーの容量が大小異なる2種類の構成及びローカルディスクとフラッシュストレージの量が異なる2種類のスタイルが発表されても驚きません。