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コンセプトがアーキテクチャに至るまで

IBMが公式に使用をやめてから20年近く経過しているはずなのに、AS/400という名前の命運が尽きることはないのかもしれません。これを置き換えるはずのIBM i の定着率は、AS/400に対して今一歩のところを彷徨い続けています。「製品名を変えない方が良かったのに」、「AS/400の名を復活させるべきだ」という極論も飛び出すのは、古い名前に対する愛着という言葉だけでは片付けられない何かがあるからなのでしょう。それはおそらくIBM i を通して、AS/400時代から連綿と引き継がれているアーキテクチャを見ているからではないかと思います。

前章では IBM i には「哲学」、すなわちビジネスのためのシステムといったコンセプトがある、といった話をしました。今回は米国ロチェスターの開発者達が、どのようにしてそのコンセプトから製品アーキテクチャに辿り着いたのか、その思考過程を追跡してみます。もちろん私自身が現場に居合わせたわけではありませんが、AS/400の産みの親と言われるF.ソルティス博士がその著書「Fortress Rochester: The Inside Story of the IBM iSeries」(ISBN-13: 978-1583040836)に臨場感溢れる記録を残しています。残念ながら博士の著書の邦訳版はありませんが、これを主な拠り所として、博士の講演と、私自身が長年の業務を通じて蓄積してきた製品に関する知見とをブレンドしながら、このページを書き進めてみたいと思います。



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