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IBMi海外記事2024.11.13

IBM i およびZのモダナイゼーションで生成AIへの関心が「急騰中」、Kyndryl社レポート

メインフレームのモダナイゼーションに関するKyndryl社の最新のレポートによれば、IBM i およびSystem Zサーバーでの生成AIの活用に対する関心が急激に高まっているということです。レポートでは、IBMミッドレンジおよびメインフレーム プラットフォームに影響を与えるトレンドのトップ5を占めるものとして、その他に、ハイブリッドIT、セキュリティ、スキル不足、可観測性が取り上げられています。

昨年、 yndryl 社は、Coleman Parkes Research社に委託して、世界各地のIBM i およびSystem ZメインフレームのショップのIT部門における上級管理職、約500名を対象に調査を実施しました。その調査結果は、「メインフレーム モダナイゼーション状況調査レポート 2023年」としてまとめられています( こちらの記事を参照)。

Kyndryl社のSVP、CTO兼コア エンタープライズ& zCloud担当エンジニアリング リードのRichard Baird氏によれば、2023年にかつてのIBMグローバル テクノロジー サービス(GTS)部門が認めた同じモダナイゼーションのトレンドの多くは、2024年も変わっていないということです。

たとえば、アプリケーションおよびデータの一部を IBM プラットフォームから移行しようとしているIBM i およびSystem Zのショップの割合は96%で、これは昨年比1ポイント増です。そして、調査回答者がメインフレームまたはミッドレンジ ボックスから移行しようとしているアプリケーションおよびデータの割合は、今年は平均して36%で、昨年の37%から1ポイント減となっています。

「昨年と今年で、あまり変化が見られない領域もあります」と、Baird氏は『 IT Jungle 』のインタビューで述べています。「統計的には同じです。しかし、今年現れた大きな変化は、実際に多くの顧客が重点的にAIに取り組んでいるということです。今年の調査で目立ったテーマは、何と言ってもAI関連でした。」

出典:Kyndryl社

Kyndryl社の調査では、調査回答者(内訳は約3分の2がSystem Zのショップ、約3分の1がIBM i のショップ)の86%が、生成AIを導入しようとしていることが明らかにされています。3分の1以上が、今後12か月間のモダナイゼーションのための投資における最優先項目として生成AIを挙げているとKyndryl社は述べています。

まだ生成AIプロジェクトを具体的に肉付けしている段階のIBMのショップも多い一方で、71%が、すでに組織で生成AIを導入していると回答していることが調査で明らかになっています。ほぼ半数(44%)が、生成AIを使用して非構造化データを実用的な情報に変換していると回答しています。一方、約3分の1が、生成AIを使用して新たな製品やサービスの開発に役立てているということです。

IBMから提供される2つの製品、Telumコプロセッサーおよびwatsonx Code Assistantのおかげで、System Zのショップは、生成AIの取り組みをさらに進められるとBaird氏は述べています。これらの製品によって、生まれたばかりのテクノロジーの大型メインフレームでの採用が後押しされているとBaird氏は述べます。

Telumコプロセッサーは、メインフレームのショップがシステム上でAI推論ワークロードを稼働させ続けることを可能にします。一方、watsonx Code Assistantは、メインフレーム コード向けに自然言語理解機能を提供します。

「これまでのところ、業界がより重点を置いてきたのは、Zと生成AIを使用してのアプリケーション モダナイゼーションやアプリケーション理解、そして生成AIを利用したテスト ケース、テスト データなどの作成に対してでした」と彼は述べています。「現在は、COBOLに重点が置かれています。」

IBM i では生成AIが盛り上がっていないというわけではありません。しかし、IBM i の場合、AIワークロードを稼働するにはPowerサーバーからクラウド ハイパースケーラーへの呼び出しが必要になるとBaird氏は述べています。

「彼らは、自身のデータを使用し、モデルを構築し、分散プラットフォームでモデルを呼び出すためにRPGなどからRESTful呼び出しを行うことで、さらなるビジネス上の洞察を得ています」とBaird氏は述べます。

現在、IBMロチェスターは、RPG向けコード アシスタントを開発しています。5月の COMMON カンファレンスで IBMが発表した IBM i コード アシスタントは、Db2アナリティクス、運用、および開発者エクスペリエンスという 3つの領域をターゲットとしています

コパイロットは、アプリケーション モダナイゼーションの取り組みを様々な面で支援することができるとBaird氏は述べています。まず、コパイロットは、ソース コード(COBOL、RPGなど)がどのような処理を行うのかについての概要説明を自動生成することができます。また、テスト データおよびテスト ケースを生成して、開発者が新たなコードをテストする支援を行うこともできます。

「よくご存知だとは思いますが、アプリケーション セット向けの適切なテスト ケースまたはテスト データを持たない顧客はかなりの数になります」と、IBMでのキャリアが長いBaird氏は述べています。

Kyndryl社のレポートで明らかにされた2つ目の主要なトレンドは、ハイブリッドITでした。クラウド リソースの利用の仕方は、顧客によってそれぞれ異なります。IT資産の大部分をクラウド上へオフロードしている顧客もいれば、より周到にメインフレーム アプリケーションをクラウドベースのアプリケーションと統合しようとしている顧客もいます。いずれのケースでも、いったん瓶の中から抜け出たクラウドという魔神は、瓶の中に戻らないということです。

「ハイブリッドは定着しているのです」とBaird氏の声には力が入ります。

セキュリティは、モダナイゼーションの議論の主要なテーマであり続けています。Kyndryl社の調査によれば、調査回答者の49%が、セキュリティは今後12か月間のモダナイゼーションに対する投資の最大の推進要因であると回答しています。また、多くのIBM i およびSystem Zのショップが、それらのプラットフォームにおけるセキュリティを利点だと考えていることも調査で示されています。

また、法規制遵守およびデータ主権の要件も、セキュリティを支えるものです。調査回答者の90%以上が、サイバーセキュリティ規制は、メインフレームおよびIBM i のモダナイゼーションの計画に影響を与えており、また、組織が「move off(メインフレームからの移行)、modernize on(メインフレーム上でのモダナイズ)、またはintegrate with(他プラットフォームとの統合)」のいずれかの戦略を採る意思決定にも影響を与えていると回答しています。

出典:Kyndryl社

また、適切なスキルを持つ人材の不足も、メインフレーム ユーザーに影響を与えています。「integrate with(他プラットフォームと統合)」というモダナイゼーション戦略を採っている組織の18%が、直面している一番の課題としてスキル不足を挙げており、一方、28%が、IBM環境をモダナイズするための適切なスキルがないことを懸念しているということです。

Barid氏によれば、スキルの問題と、セキュリティおよびコパイロット/生成AIの取り組みとの間には、共通点がかなりあるということです。

「セキュリティおよびスキルの周辺では、まだ同じ問題を抱えています」と彼は述べています。「スキルの問題は、「COBOLおよびRPGのスキルを身に付けているか」というところから、「このCOBOLおよびRPGを読み解くのに役立つAIおよび生成AIのスキルが得られるか」というところへと少し向きが変わっています。」

Kyndryl社のモダナイゼーション調査で重点的に取り上げられた最後の領域は、可観測性です。調査では、回答者の92%が、単一のダッシュボードから、IT環境全体にわたって行われているIT運用を監視できるようにしたいと考えていることが明らかになっています。しかし、85%は、これを実現するのは非常に難しいと回答しています。

「ここでハイブリッド クラウドに戻ります。そこはまさにハイブリッドの世界です」とBaird氏は述べています。「彼らは、IT資産全体にわたる可観測性を必要としています。彼らは、こちらで起こっていることも、こちらで起こっていることも確認できるようにしたいのです。双方が互いにやり取りしている場合は特にそうなのです。」

Baird氏は、ログ、メトリクス、およびトレースの統一規格の策定を目指しているOpen Telemetryプロジェクトが、メインフレームおよびIBM i サーバーや、データ センターおよびクラウドにおけるあらゆるIT構成要素に、可観測性の向上をもたらすのに寄与すると見ています。

「OTelの活動によって、格段に容易になるでしょう」と彼は述べます。「業界の様々なプレーヤーがOTelを採用し、データの共有や管理をより容易に行えるようになるとすれば素晴らしいことです。」

Kyndryl社のメインフレーム モダナイゼーション レポートは、 こちらでダウンロードできます。

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