ミッドレンジにおける最強コンビ:IBM i とFlashSystem
IBM i を「グリーン スクリーン」から見ているだけだとしたら、長い年月を経ても、あまり変わったところはなさそうな気がします。ほとんど同じコマンドを実行し、同じオペレーティング システム メニューにアクセスしていると、時間が止まったまま、IBM i は何も変わっていないように思えるかもしれません。
しかし、インフラストラクチャーの観点から見れば、まったくそんなことはありません。この記事では、IBM i システム向けの外部ストレージ オプションとして広く使用されているFlashSystemに焦点を当てようと思います。このところ、ストレージ管理者の業務が楽になるような、強力な新機能がいくつか追加されているからです。
LUNのサイズを動的に増加する
これは新しい機能というわけではありませんが、IBM i でLUNのサイズを増加できるようになっていることについては、まだ十分に知られていないように思われます。LUNという用語に馴染みのない人に向けて言えば、LUNは、Logical Unit Number(論理装置番号)の略であり、かみ砕いて言えば、「物理記憶装置から切り分けられた仮想記憶ユニット」を意味します。
より大きなLUNサイズが必要になった場合に、より多くの、より大容量のLUNの追加や、それらへのマイグレーションは、もう必要ありません。FlashSystemで、それぞれのLUNのサイズの増加を選択して、追加スペースのフォーマットが完了するまで待機してから、増えたスペースがIBM i によって認識されるようにIPLを行うだけです。たとえば、100 GBのLUNが10個ある場合に、それらのサイズをすべて200 GBに増加することで(記憶域プールの容量に余裕があることが前提)、さらなるLUNを追加してバランス化する必要なく、IBM i システムのサイズを倍増することができます。
最小要件は、IBM i 7.3 TR7以降、7.4 TR1以降、または7.5であることです。詳細については、 https://www.ibm.com/support/pages/node/716777を参照してください。
ボリューム グループ
厄介なボリュームの依存関係の削除に関して言えば、この比較的新しい機能は、大変革をもたらす機能と言えるでしょう。FlashCopyおよびリモート コピーは、それぞれ、システムのインスタント コピーを取得したり、システムのコピーを複製したりするための優れた機能です。しかし、それらの機能では、ソース ボリュームおよびターゲット ボリュームと関連付けられた、かなりの数の余分なボリュームが作成されることがあるため、それらの依存関係によって、動的なLUNサイズの増加機能のような、有用な機能が妨げられてしまうことがあります。ボリューム グループを入力します。ボリューム グループには、最近追加された2つのポリシー(スナップショット ポリシーおよび複製ポリシー)を添付可能です。ボリューム グループは、簡単に作成できます。ボリューム グループを作成してから、そのボリューム グループにすべてのソース ボリュームを追加します。次いで、ポリシーを作成してボリューム グループに追加します。
スナップショット ポリシー
IBMは、トレードマークである「FlashCopy」に対するものとして、より幅広く採用されている用語である「スナップショット」へと移行しようとしているようです。両者は同じことを意味します。スナップショット ポリシーでは、スナップショットを実行する頻度およびそれらを保存する期間を定義します。これにより、FlashCopy整合性グループ(ソース ボリュームをターゲット ボリュームに関連付けることによって依存関係を作成)を作成する必要はなくなります。スナップショット ポリシーは、そうした作業をすべて処理してくれます。
複製ポリシー
これらのポリシーは、ターゲットFlashSystemユニットへボリュームを複製するための設定を大幅に簡素化します。簡単に使えるウィザードによって示される手順に従って、ターゲット ユニットに複製するためのポリシーを作成することができます。大きく変わるのは、メトロ ミラー、グローバル ミラー、または変更ボリュームのあるグローバル ミラーのどれを選ぶかという面倒な質問を尋ねられることがなくなることです(それぞれの微妙な違いを理解している人はほとんどいません)。代わりに、RPO(目標復旧時点)について尋ねられます。それ以外は、複製ポリシーによってバックグラウンドで処理されます。
スナップショット ポリシーと同様に、これにより、ソースおよびターゲット ボリュームの両方に変更ボリュームを関連付けることによって作成された依存関係が除去されます。新たに加わるもうひとつのメリットは、ターゲット ボリュームまたはボリューム グループを作成することさえ必要ないことです。このポリシーを添付すると、ターゲットFlashSystemですべて自動的に作成されます。複製ポリシーは非同期のみであることに注意してください。したがって、同期複製が必要な場合は、リモート コピーを介してメトロ ミラーを行う必要があります。
複数のFlashSystemでのパートナーシップ
これは、主にマイグレーションの目的では、大歓迎されるもうひとつの大きな変更です。これまでは、IPパートナーシップ(これはIPネットワーク経由でのボリュームの複製で確立される必要があります)を確立できるのは、1つのターゲットFlashSystemに対してのみでした。8.6.0.0以降のコードでは、追加のFlashSystemもターゲットとすることができるようになっています。たとえば、既存のパートナーシップにFlashSystemが2つあり、別のデータ センターにFlashSystemを追加した場合に、現在同期されている状態の複製を廃棄することなく、この新たに追加されたFlashSystemも、ソースFlashSystemのIP複製先に加えることができるようになっています。
これにより、マイグレーションの際のストレージ管理者の多くの悩みが解消され、データの同期状態は維持されます。ウィンウィンです。
これらの追加された機能はすべて、IBM i およびFlashSystemストレージの将来に期待を抱かせるものがありました。IBMは、これまでどのようなことが悩みの種となっていたのかを把握しており、従来のプロセスの機能性を高め、難しい構成をより簡単にするべく取り組みを続けています。次はどのような機能が追加されるのか待ち遠しい限りです。