テクノロジー リフレッシュで導入されるRPGの新機能
このところIBMがオープンソースに夢中になっていることは否めないようですが、これはILE環境に見切りを付けたということではなさそうです。実際、IBMは最新のテクノロジー リフレッシュで、RPG言語にいくつかの新機能を加えることを通じて、RPGプログラマーが歓声をあげて喜ぶようなものを確かに提供しています。
IBMは、今月始めに発表され、数週間のうちに提供開始されることになるIBM i 7.3 TR9および7.4 TR3で、 十数件の オープンソースの新機能を導入しています。そうした新技術は、IBM i のショップがビジネス上の課題に取り組むのに間違いなく助けになると、IBM i のチーフ アーキテクトのSteve Will氏は述べています。
「ビジネス上の問題の解決には、実に多くのやり方があります。そのため、我々はオープンソース技術への投資に重点を置いてきました。その一方で、RPGのような従来の技術への機能の追加も行なってきました」と、Will氏は先週行われた「 IBM i -- Alive and Kicking (IBM i -- 今なお絶好調)」と題するウェビナーの中で述べています。「RPGの機能を増強し、より習得しやすく、より強力なものにして行くつもりですが、オープン技術も導入して行くつもりです。」
IBMでは、ILE言語に対する大幅な変更は、IBM i 7.3および7.4といった、オペレーティング システムのメジャー リリース時に取っておくのが通例です。これは、最新のメジャー リリースである7.4でもそうであり、そこでは COBOLとRPGの両方に対する機能強化がありました。しかし、間近に迫ったIBM i 7.3 TR9および7.4 TR3のデリバリーにおいても、ここで取り上げておくべきRPGの新機能がいくつかあります。
まず、IBMは、FOR-EACHという新たな命令コードと、%RANGEおよび%LISTという2つの新たな組み込み関数(BIF)を提供します。FOR-EACH命令コードは、プログラムが、%LIST BIFによって定義された配列全体を反復処理できるようにします。一方、%RANGE BIFは、プログラマーが、ある値が他の2つの値の範囲内にあるかどうかを調べることができるようにします。
プロシージャーの戻り値をデバッグできるようにならないかと思っていたRPGプログラマーは、IBMがまさにそうした機能を提供してくれたことで喜んでいるでしょう。新たな制御キーワードDEBUG(*RETVAL)により、プログラマーは、プロシージャーの最後のブレークポイントで、プロシージャーから返される値をデバッガーで表示または変更できるようになります。
新たなTRは、ストリング パラメーターおよび数値BIF(%DEC、%INT、%FLOAT、%INTH、%UNS、%UNSHなど)の動作を改良する機能強化ももたらします。EXPROPTSキーワードを使用するときに、ブランクおよび千の位の桁区切りを使用することができます。ブランクが使用された場合、または空の場合、0が返されます(空の場合、以前はステータス コード105が返されていました)。また、ブランク値は、XML-INTOおよびDATA-INTOの数値でも許容されるようになるとIBMは述べています。
また、EXPROPTSキーワードは、千の位の桁区切りの使用も可能にします。ただし、この機能強化を使用してプログラムがコンパイルされた後では、プログラムが実行されるすべてのシステムでランタイムPTFが必要であるとIBMは警告しています。
さらに、エクスポートするプロシージャーおよびサイクル メイン プロシージャーでプロトタイプが必要とされるかどうかを指定する新たなコマンド パラメーターも追加されました。この機能は新たなコマンド パラメーターREQPREXPで提供され、このパラメーターはCRTBNDRPGおよびCRTRPGMODコマンドに追加されます。また、H-仕様書に指定できる同じ名前の制御キーワードもあります。
これらの新たなRPG機能は、ILE言語向けのコンパイラーが含まれている、Rational Development Studio(5770-WDS)に組み込まれます。これらのRPGの機能強化は、IBM Rational Developer for i製品(RDi)の最新のリリースで使用可能になります(製品番号は5733-RDW)。
Will氏によれば、IBMは、すでに、IBM i コミュニティが次にどのような新たなRPGの機能強化を求めているか把握しようと懸命になっているそうです。
「我々のチームは、現在、秋のプランニング ステージに入っています。7.4の後のリリースがどのような中身になるか分かっているため、7.4の後のリリースを想定してプランを練っています」とWill氏は述べます。「常に次を見据えて取り組んでおり、その姿勢は決して変わりません。それがIBM i の戦略です。それがIBMの戦略です。我々には、将来に向けてのプランがあるのです。」
RPGに対する最新の機能強化の詳細については、 RPG Cafeを参照してください。