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IBMi海外記事2020.07.27

Zend Server Basic PHPの終焉

Alex Woodie 著

何千ものIBM i のショップによって使用されている無償版PHPランタイムであるZend Server Basicの提供が、2021年7月に終了するようです。これは、現在、Zendおよび関連するPHPツールおよび技術ラインアップを所有しているPerforce社からの発表です。代替製品としては、もちろん、2019年末にRPMを介して利用可能になった新たなPHPのコミュニティ エディションということになります。

2006年、 Zend Technology 社は、当時はi5/OSと呼ばれていたIBM i向けに、特別バージョンのPHPランタイムの開発を始めました。Zend Core for i5/OSと呼ばれたこのオファリングは、iSeriesサーバー(当時はそう呼ばれていました)のユーザーが、PHP言語と、当時そこで稼働していた推計10,000のソフトウェア アプリケーションの世界へと足を踏み入れる足掛かりとなりました。

どれだけ多くのIBM i (System i、iSeries、AS/400など)のショップがZend Core for i5/OSおよびその後継版を採用し、長年にわたってそのボックスでPHPアプリケーションを稼働するために使用し続けたかについて正確に知る人はいませんが、今では、その数は何千という単位となることはほぼ間違いないでしょう。Zend社によれば、2006年3月のリリース後の4か月間だけでZend Core for i5/OSのベータ版のダウンロードは数千件に上ったと、2006年に『 IT Jungle 』はレポートしています。

もちろん、 IBM がZend Core for i5/OSを完全に公認し、そのプラットフォームでi5/OSオペレーティング システムおよびシステム ツールとともにライセンス プログラム製品(LPP)として配布したことは好都合でした。また、後に有償サポート契約に移行する必要があるものの、iSeriesの顧客は、Zend社から1年間の無償テクニカル サポートを受けることができたことも好都合でした。PHPは、HTTP Server(Apacheによるもの)を別にすれば、多くのiSeriesのショップが利用した初めてのオープンソース技術の1つでした。IBMは、PHPにiSeriesの顧客を手放さないでもらいたいと願い、概して、PHPはそうすることができたようです。

しかし、2020年のオープンソースの世界は、2006年とはまったく異なる場所になっています。IBM i (このプラットフォームは2008年以降そう呼ばれています)上で開発を行っている開発者には、幅広いオープンソース技術の選択肢があります。言語-開発の面では、Node.jsは、Python、Ruby、Perlなどとともに、最新のポピュラーなオファリングとなっています。しかし、すべての始まりは2006年のPHPでした。

しかしながら、IBMと Perforce Software 社(2016年にZend Technology社を買収したRogue Wave社を2019年に買収)が2019年末に PHPの新たなコミュニティ エディションのプロモーション を始めた時点で、Zend Basic Editionにとって予兆はあったということになります。ZendのPHPランタイムの無償版の名称がその時から変更されたからです。

先月、Perforce社は、2020年6月30日をもって、Zend Basic for IBM i はIBM i とともに配布されなくなり、ユーザーは1年間の無償テクニカル サポートを2021年6月30日までに終了する必要がある、と公式に 発表しました

「当初のIBM i プラットフォームでのPHPの製品展開は、モダナイゼーションおよびオープンソースの採用という領域でのIBM i コミュニティのマインドシェアの獲得という点で意義深いものがありました」と、Perforce社のZend担当シニア ソリューション コンサルタント、Erwin Earley氏は、そのブログ発表の中で述べています。「我々は、引き続きIBMと緊密に連携して、IBM i コミュニティが現在および長期的な目標を達成するための支援を行いたいと思っています。」

Zendでは、PHP on IBM i の顧客に、Zend Server ProfessionalやZend Server Enterpriseといった、Zend Serverエディションの1つを採用してもらいたいと考えています。それらのオファリングには、Z-Rayコード トレーシング機能、XML Toolkit、および様々なPHPエクステンションなどの、より先進的な機能が含まれています。これらは、IBM i のショップがPHPアプリケーションを開発する際に、大きな支援となり得るものです。

しかし、一定のパーセンテージのIBM i のショップは、無償PHPに留まると見込まれており、このことが意味するのは、彼らのPHP投資およびアプリケーションは、Zend Basicディストリビューションから、RPMを介して配布されるCommunity PHPエディションへ移行されるということです。

今日のIBM i のショップは、オープンソース技術により満足するようになっており、オープンソース技術で作業するためのプロセスや手法の開発を行ってきました。しかし、PHP on IBM i のエキスパートであり、 Seiden Groupを主宰するAlan Seiden氏によれば、PHPが初めてi5/OSにやって来たときは、そういう状況ではありませんでした。

「2006年には、インストーラーにきちんとインストレーションさせるだけでも、間違いなく意味がありました」と彼は述べています。「しかし、今では、IBM i のショップはもっと洗練されていると思います。彼らは、インストレーションを最適化して、アプリケーションごとに別々の環境を作成したいと思ってさえいるかもしれません。」

PHPに手間暇を掛けたくないと思っていたり、PHPディストリビューションを自動化したいと思っていたりするIBM i のショップは、引き続き、Zendディストリビューションでそれを実現できますが、オープンソースに満足しているIBM i のショップは、おそらくRPMを介して配布されるCommunity PHPバージョンに引き寄せられてゆくことになるでしょう。

「彼らにはもう少しだけ知識が必要で、それが得られれば、手にする自由も多くなるのです」とSeiden氏は述べます。

先日、Seiden Groupは、IBM i のショップのZend BasicディストリビューションからCommunity PHPへの移行を支援するオファリングの提供を発表しました。そのオファリングの詳細については、今後の『 The Four Hundred 』の記事をお待ちださい。

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