メニューボタン
IBMi海外記事2018.12.13

RDi V9.6の大きな変更点を探る。パート5、編集/ブラウズの切り替え、PDMパースペクティブ等

Susan Gantner 著

この記事では、V9.6.0.3(および0.4)で実装された、知っておくと便利と思われるいくつかの「小さめの」機能について説明します。たとえば、私のお気に入りの編集/ブラウズの切り替え機能や、ブロック・ネストの表示に対するいくつかの機能強化などについて紹介しようと思います。また、オブジェクト・テーブルの、PDMとの親和性を図った機能(PDMパースペクティブ)について記した前回の記事の補足等についても記すつもりです。

どのような新機能がいつからRDiで利用可能になったのか、きちんと把握しておきたいという場合は、IBM DeveloperWorksのこちらのページに、以前のRDiリリースで追加された新機能と修正が網羅されたリストが掲載されていますので、そこで確認することができます。

前回の記事以降に、さらに新たなポイント リリース(V9.6.0.4)がありました。V9.6.0.4で追加された機能のうち、大きなものとしては、トライアル版をインストールした際の試用期間が120日間に延長された(以前は60日間)ことが挙げられるかと思われます。RDiを試してみようか迷っているユーザーにとっては、これは大きな朗報と言えるでしょう。ただ、すでに正規ユーザーとしてRDiを使用されている方にとっては、これはあまり関係のない話題なのかもしれません。以下では、以前のリリースで追加された機能のうち、このシリーズ記事でまだ取り上げていないものもありますので、そのいくつかについて紹介して行こうと思います。

編集/ブラウズの切り替え機能は、長い間、待ち望まれていた機能です。デフォルトでは、「リモート・システム」または「オブジェクト・テーブル」でメンバーをダブルクリックすると、編集用にメンバーを開くことになります。ブラウズ用に開くには、右クリックして「Browse with ...」オプションを使用する必要がありました。もちろん、プリファレンスの設定を変更すれば、デフォルトでブラウズ用に開くようにすることもできました。しかし、いくつかをブラウズ用に開いて、いくつかを編集用に開くという場合には、それぞれをたがいに切り替えるのは、必要以上にわずらわしい作業に思えました。これが素早く簡単に行えるようになりました。ダブルクリックでメンバーを開いてから、後で必要なときに、ブラウズ用(または編集用)に切り換えることができるようになったのです。

現時点では、すでに開いているソース メンバーで、ブラウズモードと編集モードを切り替えるのに、3通りの方法が使えることになります。私のお気に入りは、Ctrl+Shift+Gのショートカットを使う方法です。1秒か2秒、待つ必要はありますが、きちんと機能します。また、「ソース」プルダウン メニューの「Toggle Edit/Browse Mode」オプションを使用する方法もあります。3つ目は、RDiのウィンドウの一番下のスペースでダブルクリックする方法です(エディター ビューの下部ではありません)。下の図1で、ウィンドウの下部の「Browse」というところが赤枠で囲まれています。ここをダブルクリックすると切り替えることができます。ただし、注意点があります。それは、ブラウズモードのときはそのスポットがどこなのか見れば分かるのですが、編集モードの場合はそこには何も表示されないという点です。エディター ウィンドウの上部にも「Browse」という表示(赤枠で囲まれています)があり、こちらもダブルクリックできると思いたいところですが、残念ながら切り替えに使えるものではありません。

また、図1では、タブに新たなブラウズアイコンが表示されていることにお気付きかと思います。アイコンによって、どのメンバーが編集可能で、どのメンバーがそうでないかが明確に示されます。これも、長い間、待ち望まれていた機能です。

図1: 編集/ブラウズの切り替え

このほかにも、最近追加された、小型ではあるものの素晴らしい機能強化がいくつかあります。たとえば、以前の記事で取り上げたホバー コメントのサポートは、当初はサブプロシージャーおよびその他の定義に対してのみ有効で、サブルーチンに対しては有効ではありませんでした。このたび、サブルーチンでも有効になりました。

同じ記事で、コンパイル時エラーに対する注釈サポートについても説明しました。その記事を書いた少し後で、ソース メンバー内で注釈をナビゲートする機能が追加されました。次へ移動の場合はキーボード ショートカットCtrl+. (ピリオド)、 前へ移動の場合は Ctrl+, (コンマ)を使用して、エラーが発生する行にジャンプすることができます。また、次の図に示すツールバーのアイコンを使用して、注釈の付いた行を移動することもできます。

ツールバーのアイコン図2: 注釈ナビゲーション ツールバーのアイコン

また、プリファレンスを設定して、ナビゲーションの際にどの種類の注釈が含まれるかをカスタマイズすることもできます。たとえば、非参照アイテムの注釈が含まれないようにする場合は、「設定」で、 「一般」>「テキスト・エディター」>「注釈」を選択して、アイテムのリストを見つけます。「Include in next/previous navigation」の横のチェック ボックスで、どの注釈がリストに表示されるかを指定できます。

各行に後続スペースがあるソース メンバーをRDiで開いたときに、後続スペースが自動的にトリミングされるようになりました。これにより、Endキーを押して簡単に行内のコードの最後へジャンプすることができるようになります。

「ブロック・ネストの表示」機能を覚えているでしょうか。ブロックの始めと終わり、およびその中にネストにしているすべてのブロックを矢印で示してくれる機能です。この機能はずいぶん前からあった機能であり、古い固定フォーマット ロジックで作業するときに非常に便利です。この機能は最近、2つの点が機能強化されました。1つ目は、ネスト レベルを15レベルまでサポートするようになりました。以前はどれくらいのネスト レベルがサポートされていたのか私は知りません。幸いなことに、それほどのネスト レベルが必要になることはありませんでしたので。これに伴って、線と矢印の表示がより明瞭になった点がよかったと思われます。これは線が長くなったためです。

また、「ブロック・ネストの表示」をELSE、ELSEIF、WHEN、またはOTHERステートメントから呼び出すことができるようになりました(Ctrl+Shift+O、またはコンテキスト メニューから「ソース」>「ブロック・ネストの表示」)。以前は、ブロックの先頭または最後にカーソルが置かれている必要がありました。

新たなPDMパースペクティブ

最後に取り上げる機能は、新たなPDMパースペクティブです。PDMパースペクティブは、PDMからRDiへの移行をより簡単にしやすくすることを意図して導入されたものです。これは、「リモート・システム」ビューのない、エディター、「アウトライン」および「オブジェクト・テーブル」と、「エラー・リスト」、「ジョブ・ステータス」、「タスク」、「コマンド・ログ」が含まれるだけの簡略化されたパースペクティブです。「オブジェクト・テーブル」(PDMに実によく似た感じがします)は、「リモート・システム」の代わりに、ソース メンバーをナビゲートしたり、開いたりするのに使用されます。これは、Work Members PDMと(いくつかの)SEU編集ウィンドウを同時に開いているのと少し似ています。この新たに機能強化された「オブジェクト・テーブル」については7月の記事で取り上げたため、ここでは詳細について繰り返し説明することはしません。

個人的には、PDMパースペクティブは、おそらく(できれば近い)将来のいずれかの時点で非常に有用なものになると私は思います。ただ、現時点では、新たな「オブジェクト・テーブル」で現在機能しているPDMオプションが、比較的に数が少ないこと(そしてPDMに比べて使い方が煩雑なこと)が、RDiへの積極的な導入の防げになるのではないかと心配です。もっとも、PDMパースペクティブのターゲット ユーザーは私のようなユーザーではありません。新規のRDiユーザーをターゲットとしています。下の図3に、PDMパースペクティブの画面を示します。有用性がありそうかどうか、画面を見て確認してみてください。

図3: PDMパースペクティブ

終わりに

今回の記事で、RDiのV9.6での機能強化に関するシリーズ記事も終わりを迎えると思われます。現時点ではそう思うのですが、なんとも言えません。そのうちに、またさらに多くの新機能が追加されるかもしれないからです。以前に比べて、そのスピードはより速くなっているように思われます。あるいは、もしかすると、これまで注目していなかった新機能に改めて気付かされるということもあるかもしれません。それはそうとして、ひとまずは、最近のRDiの機能強化に関する5部からなるシリーズ記事が、読者の皆さんのお役に立てていることを願いまして、シリーズの締めの言葉としたいと思います。

このV9.6シリーズの最初の4つの記事のいずれかをまだお読みでない方は、下の「RELATED STORIES」のリンクからご覧いただけます。

IBM Championにして、評判のレッドブック、『Who Knew You Could Do That with RPG IV』の共著者でもあるSusan Gantner氏は、IBM i開発のトピックにおけるトップ スピーカー/ライター/トレーナーの1人です。彼女は、Partner400社および System i Developer, のパートナーを務めており、また、パートナーのJon Paris氏およびPaul Tuohy氏とともに、年2回、RPG & DB2 Summitを主催しています。

RELATED STORIES

あわせて読みたい記事

PAGE TOP