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IBMi海外記事2018.03.22

コーディング技術とIBM i環境の変革

Philippe Magne 著

ARCAD社は、創業以来25年間、数多くの技術革新を行ってきました。当社の事業の出発点は、よくあるソフトウェア変更管理でした。当時のソフトウェア変更管理は、開発者の作業を管理するためのツールと、テスト開発から本番へ移行するためのツールをセットにして組み合わせたものでした。当時はもちろん、OS/400および後継のIBM i本番プラットフォーム専用でした。一部には多数の本番マシンを持つ顧客もいますが、開発およびテスト用に1台、本番用にもう1台の2台のマシンというのが典型的なケースです。

現在では、状況は進化しています。DevOpsは当社の事業の中核になっていますが、DevOpsは、実際にIT組織を変貌させているという点で、単なる流行の波以上のものだろうと私は思います。この変化は、あらゆる企業で起きているデジタル トランスフォーメーションの直接的な結果です。現在は、多種多様な新たなモバイル テクノロジーに対応する必要がありますが、これはクラウドの動きと並行しているものです。そこでは、パブリック クラウドだけでなく、プライベート クラウドの内部インフラストラクチャーも混在させる形で使用されています。

現時点でのARCAD社の主要な成果は、長年マルチプラットフォームをサポートしてきたという意味で、当社がこうした動きに実際に適応できてきたということです。そして、DevOpsは経営陣に売り込むのはそれほど容易ではありませんが、まさに今では、経営陣もDevOpsを認識するようになっています。そのため、入り口は広くなっています。半年前、Google検索エンジンで「DevOps」という単語を入力すると、関連のあるページは1800万件だけでしたが。今日、同じように入力すると、2600万件にもなります。

当社は、25年の間に、ソフトウェア管理分野における数多くの変化を目にしてきました。たとえば、2003年にIBMは、元々はオープン システムであった、アプリケーション ライフサイクル管理分野のリーダー企業のRational社を買収しました。狙いとしては、IBM iやSystem zメインフレームを含め、ありとあらゆるプラットフォーム向けのツールを一元化することにありました。主要製品はRational Team Concertと呼ばれ、すべての資産を格納する単一のソフトウェア レポジトリと、開発プロセスおよびデプロイメント手法のサポートを管理するためのすべての関連ツールとを組み合わせた製品です。

現在は、DevOpsが登場するに至っていますが、これまでのところ、IBMはこれに関しては大きな成功を収めておらず、実際、その事業をインドの企業に売却しています。IBMはRational事業を放棄していませんが、その一方で、特にAtlassian社のJIRAなど、オープンソース ツールの周りでは大きな波が起きています。JIRAは、当初は、トラブル チケット管理の分野で評判が高いツールでしたが、現在は、あらゆる種類のソフトウェア資産管理向けの完全なスイートとなっています。Atlassian社は、IBMとはまったく反対のビジネス モデルを取り入れました。そして、一方には、Rationalを擁する、世界最大規模の顧客のすべてに販売しようとした一大企業があります。もっとも、Rationalツールに関する問題は常に価格であり、そのせいで規模の小さい企業がRationalを導入するのは難しかったようです。他方、主要な競合相手であるAtlassianはバイラル マーケティング戦略を実践しました。オープンソースのイメージが持たれていますが、実際は、一部の機能はサポート契約が必要な商用オープンソースです。要は、JIRAはボトムアップ アプローチであり、開発者からの草の根的サポートがあるということです。

DevOps分野においては、ARCADの立場としては、たとえRational Team Concertに多額の投資を行ってきたとしても、1年あれば、当社のGitHubとのパートナーシップを含め、それらのポピュラーなオープンソース ツールで同じことを行ってしまうというものです。Gitリポジトリはコマンド ライン インターフェースだけですが、GitHubには、Facebookのようなソーシャル インターフェースがあるため、IBM iのショップにとってはより使いやすいでしょう。また、GitHubは、600名を超える開発者を抱え、ユーザー数が2500万人を超える企業によって支えられています。

IBM iプラットフォームの将来は、確実にマイクロサービスを中心にしたものになり、モジュール単位のコードがより多くなります。これはDevOps戦略と密接に関連するものです。人々はユーザー要求からそのソフトウェアのデリバリーまでの平均時間をコントロールすることになります。つまり、1か月、1四半期、または1年につき1回のリリースをするというやり方から、継続的に変更を行うというやり方へ変わるということです。なかには1日に3回も変更を実装している企業もあります。

私にはこのことが滑稽に思えます。というのも、DevOpsについて私が初めて耳にしたのと同時に、IBM iのショップがアプリケーション変更のためのビジネス要求を満たすプロセスにすでに慣れ親しんでおり、継続的に変更を行うやり方にすでに慣れ親しんでいることを知ったからです。

現在、当社はデジタル トランスフォーメーションへの大規模な投資を目前に控えています。そして、DevOpsについては、当社はその真っただ中にいます。

当社がもたらす価値は、規模の大小を問わず、世界のどの企業にも入って行くことができることです。それは、技術によるところだけではなく、DevOpsおよびデジタル トランスフォーメーションに伴う手法によるところでもあります。当社は伝統的なIBM iカルチャーとオープンソースのDevOpsカルチャーのまさに真ん中にいます。両者の間でカルチャーの翻訳を行うのは常に容易というわけではありません。たいていの場合、ほとんどがオープンソースのツールをすでにいくつか採用しており、IBM iプラットフォーム向けにそれらの使用法を一般化したいという段階に達しています。当社が行おうとしているのは、IBM iプラットフォームがまったくの孤島ではなくなるようにすることであり、それは大きな課題です。この取り組みがうまくゆかなければ、プラットフォームそのものの将来も危ぶまれます。

考え方としては、1つのことにすべてを賭けてはならないということです。しかし、そうは言っても、企業経営という観点から見たとき、現時点で当社は今なお95%がIBM iです。当社のような企業がIBM iの外側で認められるのはそれほど容易でありませんが、そのような状況にある企業は当社だけではありません。その一方で、IBM iの世界の内側では、ソフトウェア ベンダー間での合併が数多く目にされます。

当社では、何らかのソフトウェア変更管理ツールを使っていない企業を相手にビジネスをしようとすることはあまりありませんが、手動でそれを行っている企業はまだ多いようです。当社にとって、IBM i市場は今もなお非常に重要であり、当社はカナダ、中央アメリカ、欧州、およびアジアの銀行で大きな成功を収めてきました。たとえばHSBCのように、20億ドル規模のDevOps変革を行っている顧客もいます。要件は常に同じであり、当社は開発用ARCADで対応しています。これは、GitHub、Jenkins、JIRAと、IBM i向けには最終デプロイ用にARCAD、またはIBM iがなければDROPSのいずれかを組み合わせたものです。

IBM iの世界においてDevOpsを話題にするのであれば、当然、アプリケーションおよびデータベースのモダナイゼーションについても話題にしなければなりません。モダナイゼーションはIBM iのショップにとって一番ホットな分野の1つですが、そのためのアプローチには様々なものがあります。Profound Logic、looksoftware、BCDなどからのツールは、ユーザー インターフェース面に優れており、良い機能を備えています。しかし、一般的にデータベース自体のモダナイゼーションに向けての要求がますます多くなっているという意味では、個人的な考えですが、それらのツールの機能は十分とは言えないと思います。現在のところ、データベースのモダナイゼーションの進み具合は、ユーザー インターフェースのモダナイゼーションに比べて速いように思われます。

その理由は、デジタル トランスフォーメーションです。モバイル アプリケーションがあり、データをシステムから引き出す必要があるとしたら、それは簡単です。しかし、モバイル デバイスからシステムへデータを入力する必要があるとすれば、その場合は、データの完全性を保護する必要があるため、データをモダナイズして、フル リレーショナル データベースへ移行するより他に方法はありません。もちろん、すぐに利用できるターンキー ソリューションについて話しているのではありません。伝統的な物理および論理ファイルからリレーショナル データベースへの移行は長い時間の掛かる作業ですが、いつかは始めなければならないものだからです。リレーショナル データベースを手にしたら、すぐに、データに対するいかなるリスクもなく、どのような種類の外部アプリケーションにでもオープンにすることができます。

当社はDevOpsの分野で大きな進化を遂げつつあり、初めてガートナーのマジック クアドラントに選出されるに至りました。当社は、この分野のリーダー企業となることを目指し、DevOpsに大規模な投資を行い続けます。過去25年間行ってきた事業であるため、当社の中核事業は、引き続きソフトウェア リリース オートメーションのままです。その一方で、当社では、IBM i市場の外側に進出して行くための資金も用意しています。

また、IBMメインフレーム市場に対応できる企業は極めて少なく、そこでDevOpsに対応しているのはIBMとCA Technologies社のみです。そのため、当社にとって自然な動きとしては、そうしたメインフレーム市場に参入することであり、今後、そのような動きがあるかもしれません。IBM iは単にドル箱の事業というだけではありません。当社では、特にモダナイゼーション分野において、IBM iへの投資を続けます。

当社には、マイクロサービスに関して多くのアイデアがあります。私は、TansformerCASEツールに非常にワクワクしています。SynonのショップのRPGフリー フォームへの変換を完全に自動化できる段階に達したためです。私はRPGフリー フォームの成功を確保するためにこのツールを使用することを期待しています。特に米国では、Synonのショップである顧客が非常に多く、Synonの使用はDevOpsおよびデジタル トランスフォーメーションへの移行を妨げる致命的問題となっています。Synonは、あまりに古く、あまりにクローズドであり、使用するのが非常に難しいツールです。一方、このツールは、2年で開発されており、これは実に驚くべきことです。

今年も非常に興味深い1年になりそうです。今年、当社は複数のインド最大規模のサービス企業とパートナーシップを結ぶ見込みとなっています。モダナイゼーションがツールの問題だけでなく、サービスの問題でもあるという意味で、これは意義のあることと言えます。それらの企業が多少の投資を行い、彼らのIBM i顧客のニーズに対応できるようになってくれれば、プラットフォーム自体の大成功にもつながります。これらのサービス企業には当社の前面に立ってもらいたいと思います。そうすれば、当社は技術をそれらのサービス企業に提供し、それらのサービス企業は、アプリケーションやデータベースをモダナイズする必要があることを彼らの顧客に納得させるという仕事を行うことになります。昨年、当社は新たに10社とパートナーシップを結びました。そして、今年は、20社以上となる見込みです。それらのパートナーシップ企業とうまく協働できれば、IBM i市場の様相を一変させることも可能です。

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