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IBMi海外記事2017.11.09

IBM i、TCOでの優位性が拡大との調査レポート

Alex Woodie 著

先日、IBMは新たなレポートを発表しました。その中でIBMは、IBM iサーバーの3年間のTCO(総所有コスト)は、同等性能のWindowsまたはLinuxセットアップに比べて著しく低く抑えられると述べています。IBMでは何年かの間にそのような調査を何度か実施してきましたが、今回の調査で興味深いのは、6年前の同様の調査と比較して、その差がかなり広がったように見える点です。

今回のTCOの調査では、調査および経営コンサルタンティング会社の Quark + Lepton 社は、架空のいくつかの企業が、それぞれ3通りのOS/データベース/サーバーの組み合わせを購入して管理するとして、それぞれどれくらいの費用が必要となるかという算定を行いました。1組目の組み合わせはIBM i 7.3およびDb2を稼働するPower Systemsサーバー、2組目がWindowsおよびSQL Serverを稼働するX86サーバー、3組目がLinuxおよびOracleデータベースを稼働するX86サーバーです。

『IBM i on Power Systems Meets the Diverse Needs of Midsize Businesses(Power Systems上のIBM iは中小企業の多様なニーズを満たす)』(2017年8月30日発行)と題するこのレポートによれば、IBM i組の3年間のTCOは430,815ドルで、これは圧倒的な低さということになるようです(「IBM Literature」サイトの文献の森の中で、このレポートをすんなり見つけられるかどうかは興味深いところです)。Windows/SQL Serverプラットフォームの場合、購入してから3年間の運用で118万ドル掛かるとされ、Linux/Oracle組では同じく127万ドル掛かるとされるため、IBM i組の一人勝ちの様相です。

Quark + Lepton社のレポート(IBM後援)によると、3年間のコストにおいて、プラットフォーム間での違いを生み出しているのは、大部分が人件費だということです。同社の調査では、専門小売業、組立製造業、コンシューマー製品販売業、およびアグリビジネスといった様々な業種の架空の企業をユース ケースとして策定していますが、全般的に、それぞれの企業において、IBM iの人件費は、Windows/SQL ServerおよびLinux/Oracleの人件費の何分の1かに収まっているようです。

製品情報01

Quark + Lepton社の新たな調査によると、IBM iプラットフォームでは、Windows/SQL ServerおよびLinux/Oracleプラットフォームに比べて、3年間で負担するコストが著しく少なく済む。

たとえば、ユーザー300名のコンシューマー製品販売会社の場合、中型のPower Systems S814サーバーとERP/CRMアプリケーション パッケージの運用に掛かる人件費は、約111,200ドルとされました。この金額はFTE(フルタイム当量)で僅か0.3に換算されます。これに対し、Windows/SQL Server上での同じソフトウェアおよびハードウェア パッケージでは、約371,300ドル必要となるようです。これには、人員ニーズの高さ(FTEは0.5)と、給料の高さ(IBM i管理者の86,000ドルに対してSQL Serverデータベース管理者は100,600ドル)が反映されていると言えます。また、Linux/Oracle組では、人件費は450,000ドルを超えています。

同レポートにおける一番の大企業は、従業員5,000名、売上高16億5千万ドルの架空のアグリビジネス会社でした。この会社では、サポート対象ユーザー1,200名に及ぶERP、調達購買、EDI、およびeコマース機能が必要とされていました。Quark + Lepton社は、各種コンポーネントを稼働するために、8コアPower S824サーバーを4台と1FTEを想定しています。合計で、このシステムは3年間で約825,500ドル掛かることになります。これに対し、同等性能のWindows組では、X86サーバーが12台と2.5FTEが必要となり、254万ドルの費用が必要となります。一方、Linux/Oracle組では、同様にX86サーバー12台、2.0FTEで239万ドルです。

「数多くの基本的なコア能力の違いが、コストの違いにつながります」と、コロラド州ボルダーを拠点とするQuark + Lepton社はそのレポートの中で述べています。「より緻密な機能分担とリアルタイムでのワークロード管理がなされれば、Power Systems上のIBM iでより高いワークロード密度が実現される可能性があることになります。さらに、IBMの場合、ミドルウェア コンポーネントおよびアプリケーションの開発、テスト、および組み込みの責務を負っているのはIBMの側であるため、顧客の側でそれらを行う必要がありません。」

以前、同じような比較レポートを目にしたことがあります。IBMは以前に、3年間のTCOに関するレポート シリーズでInternational Technology Group(ITG)という団体と合同で調査を実施しています。その最新版の調査レポートに関しては、2011年に記事を掲載しています

製品情報02

IBM i、Windows/SQL Server、およびLinux/Oracleプラットフォームに関わる3年間のダウンタイム コスト。

ITGのレポートでは、Linux/Oracle組のTCOはIBM i組の2.25倍、Windows/SQL Serverプラットフォームは1.73倍との結論でした。これとの比較で、2017年8月のQuark + Lepton社による分析によれば、Oracle/Linux組は3.3倍、Windows/SQLServer組は2.74倍ということになります。

また、Quark + Lepton社では、これら3種のプラットフォームにおける3年間のダウンタイムに関連するコストについても分析を行っています。この比較でもやはり、IBM iプラットフォームが圧勝となっています。

同社では、ダウンタイムのコストを算出するにあたり、架空の6社すべてについて、「それぞれの業種(および組織)に特有の適切な係数を用いて」平均的なダウンタイム コストを計算したと述べています。次いで、「ユーザーからの情報をベースとして」プラットフォームごとの推定される予想ダウンタイムとそれらの数値とを掛け合わせたとしています。

Quark + Lepton社が推定するところでは、3年間のダウンタイム コストは平均で、IBM iサーバーで約93万5,500ドル、Windows/SQL Serverプラットフォームで338万ドル、Linux/Oracleプラットフォームで446万ドルとなるようです。同社によれば、IBM iのダウンタイム コストは、Windows/SQLServerプラットフォームに比べて72%、Linux/Oracleに比べて79%少ないということになります。

これらのTCOおよびダウンタイムの数値については、額面通りには受け取らないほうがよいだろうと思われます。IBM iは他のプラットフォームに比べて立ち上がりが良い(すなわち起動が早い)という話を耳にすることも多く、事実そうなのかもしれませんが、この種の調査においては、数値データを上下どちらかの方向へ動かすための方法は数多くあります。この調査のスポンサーがIBMであることから、仕込みとまでは言わないものの、IBM寄りの結果になるのは仕方がないことなのでしょう。

結局のところ、Quark + Lepton社によって示されたデータは、興味深いものではあるものの、世界を揺るがすようなものではありません。このレポートは、IBM iサーバーの廃棄を考えているか、IBM iサーバーを新たな業務システムに使おうと検討しているITエグゼクティブにとっては興味深い内容かもしれません。これらの数値が現実を反映したものと言えるかどうかについては、判断をお任せします。複数のプラットフォームのTCOについて、第三者的な立場からの検証を経てテストおよび分析がなされているのでないとしても、この種の分析は、普通に納得の行く範囲からはみ出ているのでなければよしとされるのかもしれません。

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